国運の分岐点
中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか

未 読
国運の分岐点
ジャンル
著者
デービッド・アトキンソン
出版社
定価
900円 (税抜)
出版日
2019年09月19日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
3.5
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中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか
著者
デービッド・アトキンソン
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900円 (税抜)
出版日
2019年09月19日
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革新性
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レビュー

「日本再生」には何が必要なのか。鋭い提言で、著書を刊行するたびに注目を集めているデービッド・アトキンソン氏による最新作が本書である。本書によれば、「中小企業改革」と「最低賃金の引上げ」による生産性向上が政策の核になる。

日本は、世界経済フォーラム(WEF)の国際競争力ランキング(2018年)で世界5位。しかし、生産性に関しては28位であり、先進国で最低水準。潜在能力が高く評価されている一方で、労働者の給料も安く、生活水準も低い。このギャップは何なのか、という日本経済最大の謎の答えを求めて、著者はデータ分析を続けてきた。

そうした探求の末にたどりついたキーワードが「中小企業」、もっと正確に言うと「従業員が20人未満というミクロな企業」である。こうした小さな企業が異様に多いという日本の社会構造が、国の生産性を下げているのである。生産性の低さは、会議が長いとか、長時間労働だとか、あるいは「おもてなし」だとか、そのような日本の企業文化で説明されることが多い。が、それは表面的なものに過ぎないと著者は喝破する。

本書では、ミクロな企業を統合して、大きくて強い企業を作ることが提案されている。そしてそれを後押しする国策として、最低賃金の引き上げが提案されている。賛成するにしろ、反対するにしろ、本書を素通りすることはできないであろう。なぜならこの問題の解決には、社会的な総意が必要だからである。

しいたに

著者

デービッド・アトキンソン(David Atkinson)
1965年、イギリス生まれ。小西美術工藝社社長。元ゴールドマン・サックス金融調査室長。オックスフォード大学日本学科卒業。アンダーセンコンサルティング、ソロモンブラザーズを経て、1992年にゴールドマン・サックス入社。日本の不良債権の実態を暴くレポートを発表し、注目を集める。98年に同社managing director(取締役)、2006年にpartner(共同出資者)となるが、07年に退社。同社での活動中、1999年に裏千家に入門。日本の伝統文化に親しみ、2006年には茶名「宗真」を拝受する。09年、国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社取締役に就任、10年に代表取締役会長、11年に同会長兼社長に就任、14年より現職。
イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る 雇用400万人、GDP8パーセント成長への提言』『イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」』(以上、講談社+α新書)など著書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    GDPの内訳は「人口×生産性」である。したがって、人口が急激に減少していく日本において、経済成長のためには生産性の向上が急務である。
  • 要点
    2
    生産性の低さの要因は、中小企業が多いという社会構造にある。それを作ったのが1960年代に制定された「中小企業基本法」だ。この法律にある優遇措置のため、企業規模を小さいままにしておこうというインセンティブが働く。
  • 要点
    3
    国策として最低賃金を継続的に引き上げ、ミクロな規模の企業の統合を促していくことで、デフレから脱却し、日本経済の再生を実現しなければならない。

要約

「低成長のワナ」からいかにして抜け出すか

生産性を高める
7Crafts/gettyimages

政府・日銀の大胆な金融緩和政策にもかかわらず、いつまでたってもデフレから脱却ができず、先進国の中で唯一経済成長していない国、日本。

この問題は「人口減少」に由来している。日本では、他の先進国と比べものにならないスピードと規模で人口が減っていることで、人口増加を前提とした従来の経済学では現状に対処できなくなっているのだ。

さらに、低成長には「生産性の低さ」も大きく影響している。日本の生産性は、1990年には世界9位であったのに、いまでは28位まで下がっており、先進国として最低水準である。「生産性」というと、効率の良し悪しや残業について言及されがちだが、生産性=一人あたりのGDPである。生産性とは労働者の給料や企業の利益、政府などが受け取る税金などの「お金」のことだ。

GDPとは「人口×その国の生産性」であるから、人口が減少する日本でも生産性を高めることができれば、GDPを大きくできる可能性がある。

「賃上げ」の重要性

一方で、日本経済のほとんどは個人消費が占めている。個人消費の源は、「賃金」だ。人口が減少する中で個人消費を維持しようと思ったら、一人ひとりの賃金を上げていくしかない。

しかし、日本では賃金水準が下がっているという現象がある。まず、日本の最低賃金は他の先進国と比べて驚くほど低い。そして、増加した非正規雇用と働く女性が最低賃金およびそれに近い水準で働いているケースが多いため、そのような現象が起きているのだ。

低い賃金は、生産性が増大しない理由のひとつでもあり、また、日本経済の根幹をなす個人消費も冷え込ませている。だからこそ、日本の最低賃金を引き上げることは重要であり、それは生産性向上の原動力にもなるはずなのだ。

日本経済の最大の問題は中小企業

「根本的な問題」は何か
PeopleImages/gettyimages

日本の「生産性向上」を阻んでいるものは何なのか。著者は、それは日本企業の99・7%を占め、日本経済を支えると言われてきた357万の「中小企業」なのだという。

一般に、生産性を改善する方策としては、女性活躍、最先端技術、AI、ロボット、社員教育などが挙げられる。しかし、たとえば女性活躍にしても、今まで女性の活躍が進んでいなかったことには根本的な原因や構造がある。企業の規模が大きくなり、人材マネジメントに余裕があるほど、女性の活躍は活発になる。ひるがえって、「中小規模が多い社会」は「女性が活躍しにくい社会」になる。

また、最先端技術の導入にしても、普及が阻まれてきた背景がある。企業の規模が小さければ、技術を買うお金もなく、買うつもりもなく、「効率の悪い方法でもやろうと思えばやれてしまう」。そのため、小さな企業が多ければ、最先端技術の普及が遅れてしまうのである。

こうして、生産性向上の方策が機能しない原因をたどっていくと、すべて「中小企業が多すぎる」ことに行きつく。つまり、人口増加による経済成長が期待できない日本が、生産性を向上していくためのグランドデザインの中核は、日本中の会社の規模を大きくしていくことなのである。

企業の規模と生産性の相関関係

生産性以外の日本の経済的な評価を見てみると、人材評価は世界4位、国際競争力は5位である。しかし生産性は28位であり、労働者の給料も低く、生活水準も低い。

日本と生産性がそれほど変わらない国にイタリアとスペインがある。すると、イタリアとスペインと日本との間に、生産性に影響を及ぼす経済的な共通点があるのだろうか。

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政治・経済
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デービッド・アトキンソン
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2019年09月19日
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