ザッソウ 結果を出すチームの習慣
ホウレンソウに代わる「雑談+相談」

未 読
ザッソウ 結果を出すチームの習慣
ジャンル
著者
倉貫義人
出版社
日本能率協会マネジメントセンター 出版社ページへ
定価
1,500円 (税抜)
出版日
2019年09月10日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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ザッソウ 結果を出すチームの習慣
ホウレンソウに代わる「雑談+相談」
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倉貫義人
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日本能率協会マネジメントセンター 出版社ページへ
定価
1,500円 (税抜)
出版日
2019年09月10日
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総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
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レビュー

昨今の働き方改革では、「働く時間を短くする」という方向性が主流となっている。効率化への取り組みは有意義だが、効率化を追求しすぎることで、大切なものが職場から失われてしまうのではないか? 著者の倉貫義人氏は自身の経験を踏まえて、そのような懸念を抱いている。

著者は、自身が立ち上げた会社でマネジメントする際、効率だけを追い求めて失敗したことがあったという。仕事中の雑談が減り、社内の空気が悪くなっていく――。悪循環から抜け出すきっかけとなったのは、思い切ってメンバーに相談をしたことだった。思いもよらぬアイデアがメンバーから次々と出てきて、そのアイデアから新規事業の立ち上げまで進んだ。チームが成果を出すために必要なことは、気軽に雑談と相談ができる状態であること。この学びから、「雑談と相談」をすることを「ザッソウ」と名付けた。

この言葉の転用から思い起こされるのは、「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」だろう。ホウレンソウという言葉によって、報告・連絡・相談が大事だという共通認識を人々は持つようになった。ではなぜザッソウという新しいコンセプトが必要なのか。その理由が、本書を読むと自然に頭に染み渡ってくる。そして、ザッソウしやすい職場のつくり方、ザッソウを働く人の幸福や成長の機会にするために意識するとよい点などが、スッキリ整理されていくことだろう。

経営者やリーダーはもちろん、チームワークの良い環境で気持ちよく働きたいと考える人に、ぜひとも読んでほしい一冊である。

小嶋 平康

著者

倉貫 義人(くらぬき よしひと)
株式会社ソニックガーデンの創業者で代表取締役社長。1974年生まれ。京都府出身。
小学校からプログラミングを始め、天職と思える仕事に就こうと大手システム会社に入社するも、プログラマ軽視の風潮に挫折。転職も考えたが、会社を変えるためにアジャイル開発を日本に普及させる活動を個人的に開始。会社では、研究開発部門の立ち上げ、社内SNSの企画と開発、オープンソース化をおこない、自ら起業すべく社内ベンチャーを立ち上げるまでに至る。
しかし、経営の経験などなかったために当初は大苦戦。徹底的に管理する方法で新規事業はうまくいかないと反省。徐々に管理をなくしていくことで成果をあげる。最終的には事業を軌道に乗せて、その社内ベンチャーをマネジメント・バイ・アウト(経営者による買収)することで独立を果たして、株式会社ソニックガーデンを設立。
ソニックガーデンでは、月額定例&成果契約の顧問サービス提供する新しい受託開発のビジネスモデル「納品のない受託開発」を展開。その斬新なビジネスモデルは、船井財団「グレートカンパニーアワード」にてユニークビジネスモデル賞を受賞。
会社経営においても、全社員リモートワーク、本社オフィスの撤廃、管理のない会社経営などさまざまな先進的な取り組みを実践。2018年には「働きがいのある会社ランキング」に初参加5位入賞と、「第3回ホワイト企業アワード」イクボス部門受賞。
著書に『管理ゼロで成果はあがる「見直す・なくす・やめる」で組織を変えよう』(技術評論社)、『「納品」はなくせばうまくいく』『リモートチームでうまくいく』(日本実業出版社)がある。
プログラマを誇れる仕事にすることがミッション。
「心はプログラマ、仕事は経営者」がモットー。

本書の要点

  • 要点
    1
    高い生産性と創造性を発揮できるチームをつくるには、「ザッソウ(雑談と相談)」が有効だ。
  • 要点
    2
    ザッソウの効果とは、雑談と相談の境目をなくすことで、チーム内のコミュニケーションを円滑にし、全体の生産性を高めることである。「ザッソウ」は気軽に話をするきっかけとなるからだ。
  • 要点
    3
    ザッソウしやすい職場をつくるポイントとして、チームの目標がはっきりしていること、プライベートなことも共有していること、判断基準と価値観を共有していることなどがある。

要約

「ホウレンソウ」よりも「ザッソウ」

ひたすら効率化だけを求めたチームの末路
metamorworks/gettyimages

効率化を進めていく中で、チーム内のゆとりがなくなり、息苦しい職場になってしまったという経験はないだろうか。効率化によってそこそこの成果は上がっているかもしれない。だが、その状態を放置したままだと、やがてチームが崩壊してしまう恐れがある。それはなぜか。

