セイバーメトリクスの落とし穴

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セイバーメトリクスの落とし穴
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セイバーメトリクスの落とし穴
ジャンル
出版社
定価
1,012円(税込)
出版日
2019年03月30日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.0
革新性
4.5
応用性
3.0
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おすすめポイント

日本には、野球が深く根付いている。プロ野球の試合がある日は必ずといっていいほど結果が報道されるし、まだ試合をしていない2月のキャンプ期間中ですら、チームの練習風景が連日公開される。高校野球においても期間中は毎日、全試合がテレビ中継される。野球ほど年がら年中、目に留まる機会が多いスポーツは、おそらく他にないであろう。

そんな野球ではほぼ必ず、選手の紹介と合わせて、打者であれば「打率」「打点」「ホームラン」、投手であれば「勝敗」「防御率」といった数字が紹介される。本書が問題提起するのは、こうしたデータの扱い方だ。本書のタイトルにある「セイバーメトリクス」とは、打率などの旧来の指標以上に勝敗に直結するデータを弾き出した上で、選手やチームを分析していく手法を指す。しかしどれだけ多様なデータがあったとしても、最終的にそれを分析するのは人だ。そこにデータの客観性とは相反する「主観」が入り込むことは避けられない。ここに問題があるという。

本書の著者であるお股ニキ氏は、プロ野球選手ではなく、一人の「野球好き」である。にもかかわらず、あのダルビッシュ有投手に変化球のアドバイスができる人物である。ちょっと信じられないような経験を持つ著者だが、おそらく野球の現場にいないからこそ、ちょっと違った視点で野球を見ることができるのだろう。果てしなく深い野球論を、ぜひお楽しみいただきたい。

ライター画像
三浦健一郎

著者

お股ニキ(@omatacom)(おまたにき)
ネット上で人気を博す野球評論家。プロ選手にアドバイスすることもあり、中でもツイッターで知り合ったダルビッシュ有選手に教えた魔球「お股ツーシーム」は多くのスポーツ紙やヤフーニュースなどで取り上げられ、大きな話題となった。本書が初の著書となる。

本書の要点

  • 要点
    1
    野球で活躍できる選手とは、攻撃ではより得点を増やし、投球・守備では失点を減らせる選手だ。セイバーメトリクスとは、統計・数値からこの観点を追求し、選手の評価や戦略を分析する手法のことである。
  • 要点
    2
    分析においては、どうしても主観やバイアスが入ってしまう。セイバーメトリクスの落とし穴はここにある。データ分析の数字を見てリスク回避に終始してしまうと、肝心なところで勝てないことがある。だから結局のところ、データ分析で重要なのは、分析をするセンスと感覚、切り口だ。

要約

野球とセイバーメトリクス

野球というスポーツの独自性

本論に入る前に、野球という競技の独自性を知っておこう。サッカーやバスケットボール、バレーボールといった主要な球技の多くは、相手の陣地(ゴール)までボールを運び、落とすか入れることで得点となる。一方で野球は、走者がホームベースを踏むことで得点が入るルールだ。ボールは関係ない。野球は「3アウトになるまでに塁を4つ進むと得点できるイニングを9回繰り返していく」という、すごろくやボードゲームの要素が強い、極めて独特なスポーツである。

セイバーメトリクスとは
Booblgum/gettyimages

野球で活躍できる選手とは、攻撃ではより得点を増やし、投球・守備では失点を減らすことができる選手だ。セイバーメトリクスとは、統計・数値からこの観点を追求し、選手の評価や戦略を分析する手法のことだ。近年、当然のように行われるようになっている。

具体的には、打者であればアウトにならないほど良く、長打で塁を稼げるほど良い評価となる。なぜ出塁率が重要かというと、アウトにならない率と等しいからだ。ホームランはそれ1本で得点になるし、二塁打や三塁打も走者をホームに生還させられる上、打者自身が塁に残ってさらなる得点機会を作り出せる。

一方で打率は、セイバーメトリクスにおいては重要ではない。なぜなら、シングルヒットもホームランも同じようにカウントされるため、打率が高いことがすなわち得点を増やすことに直結しているとはいえないからだ。

野球の最適バランス

最高のチームバッティングは、ホームランを打つことだ。しかしホームランだけを狙うと簡単に空振りをするし、三振してしまいかねない。一方で三振を恐れて当てに行くだけのバッティングをしていると、投手に恐怖を与えられないし、野手が前に出てくるのでヒットすら打ちづらくなる。

このように野球は、相反する要素の両立が求められる場面が多く、そのバランスが勝敗のカギを握っている。0か100かの二元論ではなく、常に最適なバランスを探っていかなければならないスポーツなのだ。

最適なバランスは、80~90パーセントであることが多い。とはいえ、時には0か100に振り切ってしまうこともあるだろう。そうしたケースも鑑みてバランス感覚を磨き、臨機応変に判断、実行できるようにならなければならない。

ピッチング論
Candice Estep/gettyimages

投手にとって一番大事なことは、失点を抑え、アウトを多く取ることだ。そのために投手は、自分が得意な球種・コースと打者が苦手な球種・コースを組み合わせて勝負していくことになる。つまりピッチングの本質は、投手が持つカードの数や質を活かして結果を最大化することにある。

ただし、手持ちのカードを増やすことにもリスクがある。

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