MaaS
モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ

未 読
MaaS
ジャンル
著者
日高洋祐 牧村和彦 井上岳一 井上佳三
出版社
定価
2,000円 (税抜)
出版日
2018年11月26日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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MaaS
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モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ
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日高洋祐 牧村和彦 井上岳一 井上佳三
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定価
2,000円 (税抜)
出版日
2018年11月26日
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3.8
明瞭性
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革新性
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レビュー

MaaSとは、さまざまな移動手段をひとくくりのかたまりと捉え、それを別の拠点に移動するために使うことができるサービスなのだという。本書を読んで、きっとその得体のしれないかたまりの正体は、あの「どこでもドア」のようなものなのだろうと感じた。

近年の人類の歴史は、移動手段の進化とともにあるといってよいだろう。地球を飛び出して宇宙にまで行けるようになった今、もうこれ以上どこに行くのかと感じていたが、本書によってMaaSという全く違う方向性への進化がありえることに気づかされた。人の移動手段はまだまだ進化の途中で、私たちはその新しい進化の姿を目の当たりにしようとしているのだ。

移動手段の進化を促すMaaSは、クルマ社会が生み出したさまざまな社会問題を解決する可能性を持つという。想像すれば合点がいく。都市は道路と駐車場で埋め尽くされ、クルマにやさしいクルマのための都市となってしまっているのだ。それは人に優しい都市とはほど遠い。

高齢化が進む地方都市では、すでにクルマ中心の社会が弊害を生んでいる。従来の公共交通機関に加えて、カーシェアリングや自動運転といったさまざまな移動手段が登場するなか、移動手段をひとくくりにしてMaaSとしてサービス提供する概念は、都市部でも地方都市でもなくてはならないプラットフォームになるだろう。

ずっとほしい車がある。それは、MaaSという得体のしれないかたまりの中に飲み込まれ、一つのサービスになるのだろうか。

香川 大輔

著者

日高 洋祐(ひだか ようすけ)
2005年、鉄道会社に入社。ICTを活用したスマートフォンアプリの開発や公共交通連携プロジェクト、モビリティ戦略策定などの業務に従事。14年、東京大学学際情報学府博士課程において、日本版MaaSの社会実装に向けて国内外の調査や実証実験の実施により、MaaSの社会実装に資する提言をまとめる。現在は、MaaS Tech Japanを立ち上げ、MaaSプラットフォーム事業などを行う。国内外のMaaSプレーヤーと積極的に交流し、日本国内での価値あるMaaSの実現を目指す

牧村 和彦(まきむら かずひこ)
1990年、一般財団法人計量計画研究所(IBS)入所。モビリティ・デザイナー。東京大学博士(工学)。南山大学非常勤講師。都市・交通のシンクタンクに従事し、将来の交通社会を描くスペシャリストとして活動。代表的な著書に、『バスがまちを変えていく~BRTの導入計画作法』(IBS出版)、『交通まちづくり~地方都市からの挑戦』(共著、鹿島出版)、『モビリティをマネジメントする』(共著、学芸出版社)、『2050年自動車はこうなる』(共著、自動車技術会)など多数

井上 岳一(いのうえ たけかず)
1994年、東京大学農学部卒業。農林水産省林野庁、Cassina IXCを経て、2003年に日本総合研究所に入社。Yale大学博士(経済学)。法政大学非常勤講師(生態系デザイン論)。森のように多様で持続可能な社会システムの実現を目指し、インキュベーション活動に従事。現在の注力テーマは、自動運転技術を生かした「ローカルMaaS」のエコシステム構築。共著書に『「自動運転」ビジネス 勝利の法則』(B&Tブックス)、『公共IoT』(日刊工業新聞社)などがある

井上 佳三(いのうえ けいぞう)
2007年、自動車新聞社入社。立命館大学OIC総合研究機構客員研究員。モビリティサービスの専門誌「LIGARE」(リガーレ)を立ち上げ、移動の質の向上がQOLの向上につながることをモットーに数多くのモビリティを取材。18年からはLIGARE.Newsを立ち上げ、「ひと・まち・モビリティ」に関わるニュースを配信している。15年には立命館大学でFuture Mobility研究会に参画し、豊かなモビリティ社会実現を目指す。現在は、モビリティサービスについて、「伝える・ツナグ・創る」を実践

