ユダヤの商法

世界経済を動かす
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出版日
2019年04月25日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書の著者、藤田田(ふじた でん)氏は、昭和の時代を中心に活躍した実業家だ。一般的に馴染みがあるのは、日本マクドナルドの創始者としての藤田氏であろう。マクドナルドの日本第一号店がオープンした翌年、1972年に刊行されたのが本書の初版本だ。初版本を底本とし、このたび新装版が復刊された。今回要約するのは、その新装版である。

したがって時代背景は古いのだが、本書はその古さからむしろ、面白さが生まれてくる。本書内には、現代にはそのまま当てはまらないであろう主張や、現代では当たり前のようになってしまった主張も見られる。しかしながら、著者が述べる「ユダヤの商法」を基礎とする、商売で「お金を儲ける」ことの原理原則は、実は50年たってもほとんど変わっていないことのように思われるのだ。それはやはり、「ユダヤの商法」が時代に左右されない、商売に対する考え方だからではないだろうか。

一方で、もしも現代、「○○の商法」と銘打ってもてはやされるとしたら、それは「華僑の商法」になるのかもしれない。そこで華僑のビジネスとの違いを比較してみるのも、面白いのではないだろうか。

著者にとってはマクドナルドも数多く手がけた事業のうちの一つに過ぎないのであろうが、彼の嗅覚の正しさは時代が証明した。将来、実業家を志す人にとって、きっと学ぶことの多い一冊だ。

ライター画像
三浦健一郎

著者

藤田 田(ふじた でん)
1926(大正15)年、大阪生まれ。旧制北野中学、松江高校を経て、1951(昭和26)年、東京大学法学部卒業。在学中にGHQの通訳を務めたことがきっかけで「(株)藤田商店」を設立。学生起業家として輸入業を手がける。1971(昭和46)年、世界最大のハンバーガー・チェーンである米国マクドナルド社と50:50の出資比率で「日本マクドナルド(株)」を設立。同年7月、銀座三越1階に第1号店をオープン。日本中にハンバーガー旋風をまき起こす。わずか10年余りで日本の外食産業での売上1位を達成し、以後、トップランナーとして走り続ける。1986(昭和61)年、藍綬褒章受章。1989(平成元)年、大店法規制緩和を旗印に米国の玩具小売業トイザラス社との合弁会社「日本トイザらス(株)」を設立し、全国展開した。また、世界一のネクタイ・スカーフ製造販売会社である英国タイラック社と提携し、全国店舗展開した。(一社)日本ハンバーグ・ハンバーガー協会初代会長。
創立30年にあたる2001(平成13)年7月26日、日本マクドナルドは店頭株市場に株式公開を果たした。2004(平成16)年4月21日逝去(満78歳)。著書に『ユダヤの商法――世界経済を動かす』、『勝てば官軍』(小社刊)ほか多数。本年4月、藤田 田、6冊同時復刊。

本書の要点

  • 要点
    1
    ユダヤ商法が「七八対二二の法則」の大法則に支えられている限り、決して損をすることはない。この法則に則って商売をするユダヤ商人は、世界を支配しているといっても過言ではない。
  • 要点
    2
    金融業と商業を武器に世界に君臨する存在となったユダヤ人の人生の目的は、「おいしいものを心ゆくまで食べること」である。イデオロギーや国籍の違いをものともせず働き、金を儲けるのもそのためである。
  • 要点
    3
    日本のマクドナルドから、国際的視野をもった新しい「ユダヤ商人」を生み出していくことができるだろう。

要約

【必読ポイント!】 ユダヤ商法の法則とユダヤ商人

ユダヤ商法「七八対二二の法則」

著者は、ダイヤモンドからナイフやフォークといったものまで、多様な貿易で世界のユダヤ商人相手に取引をしてきた。そんな著者自身が商売の手本としてきたのが、まさにその相手であったユダヤ商人の考え方であり、本書はそれを世に広めるための一冊である。

ユダヤ商人の商法は、まず「七八対二二の法則」という大法則によって成り立っている。これは、人間の力ではいかんともしがたい大自然の宇宙の法則とイコールだ。例として、正方形とその正方形に内接する円の関係がある。面積が一〇〇の正方形の場合、その正方形に内接する円の面積は七八・五。厳密にはプラスマイナス一の誤差があるとして、円の面積を約七八とすると、正方形の残りの面積は約二二だ。それ以外にも、空気中の成分が窒素七八に対して酸素等が二二の割合であることはよく知られている。また人間の体も、水分が七八、その他の物質が約二二だ。七八対二二は、人間がどうあがいても曲げることはできない、不変真理の比率であることがわかるだろう。ユダヤ商法が、この「七八対二二の法則」の大法則に支えられている限り、決して損をすることはない。

著者自身も、この大法則に則って成功した経験がある。それはデパートでダイヤモンドを売り出す商いで、当初は誰もが懐疑的だった。しかし著者の考えはこうだった。世の中に出回っている金を一〇〇とすれば、七八を握っているのが金持ちの層であり、この金持ちクラスを相手に商売をすれば儲かるのは明白なのだ。案の定、ダイヤモンドの売上は予想を超え、各所で数億円を上回った。

世界を支配するユダヤ商人
Nastco/gettyimages

ユダヤ人、と著者がいうのは、ユダヤ民族のことである。彼らは世界中に散らばっており、当然ながらそれぞれの国籍は様々だ。ただし、世界の全ユダヤ人が集まっても、その人数は一三〇〇万ほどで、東京一都市の総人口とさして変わらないくらいである。

人数は決して多くないのに、歴史上の重大発見であるとか、人類不朽の名作などはユダヤ人の手によるものが多い。ピカソ、ベートーベン、アインシュタイン、マルクス、イエス・キリストなど、こうした人物は皆ユダヤ人である。

それ以上に重大なことは、欧米の名だたる商人の大半が、ユダヤ人であるということだ。貿易商として欧米で商売をしようとすれば、好むと好まざるとにかかわらず、ユダヤ商人を窓口とする以外にない。ユダヤ商人は、世界を支配しているといっても過言ではないのだ。

判断が迅速で的確なユダヤ商人

そんなユダヤ商人の相手をしてまず驚かされるのは、彼らの判断の確かさと速さだ。

ユダヤ商人は世界をまたにかけて飛び回っているから、最低二カ国語はマスターしている。自国語でものを考えながら、同時に外国語でも考えることができるということは、物事を違った角度から幅広く理解できることにつながる。自国語しかしゃべれない商人よりはるかに的確な判断が下せるようになるわけで、これができるユダヤ商人は、国際商人としては大変強い。

またユダヤ商人の判断が迅速なのは、彼らが暗算の天才であることによるものだ。例えば、日本の工場の係員が、工員の月額給与から一時間当たりの賃金を計算するのにたっぷり二、三分はかかるところ、ユダヤ商人は

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要約公開日 2019.06.05
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