アフターデジタル

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出版社
定価
2,420円(税込)
出版日
2019年03月25日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

本書のタイトルにもなっているアフターデジタルとは、行動データを高頻度で取得できるモバイルデバイスやセンサーの普及に伴い、データ化できないオフライン行動がなくなって「オフラインがデジタル世界に包含される」世界のこと。アリペイなどのモバイル決済やシェアリング自転車が普及した中国では、行動データが蓄積される環境ができており、日本より数歩先に実現している。

アフターデジタルの何が問題か。それは、ビジネスの戦い方が今までとは大きく異なってくる点だ。アフターデジタルにおけるビジネスでは、オフラインからオンラインまで生活の至るところに顧客接点を作り、顧客の行動データを取得する。そしてその行動データを活用し、顧客に対して最適なタイミングで最適なコミュニケーションを取り、商品・サービスの購入へと導く。

これは何も絵空事ではない。本書には、医療系スマホアプリで顧客接点を作り、顧客のオンライン・オフラインの行動を把握したうえで商品を販売する保険会社の事例が紹介される。本書はそうした成功企業の事例を交え、アフターデジタルにおける勝ち筋を理論的に解説している点が秀逸だ。

余談だが、私はビジネスライターとして、中国のデジタル化事情にそこそこ精通していると考えていた。そのため本書を読む前は、既視感のある事例ばかりかもしれないとも思っていた。しかし蓋を開ければ知らないことだらけ。本書を読んで得をすることはあれど損することはないはずだ。すべてのビジネスパーソンに一読をおすすめする。

著者

藤井 保文(ふじい やすふみ)
株式会社ビービット 東アジア営業責任者/エクスペリエンスデザイナー
1984年生まれ。 東京大学大学院学際情報学府情報学環修士課程修了。 2011年、ビービットにコンサルタントとして入社し、金融、教育、ECなどさまざまな企業のデジタルUX改善を支援。 2014 年に台北支社、2017年から上海支社に勤務し、現在は現地の日系クライアントに対し、モノ指向企業からエクスペリエンス指向企業への変革を支援する「エクスペリエンス・デザイン・コンサルティング」を行っている。2018年8月には『平安保険グループの衝撃― 顧客志向NPS経営のベストプラクティス』を監修・出版。2018年9月からはニューズピックスにおいて、中国ビジネスに関するプロピッカーを務める。

尾原 和啓(おばら かずひろ)
IT批評家、 藤原投資顧問 書生
1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用人工知能論講座修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタートし、NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援、リクルート、ケイ・ラボラトリー(現:KLab、取締役)、コーポレートディレクション、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、Google、楽天(執行役員)の事業企画、投資、新規事業に従事。経済産業省対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザーなどを歴任。著書「ザ・プラットフォーム」(NHK出版新書)はKindleビジネス書1位(15/6/11 Kindleランキング)、「ITビジネスの原理」(NHK出版)は2014年、2015年連続Top10のロングセラー(2014年7位、 2015年8位)

本書の要点

  • 要点
    1
    モバイル決済が浸透したことにより、あらゆる消費者の購買行動のデータが取れるようになり、「この人が何をどこで買うのか」が可視化できるようになった。
  • 要点
    2
    リアル世界がデジタル世界に包含されて「オフラインとオンラインの主従関係が逆転した世界」を「アフターデジタル」と呼ぶ。
  • 要点
    3
    アフターデジタル時代の成功企業の思考法を「OMO」という。OMOとは「オンラインとオフラインを融合し一体のものとした上で、これをオンラインにおける戦い方や競争原理と考えるデジタル成功企業の思考法」と定義できる。

要約

デジタル化する世界の本質

圧倒的な進化を遂げる中国のIT事情
jacoblund/gettyimages

中国は「デジタル先進国」だ。特に「モバイル決済」の普及は中国社会を大きく変えた。

主に使われているのは2つで、アリババ・グループの「アリペイ」とテンセントの「ウィチャットペイ」だ。この2つがあれば、ショッピング、タクシーや電車などの交通費の支払い、自動販売機、さらには個人間の割り勘まで、ありとあらゆる決済が完結する。

モバイル決済が浸透したことで、消費者の購買行動のデータが取れるようになり、「この人が何をどこで買うのか」が可視化できるようになった。それによって可能になったのが、「信用経済・評価経済の活用」である。そのうちの1つに、アリババ傘下の金融会社「アント・ファイナンシャル」が2015年にはじめた「ジーマ・クレジット(芝麻信用)」がある。

ジーマ・クレジットはアリペイの機能の1つだ。アリペイでの購買履歴や提携サービスの利用状況、アリペイ上の友人のネットワークなどといった膨大なデータを収集してAIで分析し、ユーザーの「信用スコア」が算出される。対象者は5億2000万人だ。

信用スコアの点数が高い人は、さまざまなメリットを享受できる。たとえば、アリババ提携企業が提供するサービスを受ける際に賃貸の敷金やレンタカーのデポジットが不要になる、海外の渡航ビザの取得プロセスが短くなる、賃貸物件を借りやすくなるなどだ。

企業側にもメリットはある。信用スコアが、その人を雇うかどうか、物件を貸すかどうかなどの指標になるのだ。その結果、リスク回避や、与信確認にかかるコストの削減が実現できる。

データが市民の行動を変え、社会を変える
IPGGutenbergUKLtd/gettyimages

信用スコアなどの評価システムが登場したことで、中国人は、「善行を積むと評価してもらえる」と考えるようになった。タクシーの配車アプリ「ディディ(滴滴、Didi)」などはその最たる例だ。

ディディでは、主に3つのデータを使って、ドライバーごとのユーザー満足度を計測している。

1つめは、「配車リクエストに対する応答時間」である。ユーザーが配車をリクエストした際、ドライバーがすぐにリアクションしたかどうかだ。

2つめは、「配車リクエストを受けた後のユーザーを待たせた時間」だ。配車リクエストが完了すると、ユーザーに到着推定時刻が通達される。ドライバーがこの通達通りに到着しているかどうかが計測される。

3つめは、安全運転かどうかだ。これは、GPSとジャイロセンサー(加速度センサー)から収集されるデータによって判断できる。

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