あなたはこれまでに、本やセミナーなどに対して、「面白い」「感激した」などといった感想を抱いたことがあるだろうか。あるとしたら、それが具体的にどのような内容だったか、そこから何を学んだのか、どんなところに感動したのかを覚えているだろうか。きっと多くの人は、ほとんど覚えていないはずだ。
なぜこんなことが起きてしまうのか。著者によると、その理由は3つある。
1つめに、学習を「消費」ととらえているから。今やインターネットやテレビには学習に関するコンテンツが溢れている。その結果、学ぶことのハードルが低くなり、学ぶことの価値が落ちてしまっているのだ。この状況を打開するには、「消費」型の学習観を「投資」型に変えなければならない。そのカギは、学習の「目的の明確化」にある。
2つめに、学んだ内容を咀嚼していないから。著者や講師の言うことを鵜呑みにするのではなく、「思考整理」しながら学ばなければならない。
3つめに、学んだ内容を「短く要約」していないから。長すぎると、人はその内容を覚えていることができない。
学んだ内容を覚えておくためには、端的に要約することが重要だ。著者は「20字前後」にまとめることをすすめる。俳句も「五、七、五。」と句読点を入れれば20字だし、原稿用紙の1行も20字だ。20字あれば、伝えたい内容を表現することができる。
著者は、トヨタで働いていたときに要約力を身につけた。トヨタには、企画書や決裁書、稟議書から報告書、議事録にいたるまで、あらゆる書類をA4もしくはA3で1枚にまとめるという企業文化があった。各資料のフォーマットに枠が設けられており、その枠からはみ出して書くことはできない。この制約に縛られながら膨大な数の資料を作成し、上司から添削を受けるというサイクルを繰り返して、要約力を身につけることができたという。
枠という制約があることで、学習において重要な「思考整理」が促される。そしてその思考整理が、そのテーマの本質をつかむことにつながっていく。
20字でまとめる要約力、思考整理力を鍛えるには、トヨタの資料作成と同様に、「紙1枚」「枠」「テーマ」の縛りを設けて学習していくのが有効だ。
必要なのは、紙1枚と緑・青・赤3色のカラーペンだけ。紙のサイズはB5サイズ以上で、パソコンではなく紙に書くことをおすすめする。この紙に著者が提案するフレームワークを書き、テーマを決めて埋めていく。それが「『20字』インプット学習法」だ。
まず紙に、緑ペンでフレームワークを書き入れよう。左上には、日付とテーマを記入するフレームを用意する。たとえば自分が学びたいテーマについて本から知見を得る場合には、本のタイトルを記入しておく。
次に、その横に「P?」と書き、この本を読む目的を書き入れる。PはPurposeの頭文字だ。目的を書くことにより、目的達成に無関係な情報を切り捨てることができる。ここは重要なので、赤ペンで書こう。
「P?」の枠を埋めたら、その紙を横に置いて本を読み始める。読み方は自由だ。ただ、本を読みながら、先ほど書いた「P?」をチラチラ見るようにしよう。目的を忘れないようにするためだ。
本を読み終わったら、フレームワークの中段を埋める作業に移る。
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