人間関係が希薄なチームは、仕事を進めるうえでの情報共有はしていても、成果に直結しない話をする余裕がない。すると、一緒に働いている人たちがどんな人たちなのかを知る機会もないままだ。組織が経済合理性だけを求めていると、そこで働く人も経済合理性だけを求めることになる。すると、従業員の自社への愛着が育たず、他にもっと条件の良さそうな会社があれば、簡単に転職してしまうかもしれない。

転職しなかったとしても、そのようなチームでは、たとえ誰かが困っていても手を差し伸べることが少なくなる。さらには、困ったときに他人に話しかけることをためらってしまうだろう。相談できないことで、聞けば一瞬でわかることがわからず、大きな手戻りが発生したり、チームの生産性が下がってしまったりする恐れもある。そのほか、チームで働く意義が感じられない、弱みを見せることができない、新しいことに挑戦しなくなるなど、相談できない状態がチームに悪影響を及ぼしていくのである。

結果を出すチームに必要な「心理的安全性」

もちろん効率化が全面的に悪いわけではない。まったく効率化されていないチームの場合は、まずは業務の見直しや改善に取り組むべきだ。ただし、その際、数字で目に見える部分や、すぐ効果の出る部分にだけ力を注いでいると、数字に現れていない部分が欠落してしまう。

効率化を実現した高い生産性と、アイデアあふれる創造性を兼ね備えたチームをつくるにはどうしたらよいだろうか。その指標として最近注目されている言葉が、「心理的安全性」である。心理的安全性とは、チームの中で気兼ねなく安心して発言や行動ができる、つまり心理的な不安がない状態を指す。

心理的安全性の高いチームでは、次のような効果を得られる。「気軽に相談できるから、生産性と品質を高められる」「弱さを見せ合えるから、お互いの強みを活かし合える」「自由に発信できるから、新しいアイデアが生まれる」といった内容だ。会議などのかしこまった場ではなく、リラックスした雑談の中では、突拍子もないことをいっても受容される空気がある。こうしたときにこそ、新しいアイデアが生まれるのだ。

雑談+相談=「ザッソウ」

ホウレンソウ(報告・連絡・相談)のうち、報告と連絡は過去の出来事の共有である。これだけでは、未来に向けた発展的な議論の余地がないといえる。たとえば、新規事業のアイデアを出したいときやチームワークを高めたいときには、報告と連絡だけでは不充分だ。

雑談がなければ、社内で起きていることがわからない、社員の心のモヤモヤを知ることができないなどと、様々な問題が起きるだろう。それなのに雑談は、ホウレンソウのように重要視されていないのが現状だ。

そこで、チームを支える、非公式なコミュニケーションの出番である。雑談と相談を合わせて、著者は「ザッソウ」という新しいコンセプトを提示する。相談を兼ねた雑談に、新しく名前をつけることで公式な共通認識にしようというのだ。

ザッソウの効果とは、雑談と相談の境目をなくすことで、チーム内のコミュニケーションを円滑にし、全体の生産性を高めることである。「ザッソウ」は気軽に話をするきっかけとなり、相談のハードルをグッと下げてくれる。まずは、ザッソウが自然と生まれてくるような人間関係や環境づくりに力を注ぎ、そこからザッソウの習慣を広げていくようにしたい。

ザッソウでチームの成果は上がる

なぜ今、ザッソウなのか?
jacoblund/gettyimages

なぜ今、ザッソウが求められているのか。その理由は次の3つである。

1つ目は、再現性の低い仕事が主流になってきたからだ。そうした仕事には創造性が欠かせない。チームのメンバーと雑談したり相談したりすることが、高い創造性を発揮するのに役立つ。

2つ目は、フラットな組織が広がったことである。従来の組織のように上下関係があると、報告・連絡の関係になりがちだ。だが、フラットな組織では、対等な仲間との雑談や相談が大事になってくる。

そして3つ目は、働く人の多様化する個性と価値観である。1on1ミーティングのように、一人ひとりの多様性を受容し、つないでいく場が必要となり、ザッソウがその土台となっていく。

成果を上げる「ザッソウ」の使い方

ザッソウを導入する目的は、成果を上げることである。「雑談は有効だ」と免罪符を得たからといって、仕事を忘れて雑談ばかりしていてはよくない。それでは、成果を上げるザッソウの使い方とはどのようなものだろうか。

まず、打ち合わせの場合は、最初は雑談から入って場を温めるといい。とくに初対面の場合は、お互いに「話ができる相手」だと確認するために、雑談をすることが効果的だ。

また、顧客との会議を円滑にするためには、直前にチームのメンバーと雑談することで、認識を合わせることができる。会議後にカフェなどに寄って、記憶が薄れる前に互いの考えや感触をすり合わせるのもよいだろう。

仕事の依頼ではなく、問題の相談をする

粘りに粘って締め切り直前になってから相談すると、報告のような感じになってしまったことはないだろうか。これでは、相談された側もアドバイスをしにくい。完璧を待ってから相談されるより、雑な感じで相談されるくらいがちょうどいい。

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