Think CIVILITY

「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である
未読
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「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である
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出版社
東洋経済新報社

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出版日
2019年07月11日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

あなたは優秀な人というとどのような人を思い浮かべるだろうか。時間効率を重んじ、他人と馴れ合うような時間は極力減らして、周りをグイグイと引っ張りながら仕事に邁進する。そんな人物像を思い浮かべるかもしれない。特に、人を動かす地位にある人は、多少恐れられていた方がよい。少々無礼であってもよく、その方が成功しやすい――。そう考える人もいるだろう。しかし、本書の著者であるクリスティーン・ポラス氏は、その考えは誤りだと主張する。

著者は、活気ある職場づくりをめざし、講演やコンサルティング活動を精力的に行っている人物だ。彼女によると、礼儀正しさこそがその人の評価を向上させ、職場全体の雰囲気をも改善するカギだという。著者たちの調査によると、礼節のある人の方が、周囲から「リーダーにふさわしい」という評価を受けやすいという。また、礼節を重んじる文化を社内に生み出すことができれば、多くの人がその恩恵を受けられ、業績の向上にもつながっていく。

礼節とは人々のほんの少しの行動の積み重ねだ。自分では礼儀正しくしようと心がけているつもりでも、知らずに人を傷つけている場合もある。本書では、礼儀正しさがもたらす効用だけでなく、自分の礼節の度合いを測る方法、礼儀正しい振る舞いの原則、礼儀正しさを高めるメソッドについても、詳しく解説されている。本書を片手に、礼節ある職場づくりをめざしていただきたい。

ライター画像
池田明季哉

著者

クリスティーン・ポラス
Christine Porath
ジョージタウン大学マクドノー・スクール・オブ・ビジネス准教授。
活気ある職場を作ることを目的とし、グーグル、ピクサー、国際連合、世界銀行、国際通貨基金、米労働省・財務省・司法省・国家安全保障局などで講演やコンサルティング活動を行う。
その仕事は、CNN、BBC、NBC、MSNBC、CBS、ABC、『タイム』『ウォール・ストリート・ジャーナル』『フィナンシャル・タイムズ』『フォーブス』『フォーチュン』『ニューヨーク・タイムズ』『ワシントン・ポスト』など、世界中の1500を超えるテレビ、ラジオ、紙メディアで取り上げられている。
ノースカロライナ大学チャペルヒル校ケナン=フラグラー・ビジネス・スクールにて博士号取得。博士号を取得する以前は、スポーツ・マネジメントとマーケティングを行う大手企業IMGに勤務。
共著に『The Cost of Bad Behavior』がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    礼儀正しさに気を配る余裕がないからと無礼な態度をとってしまう人たちは、無礼な態度には多くのコストがかかっていることを自覚すべきだ。
  • 要点
    2
    礼節のある人の方がリーダーにふさわしい人だと評価されやすい。
  • 要点
    3
    礼節ある人が守っている3つの基本動作は、笑顔でいること、相手の存在を認め、尊重すること、そして相手の話を聞くことである。
  • 要点
    4
    社内に礼節のある文化を根付かせるためには、無礼な人を採用しないための工夫や、礼節ある態度を身につけるためのコーチングが有効だ。

要約

無礼な態度は損ばかり

礼節の欠如は年々ひどくなっている

仕事をしていると、「無礼だ」と感じるような態度をとる人に出会うこともあるだろう。どうやらそれは日本だけのことではないらしい。「アメリカの礼節2016」という調査によると、礼節の欠如が年々ひどくなっているという点で、すべての人の意見が一致した。

礼節が悪化している原因は何なのか。1つは、職場環境とそこでの人間関係の変化である。そして、悪意のせいではなく無知のせいで礼儀が失われている側面も無視できない。

著者は、ある調査で「自分は無礼な行動をとることがある」と答えた人に対して、その理由を直接尋ねている。半数以上の人は、「自分への負担があまりに重すぎるから」と答えた。そして40%以上が、人に対して礼儀正しくする暇はないと答えたそうだ。しかし、無礼な態度は伝染するうえに、人の記憶に残りやすいため、悪循環が生まれてしまう。

無礼な態度は「コスト」である
Jakraphong Pongpotganatam/gettyimages

認識しておくべき点は、無礼な人には「コスト」がかかるということだ。そもそも、無礼な態度は人の健康に影響を及ぼすことが、近年の研究で明らかになってきた。無礼な態度は人の免疫システムを害し、循環器系の病気やガン、糖尿病、潰瘍などにつながる恐れがある。ストレスは人の寿命にまで影響を与えるという調査結果もあるほどだ。そのうえ、理不尽な扱いを受けた人は、集中力や注意力、思考力が著しく低下するため、それがミスを起こす原因にすらなる。

アメリカ心理学会の試算によると、職場のストレスによってアメリカ経済にかかるコストは、1年に5000億ドルにものぼるという。ストレスを感じながら働いている労働者は、そうでない労働者に比べ、医療費が46%も高い。そして、ストレスの大きな原因は人間関係にある。つまり、無礼な人がいれば医療費は高くなり、病欠が増えるといえる。さらには、そのせいで離職者が増えると、採用コストもかかってしまう。

このように、無礼な態度によって企業が被る損失ははかりしれない。

礼節がある人こそリーダーにふさわしい

人を動かすリーダーというポジションにいる人は、恐れられていた方がよい。多少無礼であった方が成功しやすい。そう考える人は多いが、それは誤りだ。

著者たちの調査によると、礼節のある人、つまり他人の尊厳を認め、誰に対しても敬意をもって接する人の方が、周囲から「リーダーにふさわしい」という評価を受けやすいという。

礼儀正しく接する人には、多くの人が声をかけたいと思うようになる。そのため、情報やチャンスが巡ってきやすい。また、上の立場の人が礼節を重んじていると、従業員は安心感を得ることができる。人は尊重されると、自分に価値があると感じ、力を発揮できるのだ。

無礼な人が成功することもあるが、それは無礼なことが有利に働いたわけではない。大事なのは、ほんの少しの礼節を示すことが、成功する可能性を大いに高めてくれるということだ。

【必読ポイント!】 礼節を高めるメソッド

礼儀ある人が守っている3つの基本動作
nortonrsx/gettyimages

では、より礼儀正しくなるためには、具体的にどうしたらよいのだろうか。礼儀正しい人になるための基本動作を3つ紹介する。

1つめは、基本中の基本といえる「笑顔」だ。子供は平均して1日400回笑うとされる。だが、大人になると1日20回以上笑う人は、全体の30%ほどだという。科学的にも、笑顔は周囲の人たちの能力を高める力があることがわかっている。

2つめの基本動作は、「相手の存在を認め、尊重すること」である。特に、自分よりも目下の人に関心を向け続けることが重要となる。

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要約公開日 2019.11.26
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