人口で語る世界史

未 読
人口で語る世界史
ジャンル
著者
ポール・モーランド 渡会圭子(訳)
出版社
定価
2,200円 (税抜)
出版日
2019年08月30日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
3.5
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人口で語る世界史
人口で語る世界史
著者
ポール・モーランド 渡会圭子(訳)
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出版社
定価
2,200円 (税抜)
出版日
2019年08月30日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
3.5
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レビュー

なぜ英語は国際公用語のような地位についているのか。そのヒントは、英国(ブリテン)が覇権をとるに至った過程にある。端的にいえば、「人口が増えたこと」だ。本書は、人口の動向が大きく変わった、産業革命以降の直近200年に注目する。そして、人口の増減がさまざまな社会現象といかに深く結びついているかについて、多くのデータに基づいて説明する。当時の証言や著作物なども多く参照し、実際どのような感覚が人々にあったのかという傍証を与えている点が興味深い。

人口を増やそうとする政策はそのほとんどにあまり意味がなく、すべては出生数の増減、死亡数の増減、移民の増減が起きる要因に左右されているし、またそれが起きる要因も人口の増減に影響を受けることがわかる。人口の動向は、短中期的な政策ではそれほど変えられないのかもしれない。中国の有名な「一人っ子政策」やインドの悪名高き避妊手術奨励策も、必要ないものであったと著者は断じる。

そして、本書が追う人口の潮流は、これまでの歴史に加えて、たとえば現在の出生率低迷状態はどのように生じたのか、といった「いまの問題」にも接続される。大きな問題である日本の少子高齢化に迫ることももちろんできるし、若い人口が集中する中東やアフリカの情勢を見る視点も養うことができる。とくに、国際関係に関心のある方、グローバルなビジネスに携わっている方の好奇心を強く刺激するだろう。興味のある部分から拾い読みしてみるのもよいかもしれない。ぜひ読み物として楽しみながら、知的な洞察を深めてみてほしい。

石田 翼

著者

ポール・モーランド
ロンドン大学に所属する気鋭の人口学者。オックスフォード大学で、哲学・政治・経済の学士号を、国際関係論の修士号を取得。ロンドン大学で博士号取得。ドイツ、英国の市民権を有しフランス語も堪能なマルチカルチュラルなバックグラウンドを持つ。本書は、アカデミックな裏付けのもと、一般向けに書きおろされた。

本書の要点

  • 要点
    1
    人口のファクターとなるのは、死亡率、出生率、移民である。そして人口が増えれば経済規模も大きくなる。
  • 要点
    2
    公衆衛生が向上し、個人の健康状態が改善されると出生数は死亡数を上回る。この人口増と産業化が絡み合い、都市化と工業化が一気に進む。これが産業革命以降世界に広まっていった動きだ。
  • 要点
    3
    今後の人口動向のポイントは、高齢化、人口増加率が低下することによる緑化の促進、白人の減少である。

要約

人口の大変革が起きた200年

人口のファクター

世界の人口は、何千万年もかかって1800年代に10憶に達した。そこからたった200年で70憶に達し、現在は増加に急ブレーキがかかっている。本書は、人口動向に大変革が起こったこの200年に注目する。

急激な人口増加の発端となったのは、1800年頃のブリテンで起きた産業革命だ。技術の発展は衛生状況や教育レベルを底上げし、多くの命が救われるようになった。

この動きは世界中に広がり、多くの国で乳児死亡率と出生率、病気などによる死亡率が低下し、加えて平均寿命も延びた。人口学では、合計特殊出生数(一人の女性が生涯で生む数)や年齢の中央値などさらに多くのデータを使って、社会の様相を捉え、そこにある個人の生活に迫る。

【必読ポイント!】 ヨーロッパの時代

人口が武器となった英国帝国主義
itakefotos4u/gettyimages

トマス・マルサスの『人口論』では、人口増加が土地の生産力を追い越せば、飢饉や戦争などの悲惨な状況と大量の死が起きるとされた。この予測を「マルサスの罠」という。しかし、生産物を世界市場で売り、世界中の土地から食料を調達できるようになったブリテンは、自国の土地に収まりきらなかったはずの人口をどんどん増やすことができた。公衆衛生や個人の健康状態は向上し、出生数は死亡数を上回った。この人口増と産業の発展が絡み合い、都市化と工業化が一気に進んだことが、ブリテンのその後の拡大の基礎となった。そして、自国内で溢れたブリテンの人々は、どんどん移民として他の土地へと移っていく。

国の人口規模が経済規模に影響を与えるには、二つの道筋がある、と著者はいう。一つは、単純に数の力だ。そしてもう一つは、自由貿易圏に入り、貿易を通じて広く世界とつながることである。ブリテンの経済はこの両方が相乗効果を発揮して拡大していった。

独露の猛追と、第一次世界大戦
rest/gettyimages

一方、1871年に統一を果たしたドイツでも、イギリスの敷いたレールの上をたどるように急速に工業化、都市化が進んだ。それに伴って人口も急増していった。

ロシアは他のヨーロッパ諸国の追随をゆるさない人口をすでに抱えていた。まだまだ物質的には貧しく、工業化も遅れてはいたが、それでも鉄道が敷かれ、食料供給も改善しつつあり、基本的な公衆衛生もあった。

こうした背景のもと、ブリテンを中心として社会的ダーウィニズムの考え方が広がり、優生思想の萌芽も生じた。人口減少を認め始めたブリテンは、自国の民族構成も問題視し、国家の「質」が下がることをおそれた。当時の著作からは、ブリテンがそうした感覚から人口が増加しているドイツを警戒し、ドイツも同様にロシアを懸念していたことがうかがえる。第一次世界大戦が始まった原因となったのは人口問題だけではないが、人口問題が国際的緊張の要因のひとつであったことは間違いない。

第一次世界大戦は数が物を言う消耗戦であった。兵士を補給し続けるためには、人口が大きな意味をもっていた。それは大規模工業と大規模軍隊のぶつかり合いであった。

ナチスと第二次世界大戦

第一次世界大戦とスペインかぜにより多くの死者が出たが、ヨーロッパでは全体としてはゆるやかに人口が増加し続けた。都市への移住が進み出生数は低下していたが、長期的にみれば死亡数は急激に減少していた。そして、アメリカ合衆国の移民制限策が影響し、ヨーロッパから移民として出ていく数も急落していた。

ただ、この時期の非ヨーロッパ人の増加は

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グローバル 政治・経済 リベラルアーツ
著者
ポール・モーランド 渡会圭子(訳)
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2019年08月30日
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