「このままでいいのか」と迷う君の 明日を変える働き方

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「このままでいいのか」と迷う君の 明日を変える働き方
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「このままでいいのか」と迷う君の 明日を変える働き方
出版社
日本実業出版社
出版日
2014年03月13日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書はアップルの創業者、スティーブ・ジョブズの言葉から始まる。これは、2005年、ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で、まさにこれから働こうとする卒業生たちに送ったメッセージだ。

『偉大な仕事をするための唯一の道は、あなたの仕事を愛することです。もしもまだ好きなことが見つからないなら、探し続けてください。立ち止まってはいけません。本当に好きなことを見つけたときには、自分でもそれとわかるものです。』

就職活動をするとき、みなさんもこのような論点にぶつかった経験はないだろうか。

仕事とは、「生きがい」なのか、それとも「義務」なのか。

ジョブズが語りかけるように、自分の好きな仕事を見つけ、それを「生きがい」とすることは、素晴らしいことだ。だが一方で、仕事は生きるための生活費を稼ぐための義務と捉え、趣味を充実させたい、という生き方は果たして間違っているのだろうか。

本書の著者である金井教授は長年、働くモチベーションを研究してきた第一人者であるが、金井教授はそのどちらも生き方として正しい、と本書において主張している。

本書は悩める若手社員を第一の読者層と想定して書かれたものである。しかし、悩んでばかりでは息がつまりそうだ。本書では実際に働く20代、30代の若手社員14名のインタビューをもとに仕事の「モチベーション」として「キャリア」の悩みから抜け出し成長していくための考え方が紹介されている。「会社を辞めたい」「望んだ仕事ができなくてやる気がわかない」そんな悩みを持った若手は、誤ったアクションを取らないために、まずは本書を読んでいただきたい。

著者

金井壽宏
神戸大学大学院経営学研究科教授。1954年生まれ。1978年京都大学教育学部卒業。1980年神戸大学大学院経営学研究科修士課程修了。
1989年マサチューセッツ工科大学でPh.D.(マネジメント)を取得。
1992年神戸大学で博士(経営学)を取得。モチベーション、リーダーシップ、キャリアなど、働く人の生涯にわたる発達や組織の中の人間行動の心理学的・社会学的側面に注目し研究している。
最近は、クリニカルアプローチで組織変革や組織開発の実践的研究にも着手している。
著書に『働くひとのためのキャリア・デザイン』(PHP研究所)、『仕事で「一皮むける」』(光文社)、『働くみんなのモティベーション論』(NTT出版)、『やる気!攻略本』(ミシマ社)、『どうやって社員が会社を変えたのか』(共著 日本経済新聞出版社)など多数ある。

本書の要点

  • 要点
    1
    「働く」ことを考えるときは、まずは自分が「好きな仕事に打ち込みたいタイプ」か、それとも「仕事に多くを望まず、好きなことは趣味で満足できるタイプ」か、考えてみるのが良い。
  • 要点
    2
    職場で認められるためには、①配属先の組織になじみ、メンバーのひとりとして認めてもらうこと、②職場が求める課題に、一人前のメンバーとして仕事面できちんと貢献できること、という2つの「加入儀礼」を済ませる必要がある。

要約

いったい仕事とは何なのか

日々の仕事に何を求めるか

いったい仕事とは、「つらく、義務という位置づけの苦役」なのか、それとも「面白く、自分を磨くお勤め」なのか。本書の第1章はこの問いかけから始まる。著者はそのどちらのスタンスも正しいという価値観を持っている。

多くの著名人やビジネス書は「やりたい仕事を探すべきだ」と主張していることが多い。しかし、「やりたい仕事」が見つからないからといって、それが理由で不幸になるというわけではない。「自己実現につながる仕事」ではなく、生きていくための「なりわい」としての働き方も当然存在する。仕事は日々のご飯を食べるためにするもの。そう考えると気楽に取り組めるという考え方もある。

こういった点を踏まえ、著者は自分が「好きな仕事に打ち込みたいタイプ」か、それとも「仕事に多くを望まず、好きなことは趣味で満足できるタイプ」か、まずはそこから考えるのが良いと語っている。

重要なことは自分の軸を持てるかどうかである。個々人の働き方にはっきりとした「軸」があり、納得できているのであれば、どちらのタイプであれ正しい働き方であると言えるだろう。

人を仕事に向かわせるもの
JumpStock/iStock/Thinkstock

次に、人を仕事に向かわせる行動のエンジンとは、どのようなものなのか考えてみたい。

著者は、そのエンジンは2種類あると考えている。1つ目のエンジンは、生きるためという「危機感」。2つ目のエンジンは、「未来の自分」という「希望」である。

前者に関して、危機感というネガティブな動機は、古くから研究者たちが指摘してきたエンジンである。危機感というエンジンは、人類にとって本質的に重要なものなのだ。

一方、後者の「未来への希望」というポジティブなエンジンは、近年の研究において多数指摘されているエンジンである。「達成感」「進捗感」「周囲からの承認」「自分の成長感」「自尊心」「将来の希望や期待・展望」といったものは、働き方に大きな影響を与えることが明らかになっている。

つまり、人が行動を起こすには、危機感と同時に、ポジティブに自分を鼓舞してくれる感情も必要なのだ。

やりたい仕事とお金の関係
Anson_iStock/iStock/Thinkstock

第1章の最後は、仕事とお金の両立に関して述べられている。これは多くの人が抱えている共通の悩みであると思うが、著者は両者の関係について、以下のように考えている。

夢や、やりたいことを犠牲にしてまでお金を追い求めることはない。しかし、生活の基盤を作るためには、ある程度のお金は必ず必要となる。マズローの欲求階層説でも、「生理的欲求」と「安全欲求」が満たされてはじめて「愛と所属の欲求」や「承認欲求」「自己実現欲求」を求めることができるとされているように、まずは基盤となる欲求を満たすことが夢や希望を叶えるうえでも重要になってくるのだ。

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要約公開日 2014.06.10
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