Being Management

「リーダー」をやめると、うまくいく。
未読
日本語
Being Management
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「リーダー」をやめると、うまくいく。
未読
日本語
Being Management
出版社
定価
1,760円(税込)
出版日
2019年05月30日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

江戸時代から200年以上続く老舗の和菓子屋「船橋屋」に、就職希望の新卒1万7000人が殺到しているという。10年で経常利益6倍を達成したという船橋屋は、役員を社内選挙で選出するなど、ユニークな取り組みが注目を集め、メディアでも多く取り上げられている。しばらく前まで、いわゆる老舗企業であった船橋屋を激変させたのは、八代目当主である渡辺雅司氏だ。本書は、渡辺氏が、長年にわたって試みてきた「Being Management(経営)」についてまとめる一冊である。

このBeing経営とは、端的にいえば、一人ひとりの「幸せ」に重きを置いた経営ということだ。この経営は、「もっともっと」と欠乏感を充足させるように目標を設定したり、がむしゃらに成果を追い求めたりすることとは本質的に異なる。まず組織のメンバーの「幸せ」を実現することで、それぞれの仕事を好循環させ、それが自然に会社の業績につながっていくというのがBeing経営である。

本書では、実際の船橋屋での取り組みを紹介しながら、Being経営の考え方に立脚した組織論、人材開発、マーケティングなどを解説する。チームを率いる立場は何をすべきかについても本書に書かれているため、経営者だけでなく、多忙な業務に日々追われる管理職や中堅社員の方にも役に立つ一冊である。リーダーとして、本当にすべきことが見えてくるはずだ。

ライター画像
木下隆志

著者

渡辺 雅司(わたなべ まさし)
(株式会社船橋屋 代表取締役八代目当主)
1964年、東京都江東区亀戸に生まれる。立教大学卒業後、三和銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。1993年に家業を継ぐために「元祖くず餅船橋屋」に入社。2008年、八代目当主に。以降、老舗の伝統を守りつつさまざまな組織改革で、若い女性などファン層の拡大に成功。増収増益を続ける。近年は、「くず餅乳酸菌®」による新商品開発などイノベーションを次々と起こす。また、全国各地に赴き、組織改革や人財育成について講演活動もしている。

本書の要点

  • 要点
    1
    「今、ここ、自分」を大切に、「幸せ」を経営の基準に据えるようになってから、船橋屋に好循環が生まれた。自らの心に素直に従って「ありのまま」を目指していくことが、「Being経営」の真髄である。
  • 要点
    2
    社員の「幸せ」につながる組織運営の取り組みの一つが、選挙で幹部を選出する「リーダーズ選挙」である。
  • 要点
    3
    船橋屋の人財開発では、一人ひとりが輝けるよう、「場の力」をつくることを仕事としている。そのための「公平な評価制度」をつくるにあたって、具体的な施策として取り組んだのが「職人マイスター制度」だ。

要約

【必読ポイント!】Being経営のメソッド

経営を通じて学んだ「今、ここ、自分」

「船橋屋」は、東京・下町の老舗和菓子屋だ。1805年に創業し、亀戸天神の境内で「くず餅」をつくってきた。ちなみにこの「くず餅」は、関西に多い「葛餅」とは製法が異なる。

下町の老舗和菓子屋船橋屋を激変させたのが、8代目当主である著者の「Being経営」である。

Being経営の土台となっているのは、「Being life」と表現される状態――現状を「これでいいのだ」と自然に受け入れる境地――である。著者は船橋屋の経営を通じて、未来や過去でなく「今」に心を置き、足をつけている「ここ」を再確認して「自分」に向き合うことで、進むべき道を探り当ててきた。ただ、「Being life」の考え方にも通じる、この「今、ここ、自分」という言葉にたどり着くのは、簡単ではなかった。

「べき」にとらわれていないか
tadamichi/gettyimages

著者は大学卒業後、三和銀行(現・三菱UFJ銀行)に7年間勤務した後、1993年に船橋屋に専務取締役という立場で入社した。

銀行の堅い職場環境から一転して、パンチパーマやリーゼントの社員が働く環境に飛び込み、著者はたいへんなカルチャーショックを受けた。そして、理想とする会社をつくれるのか、後継者として結果を出さなくては、と不安や焦りにとりつかれてしまった。そのため、ときにトップダウンで強引なやり方を選び、社内で一人孤立するようになっていった。

そうなってしまったのは、「理想の経営者像」に縛られすぎていたせいだった。著者は、銀行員時代に立派な経営者たちを何人も見てきた。彼らは、バブル崩壊の厳しい時代でも、強いリーダーシップを発揮して利益を叩き出し、会社を成長させていた。そんな理想の経営者像を追いかけつつも、そのとおりに物事が進まないという激しいギャップが、焦りや苦しみを生んでいたのだ。

社長なのだから、自分がみんなを引っ張るべき。社員とはこうあるべきなのに、みんながわかってくれない。そうした、たくさんの「こうあるべき」「こうすべき」という考えにとらわれ、追い詰められていたのである。

経営理念を見つけるため、原点に立ち返る

「べき」という思い込みから解き放たれるため、そして新しい経営のやり方を見つけ出すため、著者は何度も自問自答を繰り返すことになった。

答えは、そもそもの根幹のところ、船橋屋は何なのかというところにあった。船橋屋は誰のために存在しているのか、という問いに対する、売り手・買い手・世間の「三方良し」を目指すという答え。そして、船橋屋はなぜ存在しているのか、という問いに対する、「くず餅という唯一無二の食文化を守り発展させることで、私たちに関わるすべての人を幸せにする」という答え。この2つが明確になったことで、進むべき道ややるべきことが見えてきた。

次に向き合ったのが、「くず餅とは何か」という命題だ。「くず餅」は小麦粉からグルテンを取り除いたでんぷんを、450日間発酵させてつくる。消費期限は短く、たった2日だ。

保存料等を使うという選択もせずに、自然のままの製法を守り続けてきたのは、

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