「いつでも転職できる」を武器にする

市場価値に左右されない「自分軸」の作り方
未読
「いつでも転職できる」を武器にする
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市場価値に左右されない「自分軸」の作り方
未読
「いつでも転職できる」を武器にする
出版社
出版日
2019年04月27日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書のテーマは、ビジネスパーソンなら誰でも一度は意識したことがあるだろう「転職」だ。著者である人事・戦略コンサルタントの松本利明氏は、大学生から50歳を超えるベテランのビジネスパーソンまで、さまざまな人と接してきた。その中で、このままこの会社にいてもいいのか、とモヤモヤを抱える人が多いことに気づいたという。その理由の1つは、働くことに対して「選択肢」が多すぎることにある。特に転職のような、いわばキャリアの節目では、短期間で判断を迫られる場合も多い。周囲の人に相談しようとしても、相手はその人自身の利害に基づいて語るため、客観的な意見をもらえることは稀だといっていい。

これからの職業人生をどのように決めていくか。そもそも判断基準となる「自分軸」が明確でないという人も少なくないだろう。

本書の目的は、あなたの市場価値、やりがい、報酬に対して、長期にわたる不安を一掃することだ。自分軸で自分らしく働くためには、「転職力」が欠かせない。ではその転職力とは普段からどうすれば鍛えられるのか? 本書から具体的な方策を学び、考えを巡らせてみれば、今すぐ転職する・しないにかかわらず、今後につながるチャンスや実績を増やしやすくなるだろう。いつでも転職ができる状態でいること自体が、自分らしく働くための武器になるのだ。自分のキャリアにモヤモヤを抱える方は、ぜひ本書を読んでみてほしい。

ライター画像
池田明季哉

著者

松本 利明(まつもと としあき)
人事・戦略コンサルタント。HRストラテジー代表。日本人材マネジメント協会執行役員。外資系大手コンサルティング会社であるPwC、マーサー、アクセンチュアなどのプリンシパル(部長級)を経て現職。国内外の大企業から中堅企業まで600社以上の働き方と人事の改革に従事。5万人以上のリストラと6500人を超える次世代リーダーの選抜や育成を行った「人の目利き」。人の持ち味に沿った採用・配置を行うことで人材の育成のスピードと確度を2倍以上にするタレント・マネジメントのノウハウが定評。最近は企業向けのコンサルティングに加え、「誰もが、自分らしく、活躍できる世の中」に近づけるため、自分の持ち味を活かしたキャリアの組み立て方を学生、ワーママ、若手からベテランのビジネスパーソンに教え、個別のアドバイスを5000名以上、ライフワークとして提供し、好評を得ている。英国BBC、ロイター通信、TBS、日経新聞、AERAなどメディア実績多数。講演実績多数。主な著書に『「稼げる男」と「稼げない男」の習慣』(明日香出版社)、『「ラクして速い」が一番すごい』(ダイヤモンド社)、『5秒で伝えるための頭の整理術』(宝島社)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    自分の「強み」ではなく「持ち味」を生かした転職をするとよい。自分の資質を見極め、キャラをはっきりさせて、自分軸を育てていくことが重要だ。
  • 要点
    2
    人にはそれぞれ向き不向きがあり、それぞれの持ち味がある。仕事を選ぶときは稼げるかどうかよりも、自分に向いていることを選ぶほうが得策といえる。
  • 要点
    3
    「大人の自己紹介」で自分の市場価値を高めれば、条件や報酬の交渉で、こちらが主導権を握ることができる。

要約

【必読ポイント!】 転職のセオリーをアップデートする

強みではなく、持ち味で勝負せよ

転職は一般的な選択肢になったものの、転職のセオリーはアップデートされているとはいいがたい。

転職をしようと考えたとき、これまでの職歴から強みや実績で自分を売り込む人が多いだろう。しかし、著者は採用する側から見れば、それによって生じる他の候補者との違いは、「誤差の範囲」だという。同じような仕事をしてきたのなら、誰でも似た経歴や強みを持つようになるものだ。

自分の強みといっても、マニュアルや評価項目に書かれていそうなことばかりが浮かぶのではないだろうか。さらにいえば、強みで勝負すると、自分よりも優秀な人が出てきたら負けとなってしまう。強みを生かしたパーソナルブランディングは、圧倒的な強さで勝ち続けられる人にしか通用しない。

著者がすすめるのは、「持ち味」を生かした転職だ。自分の資質に合っていることは、特に意識しなくてもスイスイできる。変化の激しい時代では、資質がないことまで新しい技術や知識を覚えていくのではキリがない。自分の資質を知り、キャラをはっきりさせて、自分軸を育てていくことが重要だ。

上だけをめざさずに横へ移る
Everste/gettyimages

キャリアというと、その会社で上に登っていくことをイメージしがちだ。しかし、上に行けば行くほど、熾烈なポジション争いが待ち受けている。上に上がったところで、下のマーケットが増えるわけでもない。そこで著者がすすめるのは、視点を変えて「横の山」に登ることだ。対象となるマーケットを移し、そのマーケットでよそ者の視点と知見から、新しい価値を提供するのである。

そのときのキーワードは「逆張り」だ。ライバルがいないか少ない「アウェイ」にスライドし、自分の資質や経験の中から相手に喜んでもらえそうなことを行う。好例といえるのは、お笑いの世界で時代をつかんだ西野亮廣さんである。彼はお笑いでの知見を生かし、絵本作家、オンラインサロンなど、新たな事業を次々と当てている。

事前の分析で会社との相性を8割つかむ

いざ転職するとなると、転職先の企業に貢献できるのか、不安はつきものだ。もし前の会社に戻りたいと思ったとしても、一度退職すれば、自分のいたポジションには他の誰かがおさまってしまう。そう思うとなかなか転職に踏み切れないだろう。しかし、著者は新しい会社や仕事との相性は、事前に8割以上はつかめるというのだ。

見るべきポイントは、「仕事」や「会社の価値観」と自分の資質がマッチするかどうかである。ある会社で優秀だった人が、同業他社に移ったら結果が出ず、普通の人になってしまったという話を聞いたことがあるだろう。仕事と本人の資質はフィットしているのに、このような事態に陥るのは、その会社のカルチャーと合わないからだ。

著者は、会社のカルチャーを知るために、経営理念を「YES/NO」の判断基準で分析することを推奨している。会社の経営理念を取り出し、それを「YES」とするのであれば「NO」は何かを考える。それによって、会社のカルチャーの背骨が見えてくる。

たとえば、「みんなで決める文化」と経営理念にあるとしよう。これを「YES」とすれば、反対のキーワードの「NO」は何かと考える。そこで「トップダウンがない」が思いついたとしたら、それによって起こりそうな問題を考えるのだ。すると、「個人に権限がなく、いちいち決済承認が必要なのでは」「意思決定が遅いのでは」といったことが思いつく。そして、「ベンチャーというが、実は堅実なカルチャーなのではないか」といった仮説が立てられる。

これをすべての項目で実施し、矛盾が何なのかを精査する。そして、この判断軸で実際に意思決定が行われているのか、面談などで会った相手に直接聞けば、カルチャーの実態が見えるだろう。

自分に合った場所で、自分の持ち味を発揮する

自分のキャラで活躍できる市場を選ぶ
Deagreez/gettyimages

どんなに儲かる仕事でも、自分に向いていなければ活躍できない。そして、向いている仕事であることを前提にすれば、儲かる業界や組織に移った方がよい。儲かりにくい業界は、どんなに大変な仕事でも利益が出にくく、それゆえ年収が上がりにくいためだ。

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要約公開日 2019.10.02
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