トロント最高の医師が教える

世界最新の太らないカラダ

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出版社
サンマーク出版

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出版日
2019年01月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

減量したいと思ったとき、どんな対策を思い浮かべるだろうか。「低脂質・低カロリーの食事」「食べる量を減らして運動」という対策が定番であるが、本書の著者によれば、これらの方法には科学的な根拠がまったくなく、むしろ効果がないということが繰り返し証明されているというのだ。

本書の著者であるジェイソン・ファン氏はトロント在住の腎臓病の専門医である。著者は、末期腎不全患者の治療を行うなかで、透析治療は末期症状への対症療法でしかないことに気づいたそうだ。そして、勉強したとおりに症状に対処しているだけの状況に疑問を抱き、根本原因を探ってそれを改善しようと考える。そうして書かれたのが本書だ。

本書の特筆すべき点は、肥満自体を理解するための論理的な枠組みに大きく紙面を割き、マウスなどではなく人間で実証されたデータだけを参照しているうえ、参照先のほとんどを査読付雑誌に掲載された論文に限っていることだ。実際にクリニックで肥満改善プログラムを運営し、成果を出している著者の理論には説得力がある。

本書では、太る原因をインスリンの過剰分泌であると定義し、インスリンを分泌する食べ物を避けること、インスリンの分泌間隔を調整することを肥満対策として提案している。本書を読めば、肥満の原因と肥満解消が失敗しがちな理由、そして肥満を改善するための具体策が多角的な視点から理解できるようになるだろう。今度こそダイエットを成功させたいという方には必読の一冊といえるだろう。

ライター画像
池田明季哉

著者

ジェイソン・ファン
1973年生まれ。医学博士。
カナダのトロントで育ち、トロント大学医学部を卒業。同大学の研修医を経たのち、カリフォルニア大学ロサンゼルス校にて腎臓専門医の研修を修了。
2型糖尿病と肥満に特化した独自の治療を行う「インテンシブ・ダイエタリー・マネジメント・プログラム(集中的な食事管理プログラム)」(www.IDMprogram.com)を開発。クリニックでは、薬物療法ではなく、食生活の改善というシンプルだが効果的な方法に力を入れている。減量と2型糖尿病の治癒を目的として、治療のためのファスティングを臨床現場に取り入れた第一人者。
著書に『The Obesity Code』(本書オリジナル版)『The Complete Guide to Fasting』『The Diabetes Code』がある。また、雑誌『ジャーナル・オブ・インスリン・レジスタンス』の編集長(科学部門)、NPO「パブリック・ヘルス・コラボレーション」の理事長も務めている。このNPOは、エビデンスに基づいた栄養学上の情報を提供する国際的な団体である。
現在はトロントで、妻とふたりの息子とともに暮らしている。

本書の要点

  • 要点
    1
    肥満のおよそ70%が遺伝によるものだ。残りの30%は自らコントロールできる。
  • 要点
    2
    肥満と摂取カロリーに相関関係はない。同様に、肥満と運動量にも相関関係はない。
  • 要点
    3
    食べ物を食べるとインスリンが分泌され、糖や脂肪の貯蔵が促される。逆に何も食べないときには、インスリンの分泌量は減り、糖や体脂肪が燃やされる。
  • 要点
    4
    肥満を防ぐには、食事を摂らない時間を長くしてインスリンの分泌を妨げること、すなわちファスティング(断食)を行うことが効果的だ。

要約

肥満に関する誤った認識

エビデンスのない「低脂質・高炭水化物」推奨
vvmich/gettyimages

1950年代頃、アメリカでは、心臓病が大幅に増加した。そこで確かな証拠がなかったにもかかわらず、食品に含まれる脂質が原因だと結論づけられ、低脂質の食事が推奨された。

低脂質の食事には、問題があった。3大栄養素のひとつである脂質を減らすなら、その分、たんぱく質か炭水化物を摂らなければならない。だがたんぱく質を多く含む食品には脂質も多く含まれているため、脂質を減らすにはたんぱく質も減らす必要がある。つまり、脂質を制限するなら、必然的に炭水化物を多く摂らなければならないということだ。ここから「低脂質=高炭水化物」という式が成り立つ。

このようなジレンマのなかで、エビデンスも歴史上の前提もないままに「炭水化物は食べても太らない」と提唱されることになった。こうして炭水化物摂取を推奨し、脂質とカロリーを避ける食事が一般化していった。

「低脂質・高炭水化物の食事の推奨」という指針が発表された年、アメリカ人にどんな変化が起こったか。心臓病の発症率はさほど減少しなかった一方で、BMIが30以上という定義に基づいた肥満の人の割合は劇的に増えたのだ。

肥満の原因の70%は遺伝

肥満は「環境的な要因と個人の行動が招くもの」として、その人の自己責任であると思われがちである。

しかしデンマークで養子になった子供と生みの親・育ての親の比較を行った調査では、養父母と養子の体重にはまったく相関がなかった。その一方で、養子と生みの親の体重には一貫した相関関係が見られるという結果が出た。生みの親は、子の育児にほとんど、あるいはまったく関与していないにもかかわらずだ。

別々の環境で育てられた一卵性の双子を調査した別の研究では、肥満を決定づける要素のおよそ70%が遺伝によるものだという結果が出た。つまり、肥満は環境ではなく、遺伝で決まっている側面が大きいのだ。

逆に言えば、残りの30%は自らコントロールできる。私たちは、その30%をいかに活用するかを考えなければならない。

肥満を決める「設定値」

食べる量も運動も肥満とは無関係
imtmphoto/gettyimages

著者は、肥満と摂取カロリーは関係ないと断言する。複数の調査において、摂取カロリー量と肥満には相関関係がないことが繰り返し示されている。

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要約公開日 2019.03.30
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