決定版 リブラ
世界を震撼させるデジタル通貨革命

未 読
決定版 リブラ
ジャンル
著者
木内登英
出版社
東洋経済新報社 出版社ページへ
定価
1,600円 (税抜)
出版日
2019年12月26日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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世界を震撼させるデジタル通貨革命
著者
木内登英
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定価
1,600円 (税抜)
出版日
2019年12月26日
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総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
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レビュー

本書は、世界規模のプラットフォーマー、フェイスブックが計画、主導している新たなデジタル通貨「リブラ(Libra)」についての一冊だ。「リブラ」の意義や課題、対応策などについて、ユーザー、金融当局、経済学などの視点を取り入れながら解説している。

リブラは、主に新興国や低所得国に多い「アンバンクト(unbanked)」――さまざまな理由で金融サービスを受けることができない人――に金融サービスを提供するという社会的意義を持つ。しかし、その利便性やサービスの特徴、ユーザー数の多さとグローバル性の高さから、従来の金融業界や金融政策を破壊するほどの力を持つ可能性がある。そのため、世界の金融当局から強い懸念を示されている。しかし、今リブラを潰しても解決はしない。計画が発表された段階で、グローバル・デジタル通貨というアイデアは野に放たれた。第2、第3のリブラはいずれ生まれるだろう。世界の金融当局がするべきことは、プラットフォーマーが提供する新たなデジタル通貨に対し、適切な規制や運用体制、安全性を高める策を講じ、既存の銀行システムと並立する形でいかに円滑に取り込むかということではないだろうか、と著者は提言している。

フェイスブックがリブラを発表した際、多くの方が興味を持たれたと思うが、その詳細については不明点が多く、なぜ金融当局が反対するのか疑問に思う方も多いだろう。本書はその疑問に答えるもので、リブラを知るために是非読んでおきたい1冊だと言える。

島田遼

著者

木内登英 (きうち たかひで)
1963年生まれ。1987年、早稲田大学政治経済学部卒業、同年野村総合研究所入社。一貫して経済調査畑を歩む。1990年野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年野村證券に転籍し、2007年経済調査部長。2012年7月~2017年7月、日本銀行政策委員会審議委員。現在、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト。
主な著書に『異次元緩和の真実』(日本経済新聞出版社、2017年)、『金融政策の全論点』『決定版 銀行デジタル革命』(いずれも東洋経済新報社、2018年)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    既存のデジタル通貨と違い、プラットフォーマーであるフェイスブックが計画するリブラには、グローバル通貨として広く利用される可能性が高い。
  • 要点
    2
    リブラは世界の金融当局から警戒されている。その理由は、リブラは金融業界で独り勝ちになる可能性があるからだ。
  • 要点
    3
    リブラを潰しても第2のリブラが生まれる。金融当局は新たな規制や運用を定め、リブラと銀行が並立でき、ユーザーにとってより便利な金融サービスが提供できる世界をめざすべきだ。

要約

リブラ計画

リブラと既存のデジタル通貨との違い
Kkolosov/gettyimages

リブラ(Libra)は米SNS大手のフェイスブックが発行を計画する、新しいデジタル通貨だ。デジタル通貨自体は既存のサービスとして周知のもので、現金が主流の日本でも電子マネーやスマートフォンでの支払いサービスがかなり根付いてきた。ビットコインに代表される仮想通貨もデジタル通貨だ。しかし、リブラは以下のような点で、これらの既存デジタル通貨と大きく異なっている。

1点目に、一国にとどまらないグローバル通貨であるということ。2点目に、価格安定のため、主要通貨のバスケットと連動して価値が決まるということ。そして3点目に、大手プラットフォーマーが主導しているということだ。

フェイスブック関連のアプリは、世界総人口の約37%が利用しているので、リブラは支払い手段として一気に世界中に広がる可能性がある。

ビットコインなどの仮想通貨はグローバルに利用されているが価格変動率が非常に高いため、投資・投機商品としては良いが、決済には利用しにくい。一方で、リブラは通貨の「バスケット」、つまり、「ウェイト付けされた複数通貨のレートを加重平均して算出した価格」と連動するため、変動が小さくなる。

また、リブラはその発行と消却を、スイスに設立されたリブラ協会が担う。リブラ協会には、フェイスブックの子会社カリブラ社やテクノロジー企業が参加する。リブラ協会は、発行するリブラと同じ額を主要通貨建てで持ち、これをリブラ・リザーブと呼ぶ。こうすることでリブラは高い信用力を持つことになり、リブラ協会は中央銀行に近い役割を果たす。

フェイスブックの狙い

リブラ計画についてフェイスブックが強調しているのが、「金融包摂(ファイナンシャル・インクルージョン)に貢献する」という点だ。確かにリブラは銀行口座を持たない人(アンバンクト:unbanked)に、簡単に金融サービスを提供することができる。現在の決済システムは、とりわけ貧困層にとってコストが高いものであることは否定できない。

しかし、狙いは他にもある。フェイスブックは個人データ流出事件等による規制強化と、それに伴うコスト増加により、既存のビジネスモデルの修正と新たな収益源の確保が必要となっていると見られる。仮に、世界人口に占めるフェイスブック利用者と同率で、世界の現金発行額の一部がリブラに替えられるとすると、金額は約11.5兆ドル(約1240兆円)に達する。リブラ協会は同額の資産をリブラ・リザーブに保有するが、仮に全て米国短期国債で保有すれば、年利2%程度の利子所得が発生するので、2300億ドル(約25兆円)を受領することになる。リブラ計画は相当に儲かる可能性が高いビジネスと言えるだろう。

デジタル通貨2.0

デジタル通貨がアンバンクトを救うのか
metamorworks/gettyimages

世界の人口の約23%の人は金融サービスを受けることができない「アンバンクト」だ。アンバンクトは新興国に集中しており、口座を使うほど資金がない、信用力が低くて口座を開設できないといった事情がある。

アンバンクトの約2/3は携帯電話を所持しており、その中でインターネットにアクセスできる人は多くないものの、電話やショート・メッセージを使って金融サービスを利用することはできる。政府が個人に対する支払いをすべてデジタル手段にできれば、アンバンクトを最大1億人減らすことができると世界銀行は推計している。

デジタル通貨の魅力は何か

デジタル通貨について、IMF(国際通貨基金)は、ユーザーの利便性や同時偏在性などの6つの特長を挙げている。その中でとりわけ重要なのがネットワーク効果だ。多くの商品や個人が、ある特定のデジタル通貨を利用すれば、そのデジタル通貨の利用価値が高まり、より多くのユーザーが集まるという効果のことである。このネットワーク効果は、リブラ拡大の大きな原動力になるものであり、すでに強大なネットワークを持つプラットフォーマーが金融ビジネスに参入する理由でもある。

プラットフォーマーの進撃

無料サービス(フリーミアム)が可能となる仕組み

世界では通称GAFAと呼ばれるデジタル・プラットフォーマーがSNS、ネット検索・閲覧、電子商取引などのネットサービスをほぼ独占している。プラットフォーマーが提供するサービスの代表的なものは、無料サービスや利用者がサービス提供者となる構造などだ。

これがビジネスとして成り立つのは、

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