ラディカルズ
世界を塗り替える<過激な人たち>

未 読
ラディカルズ
ジャンル
著者
ジェイミー・バートレット 中村雅子(訳)
出版社
定価
1,800円 (税抜)
出版日
2019年06月25日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
3.5
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世界を塗り替える<過激な人たち>
著者
ジェイミー・バートレット 中村雅子(訳)
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定価
1,800円 (税抜)
出版日
2019年06月25日
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総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
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レビュー

私たちが従来「当たり前」と思ってきた社会構造に一石を投じ、荒唐無稽とも思えるようなムーブメントを起こす「過激な人たち」――本書は彼らを密着取材したノンフィクションだ。

トランプ政権誕生や英国のEU離脱など、さまざまな混乱と動揺が世界を揺るがせている今日、じわじわと過激な思想や運動が増えつつある。世の中を変えようとする「過激な人たち」に出会う最良の方法は、「彼らの世界に自ら飛び込むことだ」と著者は言う。そうやって政治的に極端だとみなされる人たちと触れ合い、その思想や人となり、可能性を描き出すのだ。

気鋭のジャーナリストである著者は、「過激な人たち」を批判しようとするわけでも、特定の政治思想に賛同を示すわけでもない。「彼らに共感するか否かは読者に委ねたい」と、あくまで中立的な立場を貫く。だが同時に「過激な思想や運動は健全で自由な社会には必要不可欠だ」と断言する。「社会がいま直面している問題を考えると、過激な考え方、つまり世界をどのようにつくっていくかについて、人と異なる考え方ができる能力は、自由民主主義が生き残っていくために絶対になくてはならない」と。

「過激な人たち」との出会いを追体験することで、私たち読者は「将来ありうるかもしれない世界」を発見する旅へ出ることになるだろう。

小島和子

著者

ジェイミー・バートレット (Jamie Bartlett)
アナリスト、ジャーナリスト。
政治とテクノロジーに関する英国での研究の第一人者として、2018年12月までの10年間、シンクタンクDemosでソーシャルメディア分析センターを率いた。またThe Spectator、The Sunday Times、Guardian、Foreign Policy、The Telegraphなどの媒体で、インターネットによる政治や社会の変容について執筆している。2017年には経済と政治に対する技術破壊についてのBBC2ドキュメンタリーシリーズ『Secrets od Silicon Valley(シリコンバレーの秘密)』を発表。ダークネット技術がサイバー犯罪の性質をいかに変えているかについてのTEDトークは、これまでに300万回近く視聴されている。
本書以外の著書にはThe Dark Net(2014)/邦題『闇(ダーク)ネットの住人たち デジタル裏世界の内幕』(2015 CCCメディアハウス)、The People Vs Tech(2018)/邦題『操られる民主主義:デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか』(2018 草思社)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    世界中で「過激な人たち」が増えつつある。テクノロジーの進化、地球環境問題、民主主義への不信がそれを後押ししている。好むと好まざるとにかかわらず、彼らの思想は社会を変える力を持っている。
  • 要点
    2
    いまふたたび幻覚剤が存在感を増している。幻覚剤によって病気の人を助け、健康な人の霊性を高めようと試みる団体も生まれ、人々の支持を得ている。
  • 要点
    3
    身の回りにしか関心のなかった「ニンビー」が「活動家」と手を組むと、大きな大衆運動に広がる可能性がある。現に英国では、ニンビーたちがガス田開発の阻止に力を発揮している。

要約

人々が「過激」を志向するわけ

広がりつつある「窓」の行方

いつの世も人は、自分の目の前にあるものが当たり前だと思っている。だが私たちが「常識」と思っているものの多くは、かつては危険で馬鹿げた過激思想として、まともに相手にされていなかった。

たとえば1867年の英国で、選挙権の主体を示す単語を「men(男)」から「person(人)」に改正しようと提案したジョン・スチュアート・ミルという下院議員は、「イングランド人の男らしさが脅かされる」と、怒りと嘲笑の猛反撃にあった。現在の私たちの生活を形づくっているのも、ミルの時代と同じような思い込みなのだ。

特定の時代において、大多数の人が「常識」として受容する考えの範囲を、「オヴァートンの窓」と呼ぶことがある。この「窓」からはみ出したものは、あまりに非現実的だとして国民には受け入れられない。過激すぎるからだ。

NiseriN/gettyimages

本書の執筆を始めた2014年後半、「窓」が広がりそうな徴候があった。選挙に行く人が減り、わざわざ行く人も中道左派や中道右派ではなく、極端な方向に流れるようになった。そして英国のこのような変化の兆しは、英国のEU離脱やドナルド・トランプの当選など、2016年までに大きく世界を揺るがすものになった。今後数年のうちに「窓」は劇的に変わり、何が「普通」なのかという感覚は、大々的な変化を迫られるだろう。

社会を揺るがす3つの課題

私たちが心地よく浸りきってきた政治的構造に、とてつもなく大きな3つの課題が襲いかかろうとしている。

1つめはテクノロジーだ。人工知能が、あらゆる仕事をこなせるようになりつつある。今後10年のうちに、AIによる革命の影響を受けずにすむ産業はなくなるだろう。

2つめに気候変動がある。今世紀末までには、地球上のかなりの部分は人が住めない土地になると予測されている。国連によると2050年までに2億5000万人が、気候変動によって難民となる可能性があるという。

そして3つめが、人々の姿勢である。民主主義とそれに関連する制度への信頼が、内側から崩壊しつつある。即座に満足を得ることが当たり前なデジタル世代にとって、時間がかかるうえに妥協だらけの代表民主制というシステムは、時代錯誤に感じられる。テクノロジーと地球環境の問題が深刻さを増すにつれ、ますます現行の仕組みでは問題を解決できないと人々は感じるようになるだろう。

本書の主人公である「過激派」という語は、根本的な社会的(または政治的)改革を主張する人たちを指すときに用いられる。あなたが「過激な人たち」に賛同するか否かにかかわらず、彼らの思想は社会を変える力を持っている。私たちは彼らによって考えさせられ、政治的想像力が刺激される。現在のこの社会の形は、絶対的なものでも永久的なものもないのだと。

トリップ・レポート

ふたたび脚光を浴びる「魔法のドラッグ」
Anastasia Deriy/gettyimages

西洋文明における幻覚剤の歴史は、思いのほか新しい。LSDもサイロシビンも、西洋の科学者によって最初に「発見」されたのは1940〜50年代のことだ。精神科医をはじめ多くの学者が幻覚剤を検証すると、アルコール依存症や不安神経症の患者に対して信じがたい効果が確認できた。この「魔法のドラッグ」の扱いについては賛否が分かれたが、当時のカウンターカルチャーにおいては熱烈に歓迎され、ビートルズもボブ・ディランもジャック・ケルアックも、ドラッグについて書いたり歌ったりした。

しかし保守的な米国人はこれを気に入らなかった。

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