確率思考
不確かな未来から利益を生みだす

未 読
確率思考
ジャンル
著者
アニー・デューク 長尾莉紗(訳)
出版社
定価
1,900円 (税抜)
出版日
2018年09月17日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
要約全文を読むにはシルバー会員またはゴールド会員への登録・ログインが必要です
本の購入はこちら
この要約を友達にオススメする
確率思考
確率思考
不確かな未来から利益を生みだす
著者
アニー・デューク 長尾莉紗(訳)
未 読
書籍情報を見る
ジャンル
出版社
定価
1,900円 (税抜)
出版日
2018年09月17日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
本の購入はこちら
レビュー

本書の原題は“Thinking in Bets: Making Smarter Decisions When You Don't Have All the Facts”だ。このサブタイトルが示すように、「私たちはどのようにしたら、“より質の高い意思決定(Smarter Decisions)”ができるか」が本書の中心的なテーマとなる。

ここで注意してほしいのが、メインタイトルにも使われている“Bets”という言葉だ。Betsは通常「賭け」と訳され、本書でもその訳語が与えられているが、「賭け」という言葉からはギャンブルや賭博、「一か八かの賭け」といった、ポジティブではないニュアンスを受け取る方も少なくないかと思う。

しかし本書における「賭け」とは、「きわめて意識的におこなわれる高度な意思決定」という意味をも含んでいる。そうした高度な意思決定の仕方を、著者はポーカーというゲームから学んだという。そしてすぐれたプロのプレーヤーとして名を馳せたのち、いまはそこで得た知見を社会に還元するべく活動を続けている。本書の執筆もその活動の一環といえるだろう。

私たちの人生はあらゆる意思決定の連続だ。にもかかわらず私たちはしばしばその場の感情に左右されてしまい、あまりにも無自覚に意思決定をしている。

意思決定の質を高めることが、ビジネスや私生活において、どれほど重要かつ有用なことか。本書をひもとくことで、その事実をあらためて確認できるであろう。

しいたに

著者

アニー・デューク (Annie Duke)
ワールドシリーズ・オブ・ポーカー(WSOP)やNBCナショナル・ヘッズアップ・チャンピオンシップなど世界最高峰の大会で優勝した経験を持つ、数少ない女性ポーカープレーヤー。現役引退後は、ポーカーの競技経験と大学・大学院で学んだ心理学の知見を活かして、意思決定のコンサルタントとして活躍。非営利団体「How I Decide」を主宰し、青少年の考える技術を向上させる慈善事業にも従事している。コロンビア大学で英文学と心理学専攻、ペンシルベニア大学で認知心理学の修士号を取得。

本書の要点

  • 要点
    1
    私たちは「良い結果」につながったものを「良い意思決定」と見なしがちだ。しかし意思決定の内容と結果はつねに相関するわけではない。
  • 要点
    2
    どんなに「良い意思決定」をしたとしても、その時点では把握できていない情報や運が結果を左右することもある。しかも私たちの意思決定は、さまざまな心理的バイアスの影響を受けてしまう。
  • 要点
    3
    意思決定の質を向上させることは、あくまでも良い結果をもたらす「可能性を高める」手段であって、良い結果を「保証する」わけではない。しかし意思決定の質を向上させるべく努力しつづければ、いずれ人生やビジネスに大きな影響をもたらすだろう。

要約

「正しい」と「間違い」を定義しなおす

不確実な現実を無視した白黒思考
wildpixel/gettyimages

2016年の米国の大統領選挙は、多くの人にとってまだ記憶に新しい。事前の世論調査の結果から、多くの調査会社はヒラリー・クリントンの当選を予想しており、その確率は60~70%と見積もられていた。

だからドナルド・トランプが当選すると、マスコミや世間はいっせいに調査会社をなじった。「調査会社はミスをした」「ブックメーカーは間違いだった」というわけだ。しかしそれは30~40%というトランプ勝利の可能性が実現しただけにすぎない。それにもかかわらずメディアは、誰かがクリントンの勝利を事前に100%保証し、そしてその予測が誤ったかのように報じたのである。

私たちは結果を見たあとだと、事前に「どちらの可能性もある」と言われていたことを忘れてしまう。これは典型的な「後知恵バイアス」であり、不確実な現実を無視したオール・オア・ナッシング、すなわち「白黒思考」に他ならない。事前予想では0%から100%までさまざまな可能性が考えられたのに、結果が出るとそれを無視してしまうのだ。

「間違い」にはグラデーションがある

この選挙結果のように、30%~40%という確率の出来事が実現するのは決して珍しいことではない。私たちは経験上、そのことを知っているはずである。にもかかわらずその事実は無視されてしまうことが多い。

私たちは結果だけを見て、その判断が100%正解だったか、それともまったく間違っていたのかを評価しがちだ。しかし「確率」という観点では、正解と間違いのあいだには大きな幅がある。「意思決定には正解と誤りしかない」という考えを捨てたとき、両極のあいだを行き来できる自由が手に入れる。より良い意志決定について考えることは、白か黒かで判断するのをやめ、あいだのグレーに色調の目盛りをつけることなのだ。

「意思決定は未来に対する賭け」だと考えよう。そうすれば一度の結果の良し悪しで、それが「正しかった」か「間違っていた」かと判断することはなくなる。なぜなら意志決定そのものが正しくても、運や情報の不完全性が結果に影響すると考えられるようになるからだ。

「苦痛」を手放すために「快感」を手放す

物事を確率論的に考えられるようになれば、たとえ結果が悪かったとしても、そこから感じるあらゆる苦痛から解放されるだろう。結果が悪かったからといって自分が間違っていたわけではないし、結果が良かったからといって自分が正しかったわけでもないのである。

