文系AI人材になるの表紙

文系AI人材になる

統計・プログラム知識は不要


本書の要点

  • AIに関する仕事は、AIを「作る」ことが中心だった。そのため、AIを「使う」人材が不足している。これからのビジネスシーンを生き抜くには、AIの活用を担う「文系AI人材」になることが重要だ。

  • 文系AI人材として活躍するためには、AIの基礎知識を暗記する、AIの作り方をザックリ理解する、AI企画力を磨く、そしてAIの活用事例をとことん知るという、4つのステップを踏むことが効果的である。

  • これからの社会を牽引するのは、文系AI人材である可能性が高い。変化を恐れない姿勢を大事にしたい。

1 / 3

AI社会で職を失わないために

AI時代には、「行動しない」ことがリスクに

AIによって職がなくなるかもしれないという議論は、もはや珍しいものではない。これまでも、新しい技術が生まれ、社会に定着したときには、複数の職種がなくなってきた。その一方で、新技術を使った新しい職種も登場してきている。AI時代においても、新しいタイプのAI職が多く生まれるはずだ。今後最もリスクが高いのは、AIによる失職を恐れるあまり、身動きが取れなくなることだ。変化を恐れずにAI職に就く準備を始めることが必要となる。AIが普及すれば、AIとの共働きスタイルが広がっていく。AI職の役割は、AIの特性を知り、人間とAIの共働きをうまくコントロールすることだ。こうした時代においては、行動しないことがリスクになる。AIを積極的に使っていくことが、「人間とAIの共働き時代」を安泰に過ごすうえで重要なのだ。

5つの「共働きスタイル」

B4LLS/gettyimages

人とAIの分業スタイルは、分業のバランスによって次の5パターンに分類できる。(1)人だけで仕事をする「一型」:具体的にはマネジメント・経営業務、クリエイティブ業務など。(2)人の仕事をAIが補助し、人ができていたことを効率化する「T型」:接客や営業、教育、ソーシャルワーク業務など。(3)人の仕事をAIが拡張し、人ができなかったことを可能にする「O型」:医療・看護、弁護士といった高度な専門業務やトレーダーなどの予測分析業務。(4)AIができない仕事を人が補助する「逆T型」:データ入力業務や運転業務など。(5)人の仕事をAIが完全に代行する「I型」:注文会計業務や監視業務など。

足りないのは「文系AI人材」

「AIの活用」と聞くと、AIを作ることを思い浮かべる方が多いかもしれない。これまでのAI人材教育はAIを「作る」ことにフォーカスしており、その環境は整ってきたといえる。一方で、AIを「使う」側の教育環境や人材キャリアをフォローアップする環境は、まだ整っているとはいいがたい。実際には、AIを作るハードルは下がっている。AIを作るための専門性がなくとも、構築済みのAIサービスを利用すれば、容易にAIを作ったり活用したりできるようになっている。このような環境下では、AIを作るのか使うのかの判断能力が欠かせない。同時に、これからはAIをうまく「使う」人がビジネスを動かしていくだろう。AIの導入数が増えれば増えるほど、「AIを作る仕事」以外の仕事が大量に発生する。「理系AI人材」は、これまで主に「AIを作る」仕事を担ってきた。また、AIを現場で動かすための「本番稼働AIシステムの構築」や、現場でAIを利用し続けるための「AIシステムの運用管理」も彼らの仕事だ。これらの仕事以外の、AI活用に必要なすべての仕事を担うのが、「文系AI人材」である。

文系AI人材の具体的な仕事内容とは?

NicoElNino/gettyimages

文系AI人材の具体的な仕事内容を見ていこう。まずはAIをどのようにビジネスで活用するかを考える「AI企画」が挙げられる。ビジネス課題の解決や顧客の不便解消のために、AIの活用方法を企画する。企画の方針によって、次の3つの仕事のいずれかを行うこととなる。構築済みAIサービスでニーズを満たせない場合は、「AIを作るプロマネ」として、AIプロジェクト全体のマネジメントをすることとなる。また、「GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェイス)のAI構築環境で作る」ことを決めた場合は、文系AI人材自らがAIを作ることもある。つづいて、自らAIを作らずに構築済みのAIサービスを使う場合は、どのサービスが自社にフィットするのかといった観点から、「構築済みAIサービス選定」を行うことになる。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2851/4387文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2020.05.27
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

「数字で考える」は武器になる
「数字で考える」は武器になる
中尾隆一郎
教養としてのコンピューターサイエンス講義
教養としてのコンピューターサイエンス講義
ブライアン・カーニハン酒匂寛(訳)坂村健(解説)
なぜ僕らは、こんな働き方を止められないのか
なぜ僕らは、こんな働き方を止められないのか
松井博
2060 未来創造の白地図
2060 未来創造の白地図
川口伸明
人工知能と銀行経営
人工知能と銀行経営
大久保豊西村拓也稲葉大明尾藤剛小野寺亮
「無為」の技法 Not Doing
「無為」の技法 Not Doing
スティーブン・デスーザダイアナ・レナー上原裕美子 (訳)
勉強の哲学
勉強の哲学
千葉雅也
自分をコントロールする力
自分をコントロールする力
森口佑介

同じカテゴリーの要約

生成AI最速仕事術
生成AI最速仕事術
たてばやし淳
悩まず、いい選択ができる人の頭の使い方
悩まず、いい選択ができる人の頭の使い方
小川仁志
本質をつかむ
本質をつかむ
羽田康祐 k_bird
無料
なぜ、あの人との会話は嚙み合わないのか
なぜ、あの人との会話は嚙み合わないのか
米澤創一
年収UP・起業・自己実現できる! 副業の教科書
年収UP・起業・自己実現できる! 副業の教科書
大林尚朝
頭のいい人が話す前に考えていること
頭のいい人が話す前に考えていること
安達裕哉
これからのキャリア開拓
これからのキャリア開拓
田中研之輔山口裕二野澤友宏
努力の地図
努力の地図
荒木博行
すごいフィードバック~心が動き、行動が変わる!
すごいフィードバック~心が動き、行動が変わる!
戸田久実
無料
「やりたいこと」が全部できる! 自分の時間
「やりたいこと」が全部できる! 自分の時間
尾石晴