「伝える力」と「地頭力」がいっきに高まる 東大作文

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出版社
東洋経済新報社

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出版日
2019年04月03日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

18万部を突破したベストセラー『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』。その著者である現役東大生の西岡壱誠氏が送り出す渾身の一冊が本書だ。東大合格までに編み出した作文術を、余すことなく公開している。

著者は漫画『ドラゴン桜2』の勉強法を編み出す、東大生団体「東龍門」のリーダーでもある。300人以上の東大生へのアンケートや100人以上の東大生の取材を通して、東大合格のための知恵やノウハウを徹底的に研究しているそうだ。その研究で明らかになったのは、東大生の、相手のことを考えた「双方向的な文章」を書く能力の高さである。東大の試験は全て記述式で、東大に合格するには、文章力は必須だからだ。

これはビジネスでも当てはまる。メール、報告書、議事録など、文章を書く機会は事欠かない。しかし、文章を書くことに苦手意識をお持ちの方もいるのではないだろうか。そのような方でも、本書のメソッドを実践することで、「相手に伝わる文章」の型が楽しく身につくはずだ。

とりわけ新入社員や若手社員の方にはぜひ本書をおすすめしたい。議事録、企画書、報告書を書く際にリードでき、自信を持って「伝わる書類」を作成できる。キャリアの早い段階で、文章力を身につけておくことは、今後どんな専門分野を極めていくにしても、大いに役立つだろう。最強のアウトプット術が今ここに。

ライター画像
木下隆志

著者

西岡 壱誠(にしおか いっせい)
1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。
崖っぷちの状況で開発した「暗記術」「読書術」、そして「作文術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。東京大学で45年続く書評誌「ひろば」の編集長を務める。講談社『モーニング』で連載中の「ドラゴン桜2」に情報を提供する東大生団体「東龍門」リーダー。18万部のベストセラーとなった『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』(東洋経済新報社)など著書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    「東大作文」は次の5つのステップから成る。言いたいことが正確に伝わる「あとがき作り」、見間違えるほど読みやすくなる「目次作り」、説得力が劇的に高まる「1人ディベート」、読者が思わず引き込まれる「質問トラップ作り」、そしてムダなく効率的に書く「枝葉切り」である。
  • 要点
    2
    「最後の一文」となる「あとがき作り」の際には、言いたいことを一言にまとめる「主張作り」、そして言いたいことを伝えた相手にどうなってほしいかを明確化する「目的作り」も必要となる。
  • 要点
    3
    「1人ディベート」では、「断言」することで、文章の説得力を高めることが可能だ。

要約

ステップ1:あとがき作りで「言いたいこと」がまっすぐ伝わる!

最初にやるべきことは「あとがき作り」
Deagreez/gettyimages

文章を書く際、何から取りかかるだろうか。「とりあえず書き出してみる」「文章構成を考えてみる」など、人によって答えはさまざまだろう。東大作文のポイントは、「あとがき作り」から始めることである。文章の最後を決めておかないと、伝わる文章を書けないからだ。

例えば、評論なら「結論」を書き、レポートなら「まとめ」を書く。スピーチやプレゼンなら説明した後に、「要するに~」と自分の主張で締めくくることが多いだろう。共通する大原則は、「最後に自分の言いたいことをもってくる」ということである。

読者にとって、最後に言われたことは印象に残りやすい。さらには書き手にとっても、文章の目的地を明確にしておいたほうが、圧倒的に文章を書きやすくなる。だからこそ、書き始める前に「最後に何を書くか」を決めておきたい。

主張作りで「言いたいこと」を一言に

言いたいことが決まったら、次は「主張作り」を行う。「主張作り」とは、「主張の型」を意識することで、「最後の結論」「自分が言いたいこと」を明確化することである。具体的な手順はこうだ。

(1)4つの「主張の型」から自分の主張の性質を選び、付箋に書く

(2)その型に沿って、付箋に「自分が書きたいこと」を3つ以上書く

(3)その付箋の中から「これを伝えたい!」という1つを選ぶ。残った付箋も作文するときの材料として利用する

では、その「主張の型」とは何だろうか。主張は「相手に何が言いたいか」によって、次の4通りの型のいずれかに当てはめられる。

1つ目は、自分が感じたことを伝えたいときに書く「感情型」である。例えば、感謝状、チャットなどで使われることが多い。自分の思い・感情を相手に伝えることで、相手とより親密になりたいときに用いるのが、「感情型」である。

2つ目は、相手に何かを知ってほしい、または理解してほしいときに書く「共有型」だ。議事録など、客観的に相手に情報を届けたい場合に、この「共有型」が役立つ。

3つ目は、相手に対してお願いしたいときに書く「要望型」である。要望書のように、相手に自分の主張を理解してもらい、そのうえでなんらかの行動をお願いしたい場合には、この「要望型」を使うとよい。

4つ目は、当たり前とされていることに一石を投じたいときに書く「警鐘型」である。論文やブログなどでこの型を用いることが多い。「要望型」との違いは、主観的か客観的かどうかである。主観的にお願いするのが「要望型」で、客観的に「こうしたほうがいいと思うよ!」と伝えるのが「警鐘型」である。

目的作りで「読者を引き込む」文章に
Twomeows_IS/gettyimages

「主張作り」で自分の言いたいことを明らかにしたら、次は「目的作り」を行う。「目的作り」とは、言いたいことを伝えた相手にどうなってほしいかを明確化することである。例えば、「文章を読んだ相手がどうなることが理想的なのか」「相手がどういう行為をすれば意味があったことになるのか」といったことだ。こうした「相手がどうすれば成功なのか」という意図を考えるのが、「目的作り」である。

「主張作り」は「自分→相手」であるのに対し、「目的作り」は「相手→自分」だ。これにより、東大作文の真髄である「双方向的な作文」が可能となる。

具体的には、「主張作り」で選んだ型に合わせて、「目的」と「手段」を次のように決めていくとよい。

・感情型 → 手段=「共感」、目的=「理解」

・共有型 → 手段=「納得」、目的=「理解」

・要望型 → 手段=「共感」、目的=「変化」

・警鐘型 → 手段=「納得」、目的=「変化」

ここでの「手段」は、相手に理論的に訴える「納得」、相手の感情に訴える「共感」の2種類に分けられる。一方、「目的」は、相手に変化を求める「変化(アウトプット)」、「相手に知ってほしいという「理解(インプット)」の2種類に分類できる。

例えば、「若者がもっと勉強しないと、日本は将来脆弱な国になる」という主張ならば、主張の型は「警鐘型」を使うとよい。相手に論理的に訴えかけ、具体的な変化を与える。つまり、「納得」が手段で「変化」が目的となるからだ。

売れている本や、読まれている記事の多くは、読んだ相手が具体的に変化してアウトプットすることまでを、はじめから目的にしているケースが多い。めざすのは相手を「変化」させる文章である。

ステップ2:目次作りで「見違えるほど読みやすい文章」になる!

「文章の型」をマスターしよう

主張が決まったら、いよいよステップ2の「目次作り」を行う。このステップでは、読者をきちんと理解して、目的に応じた正しい「文章の型」に文章を当てはめる。そして、その後はその型に合わせて書いていく。そうすれば、誰でも簡単に、伝わる文章の骨子を作成できる。具体的な「文章の型」を紹介しよう。

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要約公開日 2019.05.22
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