たしかに「自分は正しい」「こうなると思っていた」「ほら、言っただろう」と言うのは気持ちがいいことだ。しかし「間違う」ことの苦痛から解放されるためには、こうした「正しい」ことへの快感も手放さなければならない。そしてこの快感を手放すということは、私たちの判断を曇らせる、さまざまなバイアスから解放されるということでもある。

【必読ポイント!】 なぜ私たちの判断は歪むのか

意図的な理由づけ
francescoch/gettyimages

質の高い意思決定をするためには、物事や状況をできるだけ客観的に見なければならない。しかし往々にして、私たちのもつ主観がその妨げとなる。

私たちの主観を形成するメカニズムは、じつのところかなり単純だ。最初に得られた情報を真実と判断するのが私たちの初期設定である。そして新しい情報が入ると、それに合わせて主観を変えるのではなく、最初に形成された主観に合うように情報をねじ曲げて解釈してしまう。自分の主観に真っ向から対立する事実があったとしても、私たちはその事実を簡単には受け入れない。とにかく自分を肯定し、すぐれた自己イメージを保ちたいからだ。自分が「間違っている」ことは、その自己イメージにそぐわないのである。

ここでもオール・オア・ナッシングの思考が垣間見える。

要約全文を読むにはシルバー会員またはゴールド会員への登録・ログインが必要です
「本の要約サイト flier(フライヤー)」は、多忙なビジネスパーソンが本の内容を効率的につかむことで、ビジネスに役立つ知識・教養を身につけ、スキルアップに繋げることができます。具体的には、新規事業のアイデア、営業訪問時のトークネタ、ビジネストレンドや業界情報の把握、リーダーシップ・コーチングなどです。
この要約を友達にオススメする
確率思考
確率思考
不確かな未来から利益を生みだす
著者
アニー・デューク 長尾莉紗(訳)
未 読
書籍情報を見る
ジャンル
出版社
定価
1,900円 (税抜)
出版日
2018年09月17日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
本の購入はこちら
この要約を友達にオススメする
確率思考
未 読
確率思考
ジャンル
自己啓発・マインド
著者
アニー・デューク 長尾莉紗(訳)
出版社
日経BP社 出版社ページへ
定価
1,900円 (税抜)
出版日
2018年09月17日
本の購入はこちら

related summaries
一緒に読まれている要約

センスのいらない経営
センスのいらない経営
福島良典
未 読
リンク
すいません、ほぼ日の経営。
すいません、ほぼ日の経営。
川島蓉子 糸井重里
未 読
リンク
ヒットの設計図
ヒットの設計図
デレク・トンプソン 高橋由紀子(訳)
未 読
リンク
ブランド人になれ!
ブランド人になれ!
田端信太郎
未 読
リンク
構想力の方法論
構想力の方法論
紺野登 野中郁次郎
未 読
リンク
すごい無意識
すごい無意識
梯谷幸司
未 読
リンク
日本型組織の病を考える
日本型組織の病を考える
村木 厚子
未 読
リンク
近江商人の哲学
近江商人の哲学
山本昌仁
未 読
リンク

weekly ranking
今週の要約ランキング

1
自分の価値を最大にする ハーバードの心理学講義
自分の価値を最大にする ハーバードの心理学講義
児島修(訳) ブライアン・R・リトル
未 読
リンク
2
転職と副業のかけ算
転職と副業のかけ算
moto
未 読
リンク
3
人生100年時代の稼ぎ方
人生100年時代の稼ぎ方
和田裕美 久保明彦 勝間和代
未 読
リンク

Recommendations
イチオシの本

出版社のイチオシ#020
出版社のイチオシ#020
2019.09.20 update
リンク
『ランキングのカラクリ』
『ランキングのカラクリ』
2019.09.09 update
リンク
秋に読みたい本
秋に読みたい本
2019.09.02 update
リンク
要約の達人が選ぶ、今月のイチオシ! (2019年9月号)
要約の達人が選ぶ、今月のイチオシ! (2019年9月号)
2019.09.01 update
リンク

Interview
インタビュー

成功する人は「見た目の教養」を身につけている
成功する人は「見た目の教養」を身につけている
2019.09.03 update
リンク
脳内科医が教える「自分を変えるための片づけ」
【インタビュー】 脳内科医が教える「自分を変えるための片づけ」
2019.08.21 update
リンク
24歳店主が語る、「本の本」専門書店を開くまで
【これからの本屋さん】 24歳店主が語る、「本の本」専門書店を開くまで
2019.08.09 update
リンク
「文庫X」を生んだ書店員・長江貴士さんが本との出会いを創り続ける理由
【これからの本屋さん】 「文庫X」を生んだ書店員・長江貴士さんが本との出会いを創り続ける理由
2019.07.26 update
リンク
1
自分の価値を最大にする ハーバードの心理学講義
自分の価値を最大にする ハーバードの心理学講義
児島修(訳) ブライアン・R・リトル
未 読
リンク
2
転職と副業のかけ算
転職と副業のかけ算
moto
未 読
リンク
3
人生100年時代の稼ぎ方
人生100年時代の稼ぎ方
和田裕美 久保明彦 勝間和代
未 読
リンク
ダイバーシティの心得本 『その島のひとたちは、ひとの話をきかない』
ダイバーシティの心得本 『その島のひとたちは、ひとの話をきかない』
2017.07.21 update
リンク
会社が顧客よりも社員を大事にするべき理由
会社が顧客よりも社員を大事にするべき理由
2016.04.12 update
リンク