たった1分で仕事も人生も変える 自己紹介2.0

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たった1分で仕事も人生も変える 自己紹介2.0
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たった1分で仕事も人生も変える 自己紹介2.0
著者
出版社
出版日
2019年05月24日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

「自己紹介」のハウツー本かと思って手に取ると、良い意味で予想を裏切られるのが本書だ。今の時代に必要とされる「自己紹介」とは何かを問い、自分の生き方について考えるよう、読者を駆り立てていくのだ。

会社組織が疲弊している今、もはや「1つの企業、1つの人生」という時代は終わった。社会の変化のスピードは年々速くなっており、企業や職業の寿命が人の寿命よりも短くなっている。働く個人一人ひとりが自分のキャリアを考えなければならない。こうした社会では、コミュニティや業種、分野などを「越境」することが、新しい価値を創造するカギとなる。越境において重要なのは、人と人をつなぐツール、「自己紹介」だというのが著者の考えだ。

著者は、自己紹介のあり方そのものを問い直し、時代に合わせたアップデートが必要だと呼びかける。バージョンアップした「自己紹介2.0」では、肩書きや経歴はさほど重要ではない。なぜなら肩書きや経歴は「過去」のものだからだ。それよりも、自分が提供できる価値である「未来」を語るほうが、相手からの信頼を得ることにつながる。

自分がどんな目的意識のもとに、社会への貢献をめざしているのか? 「自己紹介2.0」では、こうした点まで自問し、自己の内面を深く掘り下げていくことが重要となる。その際、本書のワークシートが大いに役立つだろう。自己紹介をアップデートし、より豊かなつながりを育てたい方にうってつけの一冊だ。

ライター画像
池田明季哉

著者

横石 崇(よこいし たかし)
&Co.代表取締役
「Tokyo Work Design Week」発起人・オーガナイザー
1978年、大阪市生まれ。多摩美術大学卒業。広告代理店、人材コンサルティング会社を経て、2016年に&Co.,Ltd.(アンドコー)を設立。ブランド開発や組織開発をはじめ、テレビ局、新聞社、出版社などとのメディアサービスを手がけるプロジェクトプロデューサー。主に、グーグル、ソニー、アドビ、ポーラ、東急電鉄、ワイアード日本版などとのプロジェクト実施多数。また、「六本木未来大学」アフタークラス講師を務めるなど、年間100以上の講演やワークショップを行う。毎年11月に開催している、国内最大規模の働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」では、6年間で、のべ3万人を動員した。鎌倉のコレクティブオフィス「北条SANCI」支配人。編著書に『これからの僕らの働き方』(早川書房)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    時代は「組織」から「個」の時代へと変わりつつある。「人と人とのつながり」の価値が重視される今、「個」と「個」をつなぐツールである自己紹介もアップデートしなければならない。
  • 要点
    2
    自己紹介は自分を覚えてもらう場ではない。相手との信頼関係を築く場である。信頼を得るためには「期待」のマネジメントが重要だ。
  • 要点
    3
    「自己紹介2.0」では、肩書きや経歴など「過去」をベースにした一方的な自分語りはしない。かわりに、自分が提供できる価値を提示して相手との「未来」を語る、対話型の自己紹介をめざしていく。

要約

【必読ポイント!】 なぜ今「自己紹介」なのか?

組織の時代から個の時代へ

世の中は「組織の時代」から「個の時代」へと変わりつつある。「個の時代」とは、フリーランスになることや起業することを必ずしも薦めるものではない。会社組織に属していても、一人ひとりが信念や目的意識を持って仕事をしなければならない社会になるということだ。

戦後の高度経済成長期を支えた終身雇用や年功序列といったシステムは、制度疲労を起こし始めている。生涯で1つの仕事、1つの会社という時代は終わりつつある。一方、テクノロジーの発展により、ソーシャルメディアやクラウドファンディングなど、個人と個人をつなぐ基盤ができている。そして、個人単位で活躍する場が広まり、会社組織中心から個人中心へと、社会は大きく変化しているのだ。

しかし、個人中心の社会でも、人は組織やコミュニティなしでは生きていけない。複数のコミュニティを行き来しながら、個と個がつながっていく。そのつながりから新しい価値が創出されていくだろう。そこで、個と個をつなげるツールとして、「自己紹介」を見直す必要がある。

「役職」から「役割」へ
Satoshi-K/gettyimages

組織構造には、ピラミッド型とプロジェクト型の2種類がある。ピラミッド型は社長をはじめとするトップが君臨し、細かくヒエラルキーを形成する組織だ。旧来型の組織ともいえるだろう。一方、プロジェクト型は、管理する人間を最小限に抑え、必要に応じてスタッフを外部から呼び込んで編成する組織だ。プロジェクトが完了すると、チームも解散となる。プロジェクトに応じて、それぞれの道のプロフェッショナルを招集するのだ。

昨今では、プロジェクト型組織が注目されており、「役職」よりも「役割」が重視されるようになっている。社長や部長といった役職ではなく、自分に何ができるかという役割を意識し、チームで仕事をするようになるからだ。自己紹介もそれに合わせて、「役職」ではなく「役割」を軸にしなければならない。

また、世界の最先端企業では経営戦略の主軸は、「プロフィット(利益)」から「パーパス(目的)」へと変化している。「パーパス」は、顧客、従業員、外部パートナーやその家族など、その企業に関わるすべての人が共有できる唯一の価値を指す。金銭的な報酬だけでなく、「会社は何のために存在するのか」「なぜこの会社で働くのか」が重要となる。それゆえ、あらゆる企業が、社会全体に貢献する目的意識を持ち、発信しなければならない。

個人にとっても、「自らの目的」がこれまで以上に問われるようになる。自己紹介を考えることは、自分だけのパーパスを見つける一歩となるだろう。

人と人とのつながりをつくる自己紹介

今後は人生100年時代を迎える。人生を「教育」「仕事」「老後」の3つの段階で考えた場合、必然的に「仕事」の期間が長くなる。会社や職種自体が先に寿命を迎えるケースも増えるだろう。すると、個々人が様々な職業を経験し、複数のキャリアを持つ可能性が高くなる。

こうしたマルチキャリアの時代では、人の職業や職種といった肩書きが1つに固定されることは減っていく。自己紹介においても、世界の変化に応じて自分自身を流動的に変化させ、いくつもの肩書きや職業を使い分けることが求められるだろう。

さらに、これからは「越境する力」が求められる。それぞれの専門領域が固着化している現在、新しい価値を創造するには2つ以上の領域に精通し、領域を横断しなければならない。

人生100年時代では、「人的資本」、つまり「人と人とのつながり」が中心になる。そこで最も必要になるのは「信頼」である。個人の能力や人としてのあり方によってつながるネットワークが財産となる。そのネットワークを広げるためには、自己紹介のアップデートが欠かせない。

自己紹介の目的は「覚えてもらうこと」ではない

最大の目的は「信頼」を得ること
Cn0ra/gettyimages

自己紹介で重要なのは「覚えてもらうこと」ではない。最大の目的は「良好な信頼関係を築くこと」である。すなわち、初めて会う相手から「信頼」を得ることなのだ。「信頼」は、相手の今後に期待できるという、未来へ向かうベクトルである。

自己紹介で信頼を築くために重要なのは、「期待のマネジメント」である。「期待」とは、良い結果や状態を、前向きに待つ感情のことだ。初めて何かを試すときには必ず「期待」がある。よって、新しく会った人と関係を築くには、「期待」というポジティブな感情の創出が必要なのだ。

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要約公開日 2019.10.30
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