本書の要点

  • ユダヤ商法が「七八対二二の法則」の大法則に支えられている限り、決して損をすることはない。この法則に則って商売をするユダヤ商人は、世界を支配しているといっても過言ではない。

  • 金融業と商業を武器に世界に君臨する存在となったユダヤ人の人生の目的は、「おいしいものを心ゆくまで食べること」である。イデオロギーや国籍の違いをものともせず働き、金を儲けるのもそのためである。

  • 日本のマクドナルドから、国際的視野をもった新しい「ユダヤ商人」を生み出していくことができるだろう。

1 / 3

【必読ポイント!】 ユダヤ商法の法則とユダヤ商人

ユダヤ商法「七八対二二の法則」

著者は、ダイヤモンドからナイフやフォークといったものまで、多様な貿易で世界のユダヤ商人相手に取引をしてきた。そんな著者自身が商売の手本としてきたのが、まさにその相手であったユダヤ商人の考え方であり、本書はそれを世に広めるための一冊である。ユダヤ商人の商法は、まず「七八対二二の法則」という大法則によって成り立っている。これは、人間の力ではいかんともしがたい大自然の宇宙の法則とイコールだ。例として、正方形とその正方形に内接する円の関係がある。面積が一〇〇の正方形の場合、その正方形に内接する円の面積は七八・五。厳密にはプラスマイナス一の誤差があるとして、円の面積を約七八とすると、正方形の残りの面積は約二二だ。それ以外にも、空気中の成分が窒素七八に対して酸素等が二二の割合であることはよく知られている。また人間の体も、水分が七八、その他の物質が約二二だ。七八対二二は、人間がどうあがいても曲げることはできない、不変真理の比率であることがわかるだろう。ユダヤ商法が、この「七八対二二の法則」の大法則に支えられている限り、決して損をすることはない。著者自身も、この大法則に則って成功した経験がある。それはデパートでダイヤモンドを売り出す商いで、当初は誰もが懐疑的だった。しかし著者の考えはこうだった。世の中に出回っている金を一〇〇とすれば、七八を握っているのが金持ちの層であり、この金持ちクラスを相手に商売をすれば儲かるのは明白なのだ。案の定、ダイヤモンドの売上は予想を超え、各所で数億円を上回った。

世界を支配するユダヤ商人

Nastco/gettyimages

ユダヤ人、と著者がいうのは、ユダヤ民族のことである。彼らは世界中に散らばっており、当然ながらそれぞれの国籍は様々だ。ただし、世界の全ユダヤ人が集まっても、その人数は一三〇〇万ほどで、東京一都市の総人口とさして変わらないくらいである。人数は決して多くないのに、歴史上の重大発見であるとか、人類不朽の名作などはユダヤ人の手によるものが多い。ピカソ、ベートーベン、アインシュタイン、マルクス、イエス・キリストなど、こうした人物は皆ユダヤ人である。それ以上に重大なことは、欧米の名だたる商人の大半が、ユダヤ人であるということだ。貿易商として欧米で商売をしようとすれば、好むと好まざるとにかかわらず、ユダヤ商人を窓口とする以外にない。ユダヤ商人は、世界を支配しているといっても過言ではないのだ。

判断が迅速で的確なユダヤ商人

そんなユダヤ商人の相手をしてまず驚かされるのは、彼らの判断の確かさと速さだ。ユダヤ商人は世界をまたにかけて飛び回っているから、最低二カ国語はマスターしている。自国語でものを考えながら、同時に外国語でも考えることができるということは、物事を違った角度から幅広く理解できることにつながる。自国語しかしゃべれない商人よりはるかに的確な判断が下せるようになるわけで、これができるユダヤ商人は、国際商人としては大変強い。またユダヤ商人の判断が迅速なのは、彼らが暗算の天才であることによるものだ。例えば、日本の工場の係員が、工員の月額給与から一時間当たりの賃金を計算するのにたっぷり二、三分はかかるところ、ユダヤ商人は

もっと見る
この続きを見るには...
残り2866/4224文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2019.06.05
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

一瞬で人生を変えるお金の秘密 happy money
一瞬で人生を変えるお金の秘密 happy money
Ken Honda本田健(訳)
自己破壊経営
自己破壊経営
木村弘毅
マイ・ストーリー
マイ・ストーリー
長尾莉紗(訳)ミシェル・オバマ柴田さとみ(訳)
夢みるチョコレート工房
夢みるチョコレート工房
伊藤紀幸
The San Francisco Fallacy
The San Francisco Fallacy
ジョナサン・シーゲル飯田諒(訳)
大前研一 2019年の世界~2時間で学ぶ、今の世界を理解する3本の軸~
大前研一 2019年の世界~2時間で学ぶ、今の世界を理解する3本の軸~
大前研一(監修)good.book編集部(編集)
頭が冴える! 毎日が充実する! スゴい早起き
頭が冴える! 毎日が充実する! スゴい早起き
塚本亮
謝罪力
謝罪力
竹中功

同じカテゴリーの要約

AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣
AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣
越川慎司
壁打ちは最強の思考術である
壁打ちは最強の思考術である
伊藤羊一
しんどい世の中でどうすれば幸せになれますか?
しんどい世の中でどうすれば幸せになれますか?
橘玲樺山美夏
仕事の「判断ミス」がなくなる脳の習慣
仕事の「判断ミス」がなくなる脳の習慣
加藤俊徳
肩書がなくても選ばれる人になる
肩書がなくても選ばれる人になる
有川真由美
頭のいい人が話す前に考えていること
頭のいい人が話す前に考えていること
安達裕哉
きちんと伝わる説明の「型」と「コツ」
きちんと伝わる説明の「型」と「コツ」
阿部恵
AIエージェント革命
AIエージェント革命
シグマクシス
やりきる意思決定
やりきる意思決定
中出昌哉
生成AI最速仕事術
生成AI最速仕事術
たてばやし淳