FUTURE INTELLIGENCE

これからの時代に求められる「クリエイティブ思考」が身につく10の習慣
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おすすめポイント

「クリエイティブな人」というと、なにか特別な能力を持ち、天才的な発想ができる人が思い浮かぶかもしれない。たしかに芸術家や創造的な仕事をしている人の中には、他の人には真似できない天賦の才能を発揮しているかのような人もいる。しかし本書が伝えたいのは、そうした天才性はかならずしも先天的ではないということだ。

著者たちは「天才」の持つ素質や考え方を解きほぐし、「遊び」「情熱」「夢想」「孤独」「直感」「好奇心」「瞑想」「繊細」「逆境」「異端」という10の要素に分けて解説していく。それぞれの項目で心理学的な裏付けがされており、相応の説得力が感じられる。

とりわけ興味深いのは、内向的であったり、集中力がなく傷つきやすかったりといった「常識」で考えたらマイナスに感じる面が、実はクリエイティブ思考にとっては大きな強みになりうるという指摘だ。読者にとっては、欠点と思っていた部分を長所に変え、考え方を変えるきっかけになるだろう。

「仕事をするうえでクリエイティブになるにはどうすればいいか」という関心に応えるだけでなく、「自分がより幸せな人生を歩むにはどのような考え方をすればよいか」という人生観にまで踏み込んだ一冊である。これからの時代を生きる人すべてに一読をおすすめしたい。

著者

スコット・バリー・カウフマン (Scott Barry Kaufman)
知性と創造性を専門とする心理学者。ニューヨーク大学の非常勤准教授、ペンシルベニア大学ポジティブ心理学センター内、イマジネーション研究所の科学ディレクター。知性を再定義する試みがメディアの注目を集めている。アメリカ心理学会Daniel E. Berlyne賞、メンサ・インターナショナル賞を受賞、ビジネスや技術関連のニュースウェブサイト「ビジネスインサイダー」において、「世界を見る目を変える傑出した科学者50人」に選ばれた。フィラデルフィア在住。

キャロリン・グレゴワール (Carolyn Gregoire)
ネット新聞『ハフィントンポスト』のシニアライター。心理学、精神衛生、神経科学を専門とする。TEDやハーバード公衆衛生フォーラムで講演を行ない、MSNBC、トゥデイ、ヒストリーチャンネル、ハフィントンポスト・ライブに出演している。ニューヨーク市在住。

本書の要点

  • 要点
    1
    夢を現実にできる人は、未来についての楽観と、目標に近づくための現実的な戦略、すなわちインスピレーションと努力を調和させることができる人である。
  • 要点
    2
    洞察力が必要とされる問題を解くには、知性や理性だけでなく、常識にとらわれずに視点や戦略を切り替える能力(=賢い「無意識」)が必要である。
  • 要点
    3
    どんな形であれ「未知のものを探求したいという欲求」を持っていることが、クリエイティブな仕事につながるもっとも重要な人格の特徴である。
  • 要点
    4
    クリエイティブな人は世の中で支持されている考え方を拒み、斬新なアイデアを支持する。

要約

ひと続きの遊びと夢

仕事と遊びの境目?

「スーパーマリオ」の生みの親である宮本茂はかつて、「ニューヨーカー」誌のインタビューにこう答えた。「実用的でないものは何でも遊びになる。つまり遊びとは、動物として生きていくのに必要でないことを、あえてすることなのだ」

遊びに本質的な機能がひとつあるとすれば、それはクリエイティブ思考と柔軟な脳の発達を促すことである。柔軟な発想は遊びの中で鍛えられるものだ。クリエイティブな仕事で最善の結果が出るのは、真剣な時間と遊びの時間がうまく組み合わさったときである。遊び心は、常識的な考え方からの脱却を促す。

加えて、遊ぶことの多い大人はストレスを感じにくい。最近の調査によると、彼らはストレスをうまく扱い、人生により満足し、より多方面で成功を手にしているという。

「遊び」に夢中になって
Orla/gettyimages

ある物事に急に夢中になった結果、普通ではない才能を発揮し、芸術家になるという人は少なくない。

世界観や自己認識に永続的な変化を起こし、その人自身と活動が一体化するような経験を「結晶化(クリスタライジング)」という。そのような経験は「これをやりたい」という強いインスピレーションを呼び起こす。そしてその夢を追い続けるために、自分を成長させようと努力を促す。こうした情動は「他者と比較して評価を得たい」という気持ちとは明確に異なっており、純粋に自分の側を向いている。

長い道のりを経て夢を現実にできる人は、未来についての楽観と、目標に近づくための現実的な戦略を調和させることができる。すなわちインスピレーションと努力、夢見ることと実行することを、うまくブレンドできるのだ。

夢はアイデアのもと

夢を見るとはどういうことだろうか。心理学者のジェローム・L・シンガーは、「肯定的かつ建設的な夢想(マインドワンダリング)」という表現を編み出した。シンガー曰く、多くの人は「夢想を楽しみ、時間をとられることを厭わないどころか、むしろ単純作業をしている時や暇な時に積極的に夢想にひたることで、今後の計画を立てている」という。

こうした夢想は、決して時間の無駄にならない。それどころか自分が何を考え、どう感じているかを知るための、かけがえのないツールとなる。夢想は未来を創造する第一歩なのだ。

また夢想と同様に、ウォーキングなどの気分転換も、ムダなものに固執している気持ちを解放し、考え方を建設的な方向に向かわせてくれる効果を持つという。

ひとりの時間で考える
fcscafeine/gettyimages

創造という行為は、しばしば孤独の中で展開されていく。クリエイティブ思考の人は革新的なアイデアをひねり出すため、まずひとりきりの環境を必要とし、そのアイデアを概念や製品にまとめる段階に至って、はじめて共同作業をする。

ひとりで内省すると、脳は情報をうまく処理し、記憶をクリアにし、つながりをつくり、アイデンティティを確立してくれる。そして感情をコントロールし、経験から意味を読み取り、さらには道徳的な判断を下せるようになるのだ。

【必読ポイント!】 無意識な天才

無意識の声を聞く

創造のもととなるひらめきや、これまでと異なる考えは、直感と好奇心から始まる。

ノーベル賞受賞者のダニエル・カーネマンと共同研究者のエイモス・トヴェルスキーの理論によると、思考のプロセスは「システム1」と「システム2」のふたつから成り立っているとされる。

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要約公開日 2019.09.09
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