脱プラスチックへの挑戦
持続可能な地球と世界ビジネスの潮流

未 読
脱プラスチックへの挑戦
ジャンル
著者
堅達京子+NHK BS1スペシャル取材班
出版社
山と溪谷社 出版社ページへ
定価
1,650円(税込)
出版日
2020年02月01日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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持続可能な地球と世界ビジネスの潮流
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堅達京子+NHK BS1スペシャル取材班
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定価
1,650円(税込)
出版日
2020年02月01日
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総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
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レビュー

地球温暖化や気候変動の問題は、私たちが思っている以上に深刻だ。日本ではようやくレジ袋の有料化が義務付けられようとしているところであり、切迫感はそれほど感じられないかもしれない。だが人類に残された時間は、思った以上に少ない。

かつては“環境先進国”として名を馳せ、京都議定書を主導した日本。世界でもトップクラスの高い技術力を誇り、これまで環境に配慮した省エネ製品をたくさん世に送り出してきた。しかし“エコ”への意識はありながら、国レベルで意欲的な数値目標を打ち出すことには及び腰だ。どうやら日本人は、環境問題においては野心的になれないようである。温暖化対策に消極的な国として、日本が「化石賞」を受賞してしまったのも当然かもしれない。

一方で世界の国々や企業は、高い数値目標を自らに課して、“脱プラスチック”に向けて積極的に取り組んでいる。今後はそうした国が世界をリードし、生き残れる企業になるだろう。“失われた30年”ですっかり日本の存在感は薄れてしまったが、このまま国際社会におけるリーダーシップを失ったままでいいのだろうか。

日本人の「もったいない」と感じる精神や高度な技術力、緻密な管理運営能力は、かならずや持続可能な地球環境の実現に役立つはずだ。プラスチック汚染への警告だけでなく、日本が世界で担うべき役割をも示唆してくれる一冊である。本書を通じて、日本のあり方について考えてみてはいかがだろうか。

金井美穂

著者

堅達京子(げんだつ きょうこ)
NHKエンタープライズ エグゼクティブ・プロデューサー
1965年、福井県生まれ。早稲田大学、ソルボンヌ大学留学を経て、1988年、NHK入局。報道番組のディレクターとして『NHKスペシャル』や『クローズアップ現代』を制作。2006年よりプロデューサー。NHK環境キャンペーンの責任者を務め、気候変動をテーマに数多くのドキュメンタリーを制作。2017年より現職としてNHKスペシャル『激変する世界ビジネス “脱炭素革命”の衝撃』、BS1スペシャル『“脱プラスチック”への挑戦 〜持続可能な地球をめざして〜』を放送。日本環境ジャーナリストの会副会長。環境省中央環境審議会総合政策部会臨時委員、文部科学省環境エネルギー科学技術委員会専門委員。主な著書に『失われた思春期 祖国を追われた子どもたち サラエボからのメッセージ』(径書房)、『NHKスペシャル 家族の肖像 遺志 ラビン暗殺からの出発』『NHKスペシャル 新シルクロード』(ともにNHK出版)。

本書の要点

  • 要点
    1
    海洋プラスチックごみは、2050年に魚の量を超えると言われている。
  • 要点
    2
    プラスチックは汚染物質の“運び屋”となるだけでなく、メタンガスなどの強力な温室効果ガスも排出する。
  • 要点
    3
    世界では、ビジネス界や金融界も含めて“脱プラスチック”に向けて動いている。
  • 要点
    4
    これからは「環境と経済の両立」ではなく、環境こそがすべてのベースであり、最優先事項であることを認識しなければならない。
  • 要点
    5
    地球の限界を超えないためには、2030年までに二酸化炭素の排出量を半減させる必要がある。

要約

プラスチック汚染の現実

海洋プラスチックごみの真の問題
posteriori/gettyimages

いま世界中で生産されているプラスチックは、年間4億トン。1950年代の200倍の量である。そのうち毎年910万トンが海に流出し、その一部が海流に乗って太平洋ごみベルトをなしている。プラスチックは軽量で丈夫なうえに密封性も高いため、エネルギー消費の抑制という点では、これまで地球の環境問題解決に一役買ってきた側面もある。だがこのペースでは、海洋プラスチックごみが2050年に魚の量を超えるとも言われている。

この「プラスチック汚染」の解決に乗り出したのが、オランダ生まれの青年がCEOを務める、NPOオーシャン・クリーンアップである。目標は太平洋ごみベルトのプラスチックごみを、5年以内に50%回収することだという。彼らが2015年に1カ月の大遠征を行い、サンプルを回収したところ、うち3割が日本のプラスチックごみであった。これは国別で最も多い。

プラスチック素材の問題は、分解しにくく自然に還らない点にある。プラスチックごみは、紫外線に晒され波に揉まれながら、長い時間をかけてゆっくり小さくなっていき、直径5ミリメートル以下のマイクロプラスチックになる。そうなると海の生き物の体内に取り込まれる可能性が高まり、地球の生態系を脅かす深刻な問題となる。

プラスチックごみと地球温暖化

実際のところ、マイクロプラスチックは魚や貝類だけでなく、空気や水、人間の体内からも検出されている。マイクロプラスチックはそれ自体が毒性を帯びているだけでなく、海底の泥や海水中の有害化学物質を吸着し、汚染物質の“運び屋”にもなる。小さな捕食者から大きな捕食者に取り込まれる過程で、有害物質は濃縮されていき、最終的に食物連鎖の頂点である人間に巡ってくることが懸念される。

プラスチックの問題はそれだけではない。研究によると、プラスチックは温室効果ガス、特にメタンガスを排出することが確認されている。メタンガスは、二酸化炭素の25倍の温室効果のある危険なガスである。それが地球温暖化の進行にどう影響するかは未知数だが、プラスチックの年間生産量は、20年で2倍になると予測されており、待ったなしの状況と言える。

オーシャン・クリーンアップが調査した結果、海域のプラスチック総量8万トンのうち、92%がまだ5ミリメートル以上の大きさを保っている。いま回収してしまわなければ、手遅れになるかもしれない。2019年10月、大きな挫折を乗り越え、世界ではじめてオーシャン・クリーンアップが、プラスチックごみの大量回収に成功した。彼らはいま、「世界1000の河川からプラスチックごみを回収する」という次なる目標に挑んでいる。

脱プラスチックの潮流

脱プラスチックに向けた世界の動き
ThitareeSarmkasat/gettyimages

いま世界は“脱プラスチック”へと動いている。アメリカでは気候変動問題に敏感なニューヨーク市が2019年、最大1000ドルの罰金つきで、使い捨て発泡プラスチック容器の使用を全面的に禁止した。またフランスでは、国民の88%が使い捨てプラスチックの規制に賛成しており、2020年からコップなどの使い捨てプラスチック容器の販売ができなくなる。

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