近江商人の哲学
「たねや」に学ぶ商いの基本

未 読
近江商人の哲学
ジャンル
著者
山本昌仁
出版社
定価
946円(税込)
出版日
2018年08月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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近江商人の哲学
「たねや」に学ぶ商いの基本
著者
山本昌仁
未 読
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定価
946円(税込)
出版日
2018年08月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
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おすすめポイント

バームクーヘンで有名な「クラブハリエ」をご存じの方も多いだろう。洋菓子部門「クラブハリエ」と和菓子部門「たねや」を率いて年間で200億円の売り上げを誇るのが、たねやグループだ。本書は、たねやグループの10代目として生まれ、グループCEOを務める山本昌仁氏による一冊である。

本書で語られるのは、家族経営の小さな菓子屋だった「種屋」が現在のような人気を集めるまでのヒストリーや、たねやグループならではの商売観、今や滋賀県一の人気スポットとなった「ラ コリーナ近江八幡」出店のねらいなどである。

本書ではたねやグループ成長の秘訣がいくつも語られているが、注目すべきが「すべてが本店」主義である。支店を出すのであれば、一家で移り住んで、すべてを投げ出して全力投球する。本店以上の存在に育てる覚悟が必要であるという考えだ。

予算制度を廃止したことも、参考になるだろう。これは、お客様本位で動いていれば結果はあとからついてくるという考えに基づいている。予算を気にするばかりに、無理な営業に走ってしまわないようにすることがねらいだ。

本書を読み終わる頃には、地元のお菓子屋さんだったたねやグループがなぜここまで大きくなったのか、その秘訣が理解できるはずだ。

ライター画像
木下隆志

著者

山本 昌仁(やまもと まさひと)
和洋菓子製造販売のたねやグループCEO。1969年滋賀県近江八幡市でたねや創業家の十代目として生まれる。19歳より10年間和菓子作りの修行を重ねる。25歳のとき全国菓子大博覧会にて「名誉総裁工芸文化賞」を最年少受賞。2002年、洋菓子のクラブハリエ社長、2011年たねや四代目を継承、2013年より現職。

本書の要点

  • 要点
    1
    たねやは「すべてが本店」主義。リスクを覚悟の上で、全力投球で全支店を本店以上の存在に育てている。
  • 要点
    2
    「本物」という考えは、たねやにとって最大のキーワードであり、こだわりでもある。ラ コリーナ近江八幡でも、「本物」を追求した。
  • 要点
    3
    たねやがめざすのは、アリのような組織だ。一人一人がバラバラに動き、全体として会社や社会のためになる組織が理想である。
  • 要点
    4
    お客様の喜ぶ顔さえ見ていれば結果はあとからついてくるという考えから、たねやは予算制度を廃止した。自分の成績よりお客様のほうを見ることのほうが重要だ。

要約

たねやとは

菓子屋が滋賀県一の観光スポットに

いま滋賀県でもっとも人が集まる場所は、菓子製造販売業・たねやグループのフラッグシップ店「ラ コリーナ 近江八幡」(以下、ラ コリーナ)だと言われている。もともと近江八幡は滋賀県の観光地の中心地ではなく、年間八十万人が訪れたら御の字だと評されていた街だ。しかし2017年、ラ コリーナを訪れた人はなんと285万人にのぼった。

ラ コリーナの敷地は甲子園球場3つぶんほど。そこにあるのは少しの店舗と広大な自然である。店舗を増やせばもっと稼げるのかもしれないが、それはたねやの本意ではない。たねやがラ コリーナで成し遂げたいのは、「たねやの生き方」を知っていただくことなのだ。

中途半端な出店はしない
画像提供/たねや

2017年、たねやグループの売上は、和菓子と洋菓子を合わせて200億円を突破した。「お客様に手渡すところまで自分たちでやる」をモットーにしており、同業他社に比べて多くのスタッフを抱えている。全スタッフ2000人のうち1000人強が正社員だ。

しかし、10代目である著者が生まれた頃にはまだ、たねやは家族経営で細々と営業する小さなお店であった。店舗は1店舗のみで、地元・近江八幡でしか知られていなかった。それがどうして、ここまで急拡大したのか。そこには、たねやならではの秘訣があった。

たねやは当初から高級路線を歩んでいた。著者の祖父の時代には、冠婚葬祭を中心とした進物用として、商品を料理屋などに納めていたためである。そのため、高級感が求められた。高単価で売れるため、高価な食材を使って品質を上げていくこともできたし、作り手として打てる手も増えた。このことが、たねやの商いに大きなアドバンテージになっていた。

たねやには「支店出すべからず」という家訓があった。身のほどをわきまえ、本店の商いに集中すべきだというわけだ。だが著者の父親はその家訓に背き、支店を出して4店舗体制を敷いた。そして冠婚葬祭用として大口注文を受けるスタイルから店舗販売へと重点を移していった。

しかし、売上は思うように伸びなかった。そこで気付いたことは、

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