論理的思考のコアスキル

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論理的思考のコアスキル
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出版日
2019年04月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

論理的な思考が重要であることは疑うべくもないが、いざ鍛えて伸ばそうとしても、実際にはなかなか難しい。たとえば筋肉を鍛えるのなら、基本的には負荷をかけて動かしていけばよいし、成果も目に見えやすい。しかし論理的思考力は目に見えない。それだけに、具体的にどのようなトレーニングを行っていけばよいか想像しにくい、という人は決して少なくないだろう。

本書は論理的思考の鍛え方について、理論から実践方法までを体系的に学ぶことができる指南書だ。著者はまず、人間の脳がどのように思考しているのかという説明から始める。脳科学について知識のない入門者であっても、絶妙に分かりやすい例や図によって、自らの脳がどのようなメカニズムで動いているのかを把握することができるだろう。その上で、論理的思考力に必要な「コアスキル」は何か、どうやって鍛えるのかという本論に入っていく。

スポーツにおいて反復練習が重要なのと同じように、論理的思考も正しい思考を無意識下で行えるようになるまで練習する必要がある。理論をしっかりと理解したうえで、紹介されているトレーニング方法に沿って実践していけば、実際に使える論理的思考力を身につけられる。

ただ知識をつけて「分かった」だけでは、論理的に思考することはできない。「分かった」うえで「できる」ようになるまでをサポートしてくれる本書の力を借りて、論理的思考を自らのものとして活用してほしい。

ライター画像
池田明季哉

著者

波頭 亮(はとう りょう)
1957年愛媛県生まれ。東京大学経済学部卒業。マッキンゼーを経て、88年(株)XEEDを設立し独立。戦略系コンサルティングの第一人者として活躍する一方で、明快で斬新なヴィジョンを提起するソシオエコノミストとしても注目される。著書に、『プロフェッショナル原論』『成熟日本への針路』(ともにちくま新書)、『知識人の裏切り』(西部邁との対談、ちくま文庫)、『経営戦略概論』『戦略策定概論』『組織設計概論』『思考・論理・分析』『リーダーシップ構造論』(以上、産能大学出版部)、『AIとBIはいかに人間を変えるのか』(幻冬舎)ほか多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    論理的思考とは、情報と知識を組み合わせて、客観的妥当性を有する思考によって、2つ以上の命題が「したがって」もしくは「なぜなら」でつながれる構造を作り出すことである。
  • 要点
    2
    論理的思考能力に必要な3つのコアスキルは、「適切な言語化」スキル、「分ける・繋げる」スキルと「定量的な判断」スキルだ。
  • 要点
    3
    3つのコアスキルを、意識せずとも自然に実践できるまで練習して磨くことで、論理的思考能力が身につく。練習は「何を」も重要だが、「どうやって」がさらに重要だ。

要約

論理的思考とは

「思考」とは何か
Katsiaryna Pleshakova/gettyimages

思考とは、情報と知識を加工することである。少し説明すると、対象から得られる情報と、自分の知識を照らし合わせたり繋げ合わせたりすることで、なんらかの結論を導くプロセスが「思考」である。

思考の成果として「事象の識別」と「事象間の関係性の把握」が得られる。事象の識別とは、「これは菜の花だ」「この症状は風邪の症状だ」というふうに、「それが何か」が分かることだ。事象間の関係性の把握とは、たとえば、「薄着で出かけた」ことが「今日風邪をひいている」ことと原因・結果の関係にあるというような分かり方である。複雑な思考作業は、これら二つを組み合わせたり積み上げたりすることによって行われる。

「事象の識別」が積み重なれば、情報を分類・体系化し、具体的な事物から抽象的な性質を見つけ出すことができる。たとえばさまざまな海の生物を、魚、頭足類、二枚貝……というふうに意味づけして分類するようなことだ。

「事象間の関係性」は「独立」「相関」「因果」の3つのうちどれかに分類される。「相関」の特殊形態である「因果」を見いだすことには、大きな価値がある。因果関係を解明することで、結果をコントロールできるからだ。また、原因と結果の前後関係を理解することは、思考に時間軸が加わることでもある。これにより、時間軸に基づいて過去・現在・未来の全ての事象を思考するということが可能になるのである。

このようにして、人は森羅万象を分かるための思考の方法と領域を有しているのである。

「論理」とは何か

論理とは2つ以上の命題を「したがって」(原因と結果)、または「なぜなら」(理由づけ)でつなぐ構造である。そして、「論理的である」と認められるには、その論理が受け手の理解の範疇で客観的妥当性を有していなければならない。例えば、「E=mc2、したがって、時間は可変である」という論理は正しいが、客観的妥当性を満たすには、それを提示される人々が理解できるようにその論理を展開しなければならないのだ。

ここまででいったん、「論理的思考」とは何かを導き出すことができる。「論理的思考」とは、情報と知識を組み合わせて、客観的妥当性を有する思考によって、2つ以上の命題が「したがって」もしくは「なぜなら」でつながれる構造を作り出すこと、である。

「論理的思考」によって正しい結論を得るには

正しい論理展開を行うための方法論としてよく用いられるのが、演繹法と帰納法である。演繹法は、ある命題と前提とを照らし合わせて、意味的包含関係を判断することで結論を導く。そのため、論理が客観的妥当を帯びるには、前提が普遍的に正しいことが必須条件だ。例えば「年長者は敬うべきである」といった道徳や社会的通念などは、十分な普遍性を有しているとは言い難いことも多いため、演繹法における前提条件として適切でないと考えられる。

一方、帰納法は、複数の観察事象から共通事項を抽出し、それを一般命題化して結論とする。結論は、その正しさの度合いの強弱によって判断され、絶対性はないという欠点がある。

ただし、演繹法や帰納法を使って正しい論理展開を行なったとしても、必ずしも客観的に正しい結論が得られるわけでは

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要約公開日 2019.08.27
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