最新医学が教える 最強のアンチエイジング

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最新医学が教える 最強のアンチエイジング
出版社
日本実業出版社

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出版日
2019年03月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

メディアで「体にいい」と紹介された食品は、爆発的に売れる。スーパーに行けば、すでに品切れ。探し回ってやっと手に入れたものの、あっという間に飽きてしまった――そんな経験はないだろうか。いくら体にいいといってもなかなか続かないのが人間だ。かく言う私も、身に覚えがある。

本書は、抗加齢医学の第一人者による、エビデンスにもとづいたアンチエイジングの指南書である。本書では、アンチエイジングのノウハウはもちろんのこと、老化が起こるメカニズムまでがわかりやすく紹介されている。アンチエイジングには、体にいい食物を摂り、体に悪い習慣を排除することが必要だという。なかなか悪習慣を断ち切れない人でも、その何気ない行動が体の中でどう作用しているかを知れば、きっと考えさせられるだろう。

老化を予防することは無理難題ではない。小さな正しいことを積み上げるだけだ。「最善の策はとれなくても、そのときにできる2番目、3番目にいいことをしよう」という著者の言葉がそれを物語っている。

今、健康だから、若いから無関係だと思うのは大間違いだ。今この瞬間にも、危険因子が体に悪影響を与えているかもしれない。「ちょっと気を付ければできること」はたくさんある。特に私のようについつい流行の健康法に乗っかりたくなる人には、一度、本書を読んでいただきたい。エビデンスにもとづいたアンチエイジングの大切さを実感できるのではないだろうか。

ライター画像
中山寒稀

著者

米井 嘉一(よねい よしかず)
同志社大学生命医科学部・アンチエイジングリサーチセンター教授。1958年東京生まれ。慶応義塾大学医学部卒業、同大学大学院医学研究科内科学専攻博士課程修了後、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校留学。89年に帰国し、日本鋼管病院(川崎市)内科、人間ドック脳ドック室部長などを歴任。2005年、日本初の抗加齢医学の研究講座、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンター教授に就任。08年から同大学大学院生命医科学研究科教授を兼任。日本抗加齢医学会理事。医師として患者さんに「歳ですから仕方がないですね」という言葉を口にしたくない、という思いから、老化のメカニズムとその診断・治療法の研究を始める。現在は抗加齢医学研究の第一人者として、研究活動に従事しながら、研究成果を世界に発信している。最近の研究テーマは老化の危険因子と糖化ストレス。

本書の要点

  • 要点
    1
    老化は病気であり、治療も予防も可能だ。機能年齢、危険因子から自分の弱点を知り、是正すれば、若さを保つことができる。
  • 要点
    2
    体内のタンパク質と食物から摂取する糖が結びつくことで起こる「糖化ストレス」は、老化現象すべてに影響している。
  • 要点
    3
    糖化タンパク質を増やさないためには、「茶・健康茶」「野菜・ハーブ」「発酵食品」「フルーツ」を積極的に摂取するのがおすすめだ。

要約

老化は病気である

老化の危険因子
master1305/gettyimages

老化には2種類ある。1年ごとに積み重ねられていく「正常な老化」と「病的な要因が加わった老化」だ。病的な要因とは、食べ過ぎ、飲み過ぎ、タバコ、運動不足などによって起こるメタボや高血圧などのこと。これらは一種の病気である。つまり治療や予防によって「病気」を治し、「若さ」を取り戻すことができるのだ。

まずは自分の体のどこが老化しているのか、そしてその老化がどのような原因で起きているのかを知ろう。どこから老化していくのかは、人によって異なる。筋年齢、血管年齢、神経年齢、ホルモン年齢、骨年齢の5つの機能年齢(老化度)を算出すれば、自分のどこが最も老化しているのかが明らかになる。加えて、免疫ストレス、酸化ストレス、心身ストレス、生活習慣、糖化ストレスの5つの危険因子の中で、最も進んでいるものを見極める。

老化の原因は人それぞれだ。アンチエイジングにおいて重要なのは、自分の老化の原因を探り当て、エビデンスにもとづいて自分の弱点を治すことである。

たった1つの危険因子が老化につながる

アンチエイジングの目的は、健康長寿である。健康寿命とは、コグニ(認知症)でもなく、がんや体の麻痺、大きな病気もなく、自立した状態でいることだ。

国内外で百長寿者の研究が行われているが、そのデータから読み取れることは、「百長寿者は老化のバランスがいい」ということだ。極端に衰えている部分がなく、大きな危険因子もない、「いい老化」をしている。

老化のバランスが悪いとどうなるか。たとえば、動脈硬化があったとする。動脈は、酸素や栄養分を体のいろいろな組織、臓器に供給している。そのため、動脈が硬化すると、脳への酸素や栄養の供給が滞り、脳神経細胞が減る率が早くなる。その結果、コグニが早く進んでしまうことになる。

また、頭がしっかりしていても、足腰や骨が弱っていると、ちょっとしたきっかけで転び、骨折してしまうことがある。いったん寝たきりになるとコグニになりやすくなる。そうなると、骨折が治っても、今までどおりの生活はできなくなってしまう。

このように、たった1つの危険因子が老化を促進させたり、寿命を縮めたりするわけだ。

【必読のポイント!】アンチエイジングの敵、糖化ストレス

体内のコゲ

糖化はアンチエイジングの敵だ。糖化とは、過剰に摂取した糖分が体内にあるタンパク質と結びつき、糖化したタンパク質が体内に蓄積することを指す。これを著者は「体内がコゲる」と表現している。小麦粉の中のデンプン(炭水化物)とタンパク質に熱を加えて糖化させることで、こんがりきつね色のホットケーキが出来上がるように。糖化反応は、食品を香ばしくおいしくするが、人間の体の中で起こると、糖尿病、高脂血症、肥満、メタボといったさまざまな疾患を招く。

糖化ストレスのしくみは、まだ十分にはわかっていない。対処方法も確立しておらず、私たちのアンチエイジングにとって最大の敵でありつづけている。

老化を早める物質「AGEs」
ViewApart/gettyimages

糖化したタンパク質はAGEsという最終生成物を生み出し、これが老化を早めることになる。

AGEsができる原因はさまざまだ。当初は、糖尿病の合併症などが糖化によって起こるため、血糖だけの問題かと思われていた。しかし今、血糖値が高い人や食後高血糖(血糖スパイク)になる人だけでなく、中性脂肪が多い人にもAGEsが多いことがわかってきている。

とくにお酒を飲むと顔が赤くなる人の場合、アルコールからできるアルデヒドを分解する酵素をあまり持っていないことが原因だ。そのため、アルデヒドとタンパク質が反応し、AGEsがどんどん作られてしまう。顔が赤くなる人は、お酒に人一倍注意しなければならない。

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要約公開日 2019.06.08
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