Mindful eating

人生が豊かになる食べ方の習慣
未読
Mindful eating
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人生が豊かになる食べ方の習慣
未読
Mindful eating
出版社
日本実業出版社

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定価
1,650円(税込)
出版日
2019年11月20日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

あなたは今この瞬間、何かを食べているだろうか。もしくは今日、ランチを食べながら、スマートフォンでSNSをチェックしたり、メールの返信をしたりしなかっただろうか。ギクリとした人にぜひお読みいただきたいのが、本書だ。

本書はタイトルにある通り「Mindful eating」、つまり「マインドフルに食べる」ということについて書かれた本である。それでは「マインドフルに食べる」とは、いったいどういう意味だろうか。

多くの人は、食事という行為そのものを楽しいものだととらえているだろう。だが一方で、食事に悩む現代人が多いのもまた事実だ。「寂しいときはつい食べてしまう」「おなかが空いていなくても食べてしまう」……当てはまる人も多いはずだ。

本書ではこうした状態を「人と食べものの関係がバランスを失った状態」と捉え、このようなバランスのゆがみが生じる主な原因の1つを、心の必須成分である「マインドフルネス」が失われているためだとしている。そして「マインドフルネス」とは、「それぞれの瞬間に起きていることに、判断を加えることなく意識を集中させること」だという。つまり私たちは、その瞬間に食べているものや、食事という行為そのものに、もっと意識を向けなければならないのだ。

本書は、ダイエット本でもないし、健康本でもない。だが本書に書かれていることは、ダイエットや健康にもつながることであると思う。さらには、食べること、つまり生きることについて深く考えるきっかけをも与えてくれるだろう。

ライター画像
小嶋平康

著者

ジャン・チョーズン・ベイズ
小児科医、瞑想の指導者。オレゴン州の禅宗寺院「Great Vow Zen Monastery」の代表。本書で紹介するマインドフルネスの練習はここで開発され、実践を通して改良されている。これまで30年以上にわたり「マインドフルな食べ方」を個人や医療従事者に指導してきた。趣味はガーデニング、陶芸、マリンバの演奏。著書に『「今、ここ」に意識を集中する練習』(日本実業出版社)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    「食べたいという欲求」には、目、触感、耳、鼻、口、胃、細胞、脳、心の9つがかかわっている。これら「9つの身体の声」に耳をすませ、自分の何が飢えているのか理解しよう。
  • 要点
    2
    他者や食べものに頼ることなく、心を満たす方法を見つけよう。自然の中に身を置いたり、ペットや子どもと遊んだり、瞑想の時間を持ったりすることが効果的だ。
  • 要点
    3
    食べる楽しみは、食べれば食べるほど増えるものではない。しっかりおなかを空かせて、食べる行為に意識を向けながらゆっくりと食事をしよう。

要約

【必読ポイント!】 9つの身体の声

身体が発する「声」に耳をすませよう
Yulia Lisitsa/gettyimages

「食べたいという欲求」には、複数の感覚器官がかかわっている。具体的には、目、触感、耳、鼻、口、胃、細胞、脳、心の9つだ。これらが、私たちに「食べたい」と感じさせる。

「9つの身体の声」がかわるがわるアピールするため、私たちは、いったい自分の中の何が飢えているのかわからなくなってしまう。しかし、飢餓感の各側面を個別に調べていけば、どの部分が訴えているのかを理解でき、食べることに関してよりよい判断ができるようになるのだ。

たとえば、肥満防止を目的として、手術で胃を縮小させる人がいる。彼ら彼女らは、「胃を縮める手術をすれば食べたいという欲求もなくなると思っていたのに、今もまだ食べたくてたまらない!」という。それは、手術で取り除けるのは「9つの身体の声」のうち「胃の声」だけだからだ。残り8つの声は、「ひもじい。何か食べたい!」と食べものを要求し続ける。

特に「心の飢え」は重要だ。心の飢えを埋めるために食べても、一時しのぎにしかならない。食欲をあおっている感情をつきとめ、その感情に直接対処しない限り、根本的な解決にはならないのだ。気分が落ち込む→食べる→食べすぎを悔やんで気分が落ち込む→もっと食べるという悪循環が生まれるだけだ。

「マインドフルに食べる」ようになると、食べたいという衝動が起きる直前に、心を占める感情と冷静に向き合える。そして、食べる以外の方法でその感情に対処できる。疲れてイライラしていたのであれば、ちょっと横になってひと眠りしたり、散歩にでかけたり、新鮮な空気を深呼吸して、リフレッシュするのもいいだろう。

心の声

本書は、「9つの身体の声」それぞれに対処する練習方法が紹介される。要約では、「心の声」を取り上げたい。

「心の声」に対処する練習方法とは、食事と食事の合間に何かを食べたくなったら、その直前の感情や考えを思い出してみるというものだ。また、間食をしたあと、そういう思考や感情にどんな変化が起きたかを考えてみよう。ハートの絵や「心の声」と書いたメモを、ふだん食事をしたり、間食したりする場所に貼っておくといいだろう。

心が食べものをほしがるとき、その根底には感情や過去の記憶がある。「マインドフルに食べる研修」に参加した人たちは、大切な人たちとともにした食事などについて、懐かしそうに語ってくれる。つまり、特定の食べものがすごく大事なわけではない。その食べものが思い出させてくれる雰囲気や情緒がもっと大事なのだ。

こういう食べものに対する想いは、愛されたい、気にかけてもらいたいという欲求から起こっている。特別な時間の温かい幸せな記憶が、特定の食べものに結びつき、あなたを駆り立てているのだ。

食べ物で「心」を満たそうとしている
kohei_hara/gettyimages

「マインドフルに食べる研修」に参加する多くの人が、心に大きな穴があいているような気がすると言う。その穴の原因は、愛する人やペットの死による喪失感、悲しみ、疎外感などさまざまだ。そして彼ら彼女らは、心の穴を埋めようとして食べてしまう。しかし、食べものを胃の中に入れたところで、心にあいた穴は埋まらない。どんな栄養豊かな食べものも、「心の欲求」を満足させることはできないのだ。心に栄養を与えられるのは、自分自身あるいは他者との親密さだけである。

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要約公開日 2020.01.14
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