民主主義の死に方
二極化する政治が招く独裁への道

未 読
民主主義の死に方
ジャンル
著者
スティーブン・レビツキー ダニエル・ジブラット 濱野大道(訳)
出版社
定価
2,700円
出版日
2018年09月25日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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民主主義の死に方
民主主義の死に方
二極化する政治が招く独裁への道
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スティーブン・レビツキー ダニエル・ジブラット 濱野大道(訳)
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2,700円
出版日
2018年09月25日
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レビュー

要約者は、日本に生まれ育った者として民主主義は正しいものだと教えられ、またそれが存続すると信じてきた。しかし本書を読むと、そうではないことがわかってくる。しかも、私たちが当たり前だと思っていたことが、実は民主主義を破壊しようとしているというのだ。

その一例が選挙である。民主主義の根幹のように思われてきた選挙が、恣意的に操作・実施されれば、逆の結果を生むというのである。現にアメリカでは、独裁者主義的傾向のあるドナルド・トランプ大統領が選ばれ、世界全体が大混乱に陥っている。本書を読めば、現代アメリカ政治の混沌が民主主義の危機を象徴していることが、ありありとわかるだろう。

政治的な対立軸が先鋭化して、どうにも譲れない状態が起こっている。著者はこれを、「ガードレールがなくなってしまった状態」と表現する。相互的寛容と自制心の規範を指す「ガードレール」という言葉が、言い得て妙だ。この機能が失われたことで、過激な動きの歯止めがかからなくなってしまった。

民主主義はシステムとして意義あるものだが、運用次第で薬にも毒にもなる。著者は、アメリカ、欧州、南米の様々な具体例をまじえて、危機をどう克服してゆくべきかを提示する。そして、民主的なルールや規範を破るのではなく、むしろそれを護る努力をすべきだと説く。

民主主義の危機には、民主主義の制度を通じて対抗していくしかない。1人1人が護っていくべきだという指摘は、私たち日本人の心にも重くのしかかる。

毬谷 実宏

著者

スティーブン・レビツキー Steven Levitsky
ダニエル・ジブラット Daniel Ziblatt
ともに米ハーバード大学教授。レビツキーはラテンアメリカと世界の発展途上国を研究対象とし、著書に“Competitive Authoritarianism”(共著)などがある。ジブラットは19世紀から現在までのヨーロッパを研究し、著書に“Conservative Parties and the Birth of Democracy”などがある。二人ともニューヨークタイムズ紙やウェブメディアVoxなどへの寄稿多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    現役の指導者たちが政治的な責任を放棄したとき、アウトサイダーの大衆扇動家が権力を握り、その国は独裁政治への一歩を踏み出すことになる。
  • 要点
    2
    アメリカでは、極端な人物の進出を抑制するメカニズム、つまり「門番」が効果的に機能しなかった。そのため、ドナルド・トランプが大統領に就任するという道が開かれてしまった。
  • 要点
    3
    民主主義の死を防ぐには、平等主義、礼節、自由の感覚といった民主主義の規範を取り戻すだけでなく、ますます多様化する社会にそうした規範を行き渡らせなくてはならない。

要約

民主主義の危機は選挙から始まる

危機にさらされるアメリカ

アメリカの民主主義は危機にさらされている。この2年間の間に多くの政治家がとった行動は、アメリカでは前例のないものだった。それは世界のほかの場所で起きた民主主義の崩壊の前兆であった。

多くのアメリカ人は、これ以上悪くならないと信じ込もうとしている。だが、不安が消えることはない。今日のアメリカ政治は、ライバルを敵として扱い、報道の自由を脅かし、選挙の結果すら拒もうとする。そして2016年のアメリカの選挙で初めて、公職についた経験がなく、独裁主義的傾向のある男が大統領に選ばれた。

このことは何を意味するのか。軍事クーデターは民主主義を破壊するが、同じくらいの破壊力を持つ別のプロセスを経て、民主主義が破壊される例も少なくない。軍人ではなく、選挙で選ばれた指導者によって民主主義が死ぬこともあるのだ。

選挙を経た民主主義の崩壊は見えにくい
TheaDesign/gettyimages

冷戦後に起きた民主主義の崩壊のほとんどは、将軍や軍人などではなく、選挙で選ばれた政治家が率いる政権そのものによって引き起こされてきた。選挙というプロセスを挟んだ民主主義の崩壊は、恐ろしいほど目に見えにくい。

選挙で選ばれた独裁者は、民主主義の上辺を保ちながら、中身を骨抜きにする。民主主義を覆そうとする政府の動きの多くは、議会に認められ、逆に民主主義をよりよいものにする取り組みだと描かれるケースも多い。政府が明らかに独裁国家になる瞬間を特定することはまず難しい。社会に警鐘を鳴らすものは何もない。このように、民主主義の浸食は、多くの人々にとって目に見えないものなのである。

弱まる「柔らかいガードレール」

私たちは他国の民主主義の危機を学ぶことによって、アメリカが直面している課題について理解を深められる。世界の様々な国を比較しよう。すると、選挙で選ばれた独裁者たちが、驚くほど類似した戦略によって、民主主義の諸制度を破壊してきた事実が明らかになる。たとえ健全な民主主義の中においても、過激な思想を持った大衆扇動家が時々、表舞台に出てくるのだ。アメリカも例外ではない。

民主主義を護るための大切な試練は何か。それは、過激主義者が権力を握る前に、政治指導者たちがそれを阻止することである。彼らを政治のメインストリームから遠ざけ、民主的な候補者をサポートしなければならない。制度そのものでは、独裁者を抑制できないからだ。むしろ制度は政治的武器になる。

20世紀のほとんどの間、アメリカの民主主義を陰で支えてきたのは、相互的寛容、自制心という二つの規範である。二大政党の有力者たちは、お互いを正当なライバルとして受け入れた。寛容と自制の視点は、アメリカ民主主義の「柔らかいガードレール」として機能し、党派間の争いを避けるのに役立っていた。しかし、いまその力は弱まりつつある。

民主的な規範の弱まりは、政党の極端な二極化に根ざしている。しかも、二極化は単なる政策の差を超えて、人種と文化の差にまで影響を及ぼしている。この二極化がまさに民主主義を殺すのである。

ドナルド・トランプの政治的成功のワケ

効果的に機能しなかった「門番」の役割
Neydtstock/gettyimages

ドナルド・トランプの驚異的な政治的成功の背景には、多くの理由がある。だが、彼が大統領にまで駆け上がることを可能にした要因の一つは確かである。極端な人物の進出を抑制するメカニズム、つまり「門番」が効果的に機能しなかったためだ。

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グローバル 政治・経済 リベラルアーツ
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