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本書の要点

  • 人を愛し、人のためを思う人は、よく人に愛される。それは人のために事業を行い、それを成し遂げることにつながる。

  • 贅沢はつつしみ、しかし人のため、公共のためには惜しまず投資せよ。

  • 富のために富を得ようとすると失敗する。人の幸福を思って行動してこそ富がもたらされる。

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【必読ポイント!】西郷隆盛――新日本の創設者

誕生と、啓示

江戸末期、薩摩藩に生まれた西郷隆盛は、大きな目と広い肩をもつ大男になった。筋肉隆々、相撲と山歩きを好んだ。

彼が影響を受けたのは陽明学で、それは崇高な良心を教え、恵み深くも厳しい「天」の法を説く。「天の道を行う者は、天下こぞってそしっても屈しない」「すべてを天のためになせ」など、西郷の残した言葉には「天」が頻出する。また、みずからの「情のもろさ」を抑えるため、禅にも興味を示した。

外部的な影響を受けたのは、藩主、島津斉彬(なりあきら)と、水戸藩の藤田東湖からだ。島津公は、はっきりした思想を持ちながらも時流に柔軟に対処することができた。そして「必要ならばあえて戦争をも厭わない平和の士」であることが、西郷と共通する点だった。藤田東湖は、正義の熱愛者であり、西洋を嫌悪していた。国家統一と、ヨーロッパ諸国に対抗するための領土拡張という目標は、彼との出会いによって西郷のなかで形になったのであろう。

維新革命

維新は、西郷が欠けては成就しなかったのではないか、と著者は述べる。彼のように器量の大きい者の精神そのものが、すべてを始動させる原動力となり、運動を作り出し、その方向を定めたと考えられる。

西郷の名が世間に知られたのは、熱狂的な勤皇主義者の学僧、月照との事件である。逃走中の月照を守りきれないとわかった西郷は、共に死ぬことを提案。二人は海中に身を投じた。異変に気づいた家来が二人を引き上げ、西郷だけが息を吹き返した。双肩に新国家をになっていた西郷だったが、友人への人情と親切の証として、みずからの生命も惜しまなかった。

倒幕勢力が手を結んだ薩長連合を経て、京都、伏見の戦いで戦争が始まった。西郷は沈着冷静な指揮官だった。徳川方は江戸に逃げたが、ほどなく江戸城は明け渡された。江戸城開城は、その後の意義から考えると、驚くほど安価に、効果的になされた革命だった。これを実現したのが西郷であり、このことは彼の偉大さを表している。

江戸において西郷が和平を決断する数日前、徳川方の筆頭家臣である勝海舟と、西郷は愛宕山の散歩に出かけたという。眼下に広がる「壮大な都市」を見て、西郷の「情」は深く動かされた。罪もない人々のためには和平をもたらさねばならない。西郷は強さの奥に、大きな優しさを持っていた。

朝鮮問題と、謀叛人としての西郷

ほどなくして新政府が樹立され、西郷は要職に就いた。しかし、同僚たちと西郷が袂を分かつときがやってきた。征韓論争が起こったときのことである。西郷は、ただ征服のための征服ではなく、日本がヨーロッパの「列強」に対抗するために、領土を拡張するという積極策を持つべきだと考えた。しかし新政府内での対立は深まり、彼は薩摩へ戻った。

彼の生涯でもっとも遺憾なのは、最期の時期である。西郷が反乱者と結盟し、新政府に刃向ったのは、西郷の生来の「情のもろさ」によるものではないかという考えは、有力な見方である。

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要約公開日 2014.07.08
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