早く正しく決める技術

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早く正しく決める技術
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早く正しく決める技術
出版社
日本実業出版社
出版日
2014年05月01日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

「スピード!!スピード!!スピード!!重要なのは他社が1年かかることを1ヶ月でやり遂げるスピード。勝負はこの2~3年で分かれる。」

これは楽天株式会社の代表取締役会長兼社長である三木谷浩史氏が率いる、楽天の企業理念のひとつだ。また、最近ではヤフージャパンも「爆速経営」というキーワードを抱え、とにかくスピードを高めることを最重要視している。成長を続ける企業がいずれも成功の鍵を「スピード」と認識しているのだ。

それでは、ビジネスの現場でスピードを高めるために、ビジネスパーソンはどのようなスキルを磨くべきなのであろうか。私は本書のタイトルである「早く正しく決める技術」こそが、その根っこのスキルとして必要なのではないかと感じている。

「会議で誰もポジションを取らず、何も決まらない」

このような話は日本のビジネスパーソンからはよく聞く話である。

出口氏によれば、このような事態が生じるのは、「数字・ファクト・ロジック」に基づく議論がなされていないためであるという。

「こういう案は、あの上司は嫌いだからなぁ」

「はじめての試みだから、面倒なことが多いなぁ」

こういった考えは、正しい決断を邪魔する「余計なこと」に過ぎない。「数字・ファクト・ロジック」で筋が通っていればやるべきであり、筋が通っていなければ間違いである可能性が高い。

それでは、出口氏の言う「数字・ファクト・ロジック」で考えるとは一体どのような思考方法なのだろうか。これこそが本書の主題である。

「なかなか決断できなくて…」という悩みを持つビジネスパーソンにとって、勇気を与えてくれる書籍である。

著者

出口 治明
ライフネット生命保険株式会社代表取締役会長兼CEO。1948年、三重県生まれ。京都大学法学部を卒業後、1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当するとともに生命保険協会の初代財務企画専門委員長に就任し、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て退職。2006年に生命保険準備会社を設立、代表取締役社長に就任。2008年の生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社を開業。

本書の要点

  • 要点
    1
    早く正しく決めるためのシンプルな考え方の鉄則は、「迷ったら、どちらのほうが、ベネフィット(便益)が高いかを考える」ということである。
  • 要点
    2
    社内で正しく決めるために、「数字・ファクト・ロジックで話し合う」という文化を作るとよい。
  • 要点
    3
    限られた資源の中で、物事を決めていくためには、時間を区切るクセをつけることが肝要である。

要約

なぜ、正しく決断できないのか

Creatas/Creatas/Thinkstock
決めるのは、本当はシンプルなこと

著者は冒頭、「決める」ことは非常にシンプルなものであると解説している。特に、仕事の中での決断であれば、プライベートでのそれと比して決して難しくはないと語っている。

そのシンプルな考え方の鉄則は、「迷ったら、どちらのほうが、ベネフィット(便益)が高いかを考える」ということである。不確定な要素があるので、完璧にはわからなくても、誰でも90%くらいの正解なら導き出せる、というのが出口氏の主張だ。

しかし、こうは言われても、実際にはなかなか正解にたどり着けないことが多い。

出口氏は正解にたどり着けない理由を「余計なこと」を考えてしまっているからだと指摘する。

「こういう案は、あの上司は嫌いだからなぁ。」

「はじめての試みだから、面倒なことが多いなぁ。」

「前にうまくいった事例と同じだから、これならOKが出そうだ。」

これらはいずれも、正しい決断を邪魔する「余計なこと」だ。本来の仕事の目的と関係がない私情や社内ポリティックスによって、まともな判断を下せなくなってしまっている。

しかし、いくらいい内容であっても、上司が承認しなければ元も子もない。確かにそのとおりである。ここで重要なのは、ある提案に決めたということと、その提案が上司や取引先に受け入れられることは別の話だということである。意思決定をしたのちに、「どうやってこの提案を通そうか?」という順番で考えるべきなのだ。

決断ができないと思っている人には、「意思決定」と「提案を通すこと」の区別ができていない場合が多い。

数字・ファクト・ロジックで決める
alphaspirit/iStock/Thinkstock

社内で「決めるルール」を正しく決めるのは良い考えである。出口氏がそのルールとして強く推薦しているのが、「数字・ファクト・ロジックで話し合う」ということだ。数字とはデータのこと、ファクトとはデータに関連する事項や過去の事実のこと、ロジックとはそこから実証的な論理を組み立てることである。

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要約公開日 2014.05.27
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