構想力の方法論

未 読
構想力の方法論
ジャンル
著者
紺野登 野中郁次郎
出版社
定価
2,200円 (税抜)
出版日
2018年07月24日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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構想力の方法論
構想力の方法論
著者
紺野登 野中郁次郎
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定価
2,200円 (税抜)
出版日
2018年07月24日
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総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
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レビュー

日本経済は長らく停滞を続け、大企業の不祥事が相次いでいる。本書によるとその原因は、日本に構想力が不足していることであるという。

著者は、デザイン経営、知識経営、場の経営、イノベーション経営などといった新たなコンセプトを広めた紺野登氏と、知識創造理論を広めた野中郁次郎氏である。彼らが指摘するのは、日本が停滞状態を抜け出して世界と互角に戦っていくためには、構想力が求められるということだ。

そもそも構想力とは何か。それは、「存在しないものを存在させる力」である。その働きは3つの要素を備えている。すなわち、構想力を描く「ビッグピクチャー」、良い問いを立てる「ビッグクエスチョン」、人々の価値観がどのようなもので、何を目指して行動しているのかを見極める「新たなビューポイント」である。構想力は想像力、主観力、実践力の融合からなり、構想をデザインするプロセス、目的を創造していくプロセス、エコシステムの形成プロセスを経て生み出されるという。このプロセスは本書のなかで、JR東日本の「スイカ(Suica)」構想を例に挙げてわかりやすく解説される。

本書によって目をひらかされるビジネスパーソンは多いはずだ。構想力という概念を深く理解し、自分の力として身につけることができれば、今後の人生の糧となるに違いない。

木下 隆志

著者

紺野 登(こんの のぼる)
1954年東京生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。株式会社博報堂マーケティング・ディレクターを経て、現在KIRO(知識イノベーション研究所)代表、多摩大学大学院教授(知識経営論)、博士(学術)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特別招聘教授、一般社団法人 Japan Innovation Network(JIN)及び一般社団法人FCAJ(Future Center Alliance Japan)代表理事。デザイン経営、知識経営、場の経営、イノベーション経営などの新たなコンセプトを広める。著書に、『ビジネスのためのデザイン思考』(2010、東洋経済新報社)、『利益や売上げばかり考える人は、なぜ失敗してしまうのか(目的工学)』(2013、ダイヤモンド社)のほか、野中郁次郎氏の共著に『知識創造経営のプリンシプル』(2012、同上)、『知力経営』(日本経済新聞社、1996年Global Best Business Book大賞)などがある。

野中 郁次郎(のなか いくじろう)
1935年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。富士電機製造株式会社勤務の後、カリフォルニア大学経営大学院バークレー校でPh.D(経営学博士)取得。南山大学経営学部教授、防衛大学校教授、一橋大学産業経済研究所教授、北陸先端科学技術大学院大学教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授を経て現職(一橋大学名誉教授)。2016年1月より日本学士院会員。知識創造理論を世界に広めたナレッジ・マネジメントの権威。2002年紫綬褒章、2010年瑞宝中綬章を受章。2017年カリフォルニア大学バークレー校ハースビジネスクールより「Lifetime Achievement Award(生涯功労賞)」を受賞(史上5人目、学者初)。著書に、『失敗の本質』(1984、ダイヤモンド社、共著)、『知識創造企業』(1996、東洋経済新報社)、『The Knowledge Creating Company』(1995、Oxford University Press、共著)、『知的機動力の本質』(2017、中央公論社)ほか多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    構想力の働きには3つある。ビッグピクチャーを描く力、ビッグクエスチョンを立てる力、新たなビューポイントによって方向性を見極める力である。
  • 要点
    2
    構想力とは「存在しないものを存在させる力」である。構想力は、想像力、主観力、知性と感性と身体の三位一体で生み出される実践力の融合から生じる。
  • 要点
    3
    構想化のプロセスは、(1)構想をデザインするプロセス、(2)目的を創造していくプロセス、 (3)エコシステムの形成プロセスからなる。

要約

今なぜ構想力が求められるのか

閉塞感に満ちた日本
Wavebreakmedia/gettyimages

バブル経済崩壊以降、日本経済の成長は止まってしまった。多くの企業は今も過去のビジネスモデルにとらわれて停滞しているし、ソニーやホンダ、トヨタ自動車、日立製作所などといった戦前、もしくは戦後間もなく設立された企業がいまだに経済の主役であり続けている。米国における、グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルなどのような新しい企業の台頭とは対照的である。米国には長寿企業も多いが、そうした企業は伝統と革新を融合させ、イノベーション経営に注力している点を強調しておきたい。

バブルが崩壊すると、日本企業は欧米の経営に学び、世界の経営の波に追いつこうとしてきた。しかし日本の経営と欧米の経営とではそもそも土壌が異なる。米国的経営手法を取り入れた企業が必ずしも業績を改善できたとは言えないだろう。

そうしたことから考えても、今の日本企業に求められているのは、自社に適した経営パタンを再発見することである。悪循環を打ち切って過去のような活気を取り戻すには、個人と組織、社会の構想力が不可欠だ。

構想力がイノベーションを起こす

今、構想力を考えるうえで求められる視点の一つは、その構想力が自社の経営戦略や事業戦略、「競争戦略」を超えるものか否かということだ。ある一社のためだけでない、さらに広い範囲を考える構想力が必要となっている。

もう一つは、構想力がもはや経済だけの問題ではなくなったという点だ。社会課題の解決によって企業としての競争力を高めるという次元にとどまらない。さらに広く、社会的な視点で新たな価値と収益のモデルをデザインすることが求められる。

つまり、日本企業が停滞を抜け出して再び成長するにはイノベーションが必要であって、イノベーションを起こすために必要な構想力とは、自社事業のためだけではなく社会に変革をもたらす構想を生み出し、実践する力である。

会社や経済、企業のあり方を変えるには、分析的なアプローチや個々のシステムの内部の発想だけでは足りない。構想力の働きによるしかないであろう。

構想力の3つの働き
mrgao/gettyimages

構想力の働きには3つある。1つ目が「ビッグピクチャー」としての構想を描く力だ。日本国内の停滞や国際的地位の低下の背景には、グローバルな構想や、大きなビジョンの欠如がある。民間宇宙開発企業(イーロン・マスクのスペースX、ジェフ・ベゾスのブルー・オリジン)や世界経済圏構想(アマゾンや中国アリババ)などといった今世紀に入っての企業活動は、大規模で飛躍的な社会システムの変化を導いている。社会を大きく変えるような構想力が求められているといえよう。

2つ目が「ビッグクエスチョン」、つまり、よい問いを立てることで社会やビジネスについての観察、対話、推論を促し、新たな世界を考察する力だ。問題の全体像を見通したうえで問いを立てれば、他社の動きや自分の過去の経験を結び付けて仮説を得ることができよう。高いところから考えるだけではいけない。現場での事象や部分を結び付けていくことによる仮説的推論が重要となる。つまり「木を見ながら森を想像する」ということである。それを促すのがビッグクエスチョンだ。「どうしたらこの世界が変えられるのか?」という問いをベースに、現実を俯瞰しながら仮説を立ててみよう。発見を導くことができるはずだ。

3つ目が「新たなビューポイント」である。

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著者
紺野登 野中郁次郎
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2018年07月24日
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