神山プロジェクト
未来の働き方を実験する

未 読
神山プロジェクト
ジャンル
著者
篠原匡
出版社
日経BP社
定価
1,500円 (税抜)
出版日
2014年03月10日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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未来の働き方を実験する
著者
篠原匡
未 読
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出版社
日経BP社
定価
1,500円 (税抜)
出版日
2014年03月10日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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レビュー

この本の舞台は徳島県神山町、人口6100人ほどの山間の田舎町だ。決して便利とは言えないこの町がいま、「奇跡の町」として全国的に注目を集めている。都心から離れた多くの町が深刻な過疎や人口減少に苦しむ中、神山町にはサテライト・オフィス開設や移住者が急増しているのである。

なぜ企業や人々が神山に集まってくるのか、本書はここに住む人々の物語を通じてその要因を説明している。実は彼らはもともと神山に縁があった人ばかりではなく、むしろ流れ着くように神山に到達している。様々な葛藤やゆらぎを経てたどり着いた背景は何だったのか。クリエイターや起業家を集める「新しい働き方」や「クリエイティブな場」といった神山ならではの魅力が明らかになる。

本書の第一章では、メディアにも取り上げられたSansanのサテライト・オフィス、山全体を使った野外美術館、田舎暮らしを求めて移住した若者が開いたパン屋、古事記に登場する寺院など、神山の名所が紹介されていて、まるで旅行ガイドを読んでいるかのような面白さがある。

また、神山という場を通して、読者は個人に合わせた新しい働き方だけでなく、地方の市町村が直面している過疎問題についても多くの示唆を得られるだろう。神山プロジェクトを語る上で欠かせないキーパーソン、地元NPOグリーンバレーの「やったらええんちゃう」「外への丸投げは絶対しない」といった町づくりの方針は、地域再生におけるヒントとなるのではないか。

著者

篠原 匡
1975年生まれ。1999年慶應大学商学部卒業、日経BP入社。日経ビジネス記者や日経ビジネスオンライン記者を経て、2012年10月から日経ビジネスクロスメディア編集長。著書に『腹八分の資本主義』(新潮社)、『おまんのモノサシ持ちや!』(日本経済新聞出版社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    地方が深刻な過疎や人口減少に苦しむ中、徳島県神山町は人口6100人ほどの山間の田舎町であるにもかかわらず、若いクリエイターや起業家が続々と移住し、サテライト・オフィスなどの企業進出が相次いでいる。
  • 要点
    2
    神山に企業や移住者が集まる理由は、徳島市内から近く、ITインフラが整っていることに加えて、移住支援や空き家再生などを手掛ける地元NPOグリーンバレーの存在がある。
  • 要点
    3
    グリーンバレーは簡単に諦めず、外部に丸投げせず、クリエイティブな人材が集まる場をつくることに徹してきた。人が集まる場の創出こそが地方の人口流出と高齢化を押しとどめる答えである。

要約

発展する田舎「神山」

続々誕生する最新スポット
Akari Murata/iStock/Thinkstock

本書は3章構成で、第一章では神山町を語るうえで欠かせない36のスポットやプレーヤーが紹介されている。地図や写真付きで各名所が紹介されており、まるで旅行ガイドのような面白さがある。

刻々と変化する神山では新しいスポットが急増している。最初に紹介されているのは「梅星茶屋」だ。「梅星茶屋」は、曜日によってオープンする店が違うシェア食堂で、火・水・土のランチはパスタ中心のカフェ「イレブン」、木曜夜は広島焼き屋の「かばちや」、金曜昼は地元のお母さんたちが運営する500円ワンコイン食堂「梅星」が営業している。もともとは週1回のみ開いていたのだが、地元のNPOグリーンバレーが手掛ける求職者支援訓練「神山塾」の卒業生が将来自分の店を持つ準備のために「梅星茶屋」を借りるようになった。

神山には地元民に愛されるお店だけでなく、県外からの客も多いパン屋「薪パン」やビストロ「カフェ・オニヴァ」など、個性あふれる飲食店が多い。

サテライト・オフィスも新しい名所だ。徳島県は県内全域に光ファイバーが整備されており、実は神山は全国屈指の通信インフラを誇っている。

名刺管理サービスのSansanが遠隔ワークの実施地として2010年に開設した、サテライト・オフィス第一号「Sansan神山ラボ」や、メタデータ(テレビ局などが業務用に使う番組詳細情報のこと)を運用配信する「プラットイーズ」が空き家を取得して改修した「えんがわオフィス」には県外からの視察者が絶えないという。

昔からある名所も来訪者を受け入れるためにその姿を変えている。穀物の神を祀る神社が山腹に鎮座している「大粟山」は、海外のアーティストが作った作品を楽しむことができる野外美術館だ。NPOグリーンバレーのメンバーが営む洋品店「岩丸百貨店」は、移住者と地元住民をつなぐ役割を果たしているという。

最新スポットがメディアからは注目されがちだが、本書はもともと神山町にある店や場所にも光をあてることで「神山」を立体的に描き出している。

なぜ「生み出す人」はここに集まるのか

神山に現れた起業家
Tetsu/amanaimagesRF/Thinkstock

自然に優れた場所は他にもある。ITインフラが整った田舎は神山だけではない。にもかかわらず、なぜ人々は神山に集まるのか。第二章では移住者の物語を通じて神山が選ばれる理由の核心に迫る。

最初に紹介されているのは、神山のサテライト・オフィスの一つである「えんがわオフィス」を開設した隅田徹の物語だ。

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