オタク経済圏創世記

GAFAの次は2.5次元コミュニティが世界の主役になる件
未読
日本語
オタク経済圏創世記
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GAFAの次は2.5次元コミュニティが世界の主役になる件
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オタク経済圏創世記
出版社
定価
1,870円(税込)
出版日
2019年11月18日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

これまで一度もマンガ・アニメ・ゲームに触れたことがない人はほぼいないだろう。しかしそれがいまや400億~500億円規模の市場を持ち、グローバルに発信されていることをご存知だろうか。本書はこうした「オタク経済圏」について論じつつ、これからの日本経済を支えるものは「2.5次元」のライブコンテンツだとしている。

昔から日本のマンガ・アニメ・ゲームは世界に知られていたものの、国内では軽んじられることも多かった。だが日本のポップカルチャーは、世界に類を見ない作品性の高いコンテンツであり、それは紛れもなく世界に通用する、日本独自の武器である。

とはいえ高品質なコンテンツを作るだけでは、もはや生き残ることはできない――著者はそう警鐘を鳴らす。何もしなければ、ユーザーの関心はどんどん離れていってしまう。そこで重要になるのが、タレントによるSNSやイベントなど、比較的安価かつ素早く展開できるコンテンツである。こうした「2.5次元」のライブコンテンツ化により、ユーザーの関心を引き、「キャラクター経済圏」が形成されるというわけだ。

オタクの消費行動は、一般ユーザーの3倍にもなると言われている。日本が再び「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を実現できるとするならば、それば文化産業しかない。マンガ・アニメ・ゲーム「なんて」と言っている場合ではない。オタク文化は日本経済の最先端であり未来なのである。

ライター画像
池田明季哉

著者

中山淳雄(なかやま あつお)
ブシロード執行役員
早稲田大学ビジネススクール非常勤講師
シンガポール南洋工科大学非常勤講師
1980年栃木県生まれ。東京大学大学院修了(社会学専攻)。カナダのMcgill大学MBA修了。リクルートスタッフィング、DeNA、デロイトトーマツコンサルティングを経て、バンダイナムコスタジオでバンクーバー、マレーシアにて新規事業会社を立ち上げる。2016年からブシロードインターナショナル社長としてシンガポールに駐在し、日本コンテンツ(カードゲーム、アニメ、モバイルゲーム、イベント、プロレス)を海外展開。著書に『ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか』(PHPビジネス新書)、『ヒットの法則が変わった いいモノを作っても、なぜ売れない?』(PHPビジネス新書)、『ボランティア社会の誕生』(三重大学出版会、日本修士論文賞受賞作)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    パッケージビジネスは衰退している。時代は人と人との結びつきを重視する方向に移行しており、そこでは「共体験」がキーワードになる。
  • 要点
    2
    「流行すること」は簡単だが、その維持は難しい。コミュニティを発展させることを前提にアップデートし続け、ユーザーの関心を引き続ける2.5次元のライブコンテンツが求められる。
  • 要点
    3
    日本の経済を次にけん引するのは文化産業だ。ライブコンテンツメーカーとして確立したビジネスモデルを、他産業にも生かしていかなければならない。

要約

【必読ポイント!】 パッケージメディアの衰退とライブコンテンツの台頭

人と人との結びつきを重視する時代
ViewApart/gettyimages

日本のコンテンツ産業は1995年を境に失墜した。CDが売れなくなった音楽業界をはじめ、ラジオ・新聞・出版業界は衰退の一途をたどっている。マンガ・ゲーム業界ですら国内だと衰退傾向にある。例外的にテレビ業界は成長してはいないものの、大きく衰退もしていない。とはいえほぼすべてのコンテンツ産業で、ビジネス基盤の再構築が求められているのは間違いない。出版・映画・テレビといったマスメディアがトレンドを創り出す時代は終わったのだ。

このようにコンテンツをモノとして売るパッケージが減少する一方で、映画やコンサートのようなロケーションビジネスは微増している。その背景には、人と人との結びつきを重視する「コミュニティ機能」の再評価がある。「共体験すること」の価値が見直されており、とりわけアニメを取り入れたビジネスの成長は目覚ましい。「作り上げたものを配布し、視聴してもらう」という一方向モデルではなく、「ユーザーコミュニティの形成を前提に、コンテンツを生きたものとしてアップデートし続ける」という双方向モデルへとビジネスチェンジできた産業が、2010年代に入ってからの成長産業になっている。

コンテンツの「ライブ性」の維持

2010年代に入ってから、新たなビジネスモデルが登場した。アニメ作品など、量産しにくい2次元の高価で作品性の高いものを経済圏の基盤としつつ、3次元の安価で機動性の高いメディア・ツール・タレントにのせてコミュニティを形成しながら、2次元と3次元をメディアミックスすることで、作品全体の「キャラクター経済圏」を形成するというモデルだ。この変化をいち早く取り入れたのがゲーム業界であり、音楽業界である。一方で放送・新聞・出版などのマスメディアは、いまだ旧時代のパッケージ中心のビジネスモデルから脱却できていない。

もはやデジタルコンテンツは「プロモーションメディア」だ。現代はデジタルの力で「流行」が簡単に起きるようになり、その価値は下がっている。ちょっとした流行は、日々そこら中で起きている。「流行の維持」は格段に難しくなった。

常時レッドオーシャンのようなキャラクター世界で、ユーザーの関心を集め続けるためには、コンテンツを提供し続けることが必要だ。とはいえアニメもゲームも、制作には億単位の費用がかかる。こうしたメディアは高頻度で展開できない。それに「代わる何か」でサービスを提供し続けるチャネルを考えなければならない。

タレントがSNSで毎日コンテンツを発信し、定期的にイベントを行うことで共体験を生み出す。あるいは商品化グッズでユーザーの世界を固め、毎日のようにそのコンテンツを想起させる――こうした構造を形成しなければ、継続性の高いコンテンツにはならない。総合力がなければ、いまのコンテンツの世界では勝負できないのだ。

「オタク」の支えるキャラクター経済圏

人はお祭り騒ぎを求めている
PeopleImages/gettyimages

ヒット商品の本質は、その商品の機能そのものではなく、「ヒットしており、周囲が消費している」という事実だ。まわりが消費していれば、それはヒットしていることになる。

人は常に「みんなで集う何か」を求めている。みんなお祭り騒ぎが好きなのだ。そういう意味で注目したいのがライブコンテンツである。ライブコンテンツは、同じものを同じ時間に同じように体験する。そしてその規模が大きくなるほど面白さも広がる。集団がひとつになって動くことそれ自体に快感があるからだ。

注目したいのが、お祭り騒ぎは「ブランドへの再結集」という回帰的な動きを見せるということである。

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