本書の要点

  • 要点
    1
    MaaSとは、従来のマイカーや自転車、公共交通機関などの交通手段をモノで提供するのではなく、サービスとして提供するという新しい概念で、決済手段の統合をも実現する。
  • 要点
    2
    MaaSの普及を見据えて、自動車業界、行政、公共交通機関が入り乱れてさまざま実証実験を行うなど、新しいMaaSの姿を模索する動きが激しくなっている。
  • 要点
    3
    MaaSはクルマ社会が生み出したさまざまな課題を解決するためのプラットフォームとして機能する。世界に類を見ないクルマ社会と整備された公共交通機関をあわせ持つ日本は、その恩恵を受けやすい。

要約

MaaSを理解する

MaaSとは
Preto_perola/gettyimages

フィンランドの首都ヘルシンキにて、2050年の将来交通ビジョンが策定された。ここで提案されたのは、化石燃料に依存しない次世代の交通社会だ。このビジョンのもと、自動車依存から脱却するための方策として、MaaS(Mobility as a Service、マース)が生まれた。

MaaSとは、マイカーや自転車、公共交通機関などの交通手段をサービスとして提供するという新しい概念だ。スマートフォンで行きたい場所を入力すれば、ルート検索から予約、決済までが行えるサービスだと理解すればよいだろう。

あなたのスマホには、交通関連のアプリがいくつ入っているだろうか。ルート検索のアプリ、鉄道運行情報アプリ、バスのアプリ、自転車シェアリングのアプリ……たくさんのアプリを駆使しているはずだ。MaaSでは、これらすべてがたった1つのアプリにまとめられる。自動車や鉄道、バス、タクシー、レンタカーといった従来の交通サービスに加え、カーシェアリングや配車サービスなどの新しい交通サービスもすべて統合され、利用者の移動を支援してくれる。

MaaSによって、移動がただ便利になるだけではない。MaaSの目的は、自動車と同等かそれ以上に魅力的なモビリティサービスを提供し、持続可能な社会を構築することだ。

MaaSオペレーターの役割

次々に誕生した。その主体はさまざまで、フィンランドのヘルシンキのように政府主導によって進められている取り組みもあれば、地方自治体や自動車メーカー、公共交通による取り組みなどもある。

代表的なのは、行政主導として最も進んでいるフィンランドのMaaSアプリ「ウィム」だ。このアプリでは、ヘルシンキ市内すべての公共交通機関に加え、カーシェアリング、レンタカー、タクシーが1つのサービスとして統合され、ルート検索から予約、決済まで行うことができる。さらには定額のサブスクリプションモデルで公共交通機関、レンタカー、タクシー(5km以内)、自転車シェアリングが乗り放題だ。タクシーを活用し、公共交通機関の課題であるラストワンマイルを補完している点がポイントだといえよう。

モビリティの進化とMaaSの誕生
Vera Agency/gettyimages

20世紀には、次々と新しい移動手段が誕生し、それらが産業構造を変え、社会を変えてきた。大量輸送手段として鉄道やバスが、よりきめ細やかな移動を提供するためにタクシーやハイヤーが生まれた。

そして21世紀。マイカーを所有することが当たり前だったが、カーシェアリングが「所有から利用へ」の流れを一気に加速させる。続いて自転車シェアリングも生まれ、2009年、米ウーバーテクノロジーズがライドシェアを爆発的に普及させた。

こうして移動手段が多様化したことで、最適な移動手段の検索という新たな市場を生み出した。最初に生まれたのは公共交通の経路検索サービスだ。やがて、配車サービスや自転車シェアなども含め、交通手段のなかから最適な交通手段を検索し、それを予約できる統合プラットフォームが登場していった。

こうした中、2014年にヘルシンキの学生であるソンジャ・ヘイッキラ氏が発表したのが、通称「MaaS」論文とよばれる論文だった。彼女は、慢性的な渋滞や駐車場不足、環境問題を引き起こす社会が人々にストレスを与えていることを述べるとともに、マイカーがなくても困らない社会を実現する方法を示してみせた。それが、MaaSオペレーターが介在するMaaSの世界だ。ヘイッキラ氏はヘルシンキ市当局を動かし、「Maas生みの親」の1人となった。

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