心を整えルー
心を整えルー
ティーが教えてくれた人生で大切なこと
心を整えルー
出版社
自由国民社

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出版日
2019年03月25日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「ルー大柴×茶道」。この異色の組み合わせが、つい気になった方もいるのではないか。英語と日本語を交えたユニークな「ルー語」で知られるルー大柴氏。彼は大柴宗徹という、茶道・遠州流師範の顔をもつのである。そんな彼が、茶道の魅力、茶道から学べる「人生で大切なこと」について、惜しみなく語ってくれるのが本書だ。

戦国武士たちが戦の疲れを癒した茶道は、現代を生きる私たちにも「心の整え方」を教えてくれる。何より、茶道には「おもてなしの心」など、仕事や人生に活きる知恵がつまっている。

著者が日本文化の極みであるティー道、つまり茶道に挑戦してから10年以上がたった。茶道のおかげで、ムダに肩肘をはらず、心穏やかに、そして他者目線も大事にできる人間に変わっていったという。今ではお茶碗を前にすると、心を整えるスイッチが自動的に入るというのだ。

「なぜ、茶道を始めたのか」「茶道がもたらしてくれるものは何か」「茶道のエッセンスを、仕事や人生にどう活用できるのか」。こうした疑問に、ユーモアたっぷりの「ルー語」でわかりやすく答えてくれる。今まで「茶道なんて自分には関係ないな」と思っていた人にこそおすすめしたい一冊だ。

茶道はどこでもエンジョイできる。形式にとらわれすぎず、楽しんで、心を整える。そうすれば、あなたが知らない世界の扉が一つ開くかもしれない。

ライター画像
木下隆志

著者

大柴 宗徹(おおしば そうてつ)
茶道師範。1954年新宿に生まれる。ルー大柴として俳優、タレントとして日本語と英語をトゥギャザーした話術を使う独自のキャラクターで活躍。 芸能活動のほか、2007年NHKみんなのうたに採用された「MOTTAINAI」をきっかけに、富士山麗の清掃や地域のゴミ拾いをするなど環境活動にも積極的に取り組む。 趣味はドジョウやメダカの採集、水墨画。茶道・遠州流師範、山野美容芸術短期大学客員教授も務める。

本書の要点

  • 要点
    1
    ティー道では、決められている所作、幅広く揃うティーの道具、茶室をとりまく庭の風景など、すべてが客人をもてなすためにある。
  • 要点
    2
    ティー道の基本は、「おいしいティーを飲んでもらいたい」と心を込めるためのテクニック総集編である。
  • 要点
    3
    日本にいながらティー道に縁がないまま過ごすのは、もったいない。まずはカタチからでもいいので、やってみることが大事である。
  • 要点
    4
    ティー道によって、もてなす側も、もてなされる側も度胸がついてくる。

要約

ティー道(茶道)との出合い

俳優への夢があきらめられず芸能界へ

著者は幼稚園の頃から、俳優になると決めていた。高校卒業後は、その夢に向かって芸能界へ飛び込んだ。しかし、俳優の仕事自体はときおり舞い込むだけ。いろいろな仕事をして食いつなぐ20代だった。30代に入ったころには、ほぼ夢はあきらめかけていたという。俳優一家に生まれたわけでもなければ、仕事をもらうコネもない。

しかし、未練を残したまま続けるうちに、やっと有名になるチャンスが到来した。それが、明るく激しいキャラ「ルー大柴」である。英単語を交えた自信満々なトーク。「トゥギャザーしようぜ!」のキャッチフレーズで、30代後半になった1990年代には一気に知名度がアップした。

ルー大柴十茶道=?
oluolu3/gettyimages

そんな著者が茶道を真剣に始めたきっかけは、周囲の人も著者自身も、「ルー大柴」というキャラに飽きてしまったことだ。しかし、いちど確立されたキャラは、すんなり変えられない。ピークを過ぎてからは仕事も減っていった。

大きな転換点となったのが、2007年にNHK「みんなのうた」で放送された『MOTTAINAI〜もったいない~』の歌手を務めたことである。「エコロジーのことを考えて、もったいないことをなくそう」。そんなメッセージが込められた曲を歌うことで、それまでのエゴイズムが強いルー大柴のキャラとは違う、社会性のある一面を出せたのだ。

しかし、それでもなお、人々が知っているルー大柴は「動」の部分。それは著者のなかの10分の1でしかなかったという。次は「静」の部分もきちんと伝えていきたいと願っていたところ、マネージャーがすすめてくれたのが茶道である。

著者は一回体験して、つい月謝を払うことになった。そして、月謝がもったいないので、少しだけ頑張ってみた。そのまま数回通うと、また次の月謝を払ってしまう。そんなことを繰り返していると、2013年には師範の許状をもらっていた。茶道を始めて、「動」の部分だけでなく「静」の部分も豊かになっていったことで、著者は以前よりも生きやすくなったという。

ティー道の精神

ティー道は心を込めるためのテクニック総集編
spica/gettyimages

ティー道で決められている一つ一つの所作、多岐にわたる茶道具、季節感あふれる床の間の飾り、茶室の造り、茶室をとりまく庭の風景。そのすべては客人をもてなすためにある。ティー道の基本は、「おいしいティーを飲んでもらいたい」と心を込めるためのテクニック総集編といえる。

もてなす側は、客人を迎えるために自分が用意しておいた掛け軸、生け花、お茶碗など、事前に作者や花の名前、背景のストーリーを調べておき、トークに備える。何を聞かれてもアンサーできるように脳内でシミュレーションしておくとよい。

そして、もてなされる側は、静かにお茶を楽しんでもよいが、茶室のなかで目についたポイントについて遠慮せず尋ねてみるとよい。尋ねられた方も心の準備はできているので対応しやすく、話が弾みやすい。

相手との距離を縮めるには、「相手に興味を持つ」ことに尽きる。この人はどういう考え方をしているのだろうか。何が好きなのだろうか。それを知るために相手をよく観察することで、多面的な見方が可能となる。

ちょっとした仕掛けが会話の糸口になる

ティー道における会話の順番は、日常の人間関係でも活かせる。初対面の人とは最初、当たり障りのないセオリー通りのご挨拶。そこから「シャツ、クールなデザインですね」などと、相手の持ち物を会話の糸口にするとよい。人は、自分の持ち物に興味を持ってもらえると、うれしくなるものだ。

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要約公開日 2019.05.25
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