一流の頭脳

未 読
一流の頭脳
ジャンル
著者
アンダース・ハンセン 御船由美子(訳)
出版社
サンマーク出版 出版社ページへ
定価
1,600円 (税抜)
出版日
2018年03月05日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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一流の頭脳
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アンダース・ハンセン 御船由美子(訳)
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1,600円 (税抜)
出版日
2018年03月05日
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3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
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レビュー

脳は身体の一部だ。誰もが知っていることだが、情報化した現代社会に生きていると忘れがちなことでもある。身体の一部であるということはすなわち、トレーニングによって鍛えることも可能だということだ。

しかし著者によると、パズルなどの「脳トレ」にはあまり効果がないそうだ。それよりもずっと効果的なのが、意外にも運動なのだという。

原始時代、人間は狩りをして生活していた。食料を得て、生き延びるために、人間は現代とは比べものにならないほど活発に動きまわっていた。だから人間の身体は動くのに適したつくりになっており、脳もまた例外ではないそうだ。

そして脳を効率よく働かせるには、運動が最も効果的なのだという。本書では運動によってストレスにうち勝ったり、記憶力や集中力を持続させたり、すぐれたアイデアをひらめいたりするメカニズムが紹介されている。

特筆すべきは、必ず根拠となるデータを提示している点である。精神論やごまかしは一切なし。最新の科学でもわかっていないことは「わかっていない」とはっきり述べているのがフェアで読みやすく、かえって説得力がある。

本書は「ただちに本を閉じよ」と締めくくられている。この言葉どおり、読み終わった後にはすぐに身体を動かしたくなってくる。なんとなく集中できない、ストレスに気分や体調を左右されやすい人、またぼんやりとした不調に悩んでいる人におすすめしたい一冊だ。あなたの不調に必要なのは、運動かもしれない。

池田明季哉

著者

アンダース・ハンセン
精神科医。スウェーデンのストックホルム出身。
カロリンスカ研究所(カロリンスカ医科大学)にて医学を、ストックホルム商科大学にて企業経営を修めた。現在は精神科病院に上級医師として勤務するかたわら、多数の記事の執筆を行っている。2014年刊行の著書『HÄLSA PÅ RECEPT(健康の処方箋)』(カール・ヨハン・スンドベリとの共著、本書の前著)は、8か国で出版が予定されている。
これまでに、『ダーゲンス・インドゥストリ』(スウェーデンの経済新聞)、『E24/SvD』(スウェーデンを代表する朝刊紙のビジネス専門ウェブ版)、『レーカレ・ティードニング』(スウェーデンの医療関係者向けの雑誌)、『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』などに医学研究や医薬品に関する記事を2000件以上寄稿。ラジオやテレビでも情報を発信し、とくにテレビ番組『科学の世界』への出演で有名。講演活動も精力的に行っている。
精神科医として活動するかたわら、テニス、サッカー、ランニングに励み、週に5日、少なくとも1回45分取り組むようにしている。

本書の要点

  • 要点
    1
    ストレスがかかると、コルチゾールというストレスホルモンが分泌される。しかし運動を習慣づけると、やがてコルチゾールの分泌量がわずかしか上がらなくなり、ストレスに対する抵抗力を高めることができる。
  • 要点
    2
    太古の昔から、身体を動かすことは生存に必要な活動であった。だから運動すると「報酬系」と呼ばれるシステムが働き、ドーパミンが放出されてポジティブな気持ちになる仕組みになっている。
  • 要点
    3
    BDNFは、脳の健康に欠かせない物質だ。BDNFを増やすには、30~40分の有酸素運動を週に3回行うことが有効である。

要約

【必読ポイント!】 ストレスを取り払う

ストレスと脳の関係
primipil/gettyimages

人間は絶えずストレスにさらされている。ストレスは脳の働きを阻害し、不眠などの様々な症状を招く。

脳が何らかの脅威を感じると、脳の中の視床下部がホルモンを放出し、下垂体という部位を刺激する。すると下垂体が別のホルモンを放出し、それが血流によって運ばれ、副腎という部位を刺激する。その刺激によって、副腎からコルチゾールというストレスホルモンが放出される。

たとえばあなたが大勢の同僚の前でプレゼンテーションをしなければならないとする。あなたの動悸は速くなり、口の中は乾き、手はかすかに震えるだろう。こうした反応は、コルチゾールによって引き起こされている。

プレゼンテーションが終わり、ストレスを受ける状況から解放されると、コルチゾールの分泌量は速やかに減っていく。だがストレスを受ける状況が何カ月、何年と続くと、慢性的にコルチゾールが分泌され、脳の記憶中枢である海馬が委縮してしまう。ストレスは脳に損傷を与えさえするのだ。

コルチゾールを手なずける

ストレスにうまく対処するためには、コルチゾールが脳に与える影響を減らさなければならない。それには運動が有効だ。

運動している間は身体に負荷がかかるため、それが一種のストレスとなり、コルチゾールの分泌量が増える。運動が終われば、分泌量は運動する前のレベルまで下がる。運動を習慣づけると、運動している間のコルチゾール分泌量が増えにくくなる一方で、運動を終えたときには減りやすくなる。さらに、定期的に運動を続けると、運動以外のことが原因のストレスを感じたときにも、コルチゾールの分泌量はわずかしか上がらなくなっていく。

つまり運動によって、ストレスに対する抵抗力を高めることができる。

心拍数を上げてストレスに勝つ

ストレスに強くなるためには、筋力トレーニングよりも、ランニングやスイミングなどの有酸素運動が効果的だ。少なくとも20分、体力に余裕があれば30~45分続けるとなおよい。これを習慣化しよう。長く続けることで効果が出てくる。

週に2、3回は心拍数が大幅に増えるような運動をしよう。すると脳は、動悸が激しくなってもそれが恐怖からくるものではなく、プラスの変化をもたらすものであると学習していく。

ハードな運動をするのが難しいなら、ただ散歩するだけでもよい。ハードな運動をしたときほどではないが、ある程度の効果は期待できる。

集中力を上げる

選択的注意力は簡単な運動で改善する
Farknot_Architect/gettyimages

あなたは、同僚が雑談に花を咲かせていても、携帯からメールの着信音が聞こえていても、目の前の仕事に集中することができるだろう。このように、脳が要らない情報を遮断することを選択的注意という。選択的注意は、目の前のことに意識を集中するために欠かせない能力である。

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