「金利がいい」「金利が悪い」という言葉をよく聞くが、金利のとらえ方は立場によって異なる。「金利=利子」と言い換えてみるとわかりやすいだろう。借金を取り立てる金融系のドラマをイメージしてみよう。お金を借りる立場であれば、利子があまりつかない「低い金利」がいい金利になる。一方、貸す立場からすると、金利が多くつくと返してもらえる金額が増えるため、「高い金利」がいい金利だ。このように、金利には二面性がある。
銀行にお金を預けることは、お金を銀行に「貸している」ことと同じだから、預金には金利が上乗せされている。だから、銀行からお金を借りるときは金利が低いほうがよく、銀行にお金を預けるときは金利が高いほうがいい。
銀行が金利をつけるのは、お客さんに預金してもらうためだ。銀行は、お客さんから集めたお金を企業に貸して利息をもらったり、株や土地などの売買を行ったりすることで利益を上げている。お客さんに預金してもらい、軍資金を多く集めれば集めるほど、銀行の利益も上がるというわけだ。
金利は、各金融機関がそれぞれの基準で決めている。しかし実際は、ほとんど横並びだ。その理由は、日銀(日本銀行)が「銀行にお金を貸し出す銀行」であり、どこの銀行も日銀からお金を借りて経営をしていることにある。
日銀は、「金融政策決定会合」によって、市場の金利を調節する方針を決定している。これに基づいて「公開市場操作」することにより、日本の市場全体に出回るお金の量を調整し、世の中の金利をコントロールしている。
市場のお金が増えれば、企業や個人の収入が増えやすくなる。そうすると、高い金利を払ってローンを組もうとする人が減る。銀行はローンの借り手を増やすために、金利を下げる方向に動く。逆に市場のお金が減ると、「金利が高くても貸してほしい」という企業や個人が増え、金利は高くなる方向に動く。
金利は景気や物価などが複雑に影響するが、日銀の存在も大きな要素になっている。
景気が悪くなると、一般的に金利が下がる。その理由は、不景気になると、経済を活性化させるために市場のお金を回す必要があるからだ。このとき、金利が高いと「借りたくても借りられない」ということが起こる。そこで、お金を借りたい人が借りやすくなるように、日銀が金利を下げようと動く。それに連動して「銀行から借りるときの金利」も下がり、「預けるときの金利」も下がることになる。
例えば、金利が下がっている状態で、A銀行だけが預金金利を上げたとする。
3,400冊以上の要約が楽しめる