ゴールドプランなら4,000冊以上が全文読み放題! 7日無料体験はこちらから

本書の要点

  • 「食べたいという欲求」には、目、触感、耳、鼻、口、胃、細胞、脳、心の9つがかかわっている。これら「9つの身体の声」に耳をすませ、自分の何が飢えているのか理解しよう。

  • 他者や食べものに頼ることなく、心を満たす方法を見つけよう。自然の中に身を置いたり、ペットや子どもと遊んだり、瞑想の時間を持ったりすることが効果的だ。

  • 食べる楽しみは、食べれば食べるほど増えるものではない。しっかりおなかを空かせて、食べる行為に意識を向けながらゆっくりと食事をしよう。

1 / 3

【必読ポイント!】 9つの身体の声

身体が発する「声」に耳をすませよう

Yulia Lisitsa/gettyimages

「食べたいという欲求」には、複数の感覚器官がかかわっている。具体的には、目、触感、耳、鼻、口、胃、細胞、脳、心の9つだ。これらが、私たちに「食べたい」と感じさせる。

「9つの身体の声」がかわるがわるアピールするため、私たちは、いったい自分の中の何が飢えているのかわからなくなってしまう。しかし、飢餓感の各側面を個別に調べていけば、どの部分が訴えているのかを理解でき、食べることに関してよりよい判断ができるようになるのだ。

たとえば、肥満防止を目的として、手術で胃を縮小させる人がいる。彼ら彼女らは、「胃を縮める手術をすれば食べたいという欲求もなくなると思っていたのに、今もまだ食べたくてたまらない!」という。それは、手術で取り除けるのは「9つの身体の声」のうち「胃の声」だけだからだ。残り8つの声は、「ひもじい。何か食べたい!」と食べものを要求し続ける。

特に「心の飢え」は重要だ。心の飢えを埋めるために食べても、一時しのぎにしかならない。食欲をあおっている感情をつきとめ、その感情に直接対処しない限り、根本的な解決にはならないのだ。気分が落ち込む→食べる→食べすぎを悔やんで気分が落ち込む→もっと食べるという悪循環が生まれるだけだ。

「マインドフルに食べる」ようになると、食べたいという衝動が起きる直前に、心を占める感情と冷静に向き合える。そして、食べる以外の方法でその感情に対処できる。疲れてイライラしていたのであれば、ちょっと横になってひと眠りしたり、散歩にでかけたり、新鮮な空気を深呼吸して、リフレッシュするのもいいだろう。

心の声

本書は、「9つの身体の声」それぞれに対処する練習方法が紹介される。要約では、「心の声」を取り上げたい。

「心の声」に対処する練習方法とは、食事と食事の合間に何かを食べたくなったら、その直前の感情や考えを思い出してみるというものだ。また、間食をしたあと、そういう思考や感情にどんな変化が起きたかを考えてみよう。ハートの絵や「心の声」と書いたメモを、ふだん食事をしたり、間食したりする場所に貼っておくといいだろう。

心が食べものをほしがるとき、その根底には感情や過去の記憶がある。「マインドフルに食べる研修」に参加した人たちは、大切な人たちとともにした食事などについて、懐かしそうに語ってくれる。つまり、特定の食べものがすごく大事なわけではない。その食べものが思い出させてくれる雰囲気や情緒がもっと大事なのだ。

こういう食べものに対する想いは、愛されたい、気にかけてもらいたいという欲求から起こっている。特別な時間の温かい幸せな記憶が、特定の食べものに結びつき、あなたを駆り立てているのだ。

食べ物で「心」を満たそうとしている

kohei_hara/gettyimages

「マインドフルに食べる研修」に参加する多くの人が、心に大きな穴があいているような気がすると言う。その穴の原因は、愛する人やペットの死による喪失感、悲しみ、疎外感などさまざまだ。そして彼ら彼女らは、心の穴を埋めようとして食べてしまう。しかし、食べものを胃の中に入れたところで、心にあいた穴は埋まらない。どんな栄養豊かな食べものも、「心の欲求」を満足させることはできないのだ。心に栄養を与えられるのは、自分自身あるいは他者との親密さだけである。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2412/3788文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2020.01.14
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

OVER
OVER
上原浩治
アート思考
アート思考
秋元雄史
葉隠 処世の道
葉隠 処世の道
前田信弘(編訳)
SELFISH(セルフィッシュ)
SELFISH(セルフィッシュ)
トマス・J・レナードバイロン・ローソン(共著)糟野桃代(翻訳)秦卓民(監修)
アリババ
アリババ
土方奈美(訳)ミン・ゾン
増補 普通の人びと
増補 普通の人びと
クリストファー・R・ブラウニング谷喬夫(訳)
ニューヨーク大学人気講義 HAPPINESS(ハピネス)
ニューヨーク大学人気講義 HAPPINESS(ハピネス)
スコット・ギャロウェイ渡会圭子 (訳)
うしろめたさの人類学
うしろめたさの人類学
松村圭一郎

同じカテゴリーの要約

いいことが起こる人の習慣
いいことが起こる人の習慣
内藤誼人
頭の中がどんどん言葉になる瞬間言語化トレーニング
頭の中がどんどん言葉になる瞬間言語化トレーニング
荒木俊哉
すぐやる! 「行動力」を高める“科学的な”方法
すぐやる! 「行動力」を高める“科学的な”方法
菅原洋平
なぜ働く?誰と働く?いつまで働く?
なぜ働く?誰と働く?いつまで働く?
有山徹
無料
精神科医が教える 休みベタさんの休み方
精神科医が教える 休みベタさんの休み方
尾林誉史
なぜか機嫌がいい人がやっている100の習慣
なぜか機嫌がいい人がやっている100の習慣
藤本梨恵子
「自分には価値がない」の心理学
「自分には価値がない」の心理学
根本橘夫
決定版 アドラー心理学がマンガで3時間でマスターできる本
決定版 アドラー心理学がマンガで3時間でマスターできる本
吉田浩岩井俊憲 (監修)
そろそろ論語
そろそろ論語
浅田すぐる
なぜあの人は同じミスを何度もするのか
なぜあの人は同じミスを何度もするのか
榎本博明