フルライフ

今日の仕事と10年先の目標と100年の人生をつなぐ時間戦略
未読
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今日の仕事と10年先の目標と100年の人生をつなぐ時間戦略
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フルライフ
出版社
NewsPicksパブリッシング

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出版日
2020年04月17日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

自分の人生に漠然とした不安を抱くことは、誰しもあることだ。会社に依存しているサラリーマンであれば、なおさらである。終身雇用や年功序列といった日本型の雇用形態が失われるなか、明るい未来を描けていない方も少なくないだろう。

本書における「フルライフ」とは、簡単にいえば充実した人生のことである。フルライフを実現するために、具体的にどのような考え方で、この限られた時間を使うべきか。どんなにがんばって仕事で成果を出しても、どんなにプライベートを充実させても、幸福で満足できる人生を送り続けることは、なかなか困難だ。だからこそ本書が語る、フルライフを実現するための考え方は興味深い。なにより論理的かつわかりやすく書かれているため、説得力が感じられる。

新型コロナウイルスの脅威が広がるいま、思うように仕事ができず、鬱屈した毎日を送っている人は多い。しかしこんなときだからこそ、自分の将来や仕事をどうするべきか、真剣に向き合うべきだ。本書でいうところの「Well-Being」な時間を充実させれば、新型コロナウイルス終息後の仕事のやり方にも大きな差が出てくるはずである。そして人生そのものも大きく変わるに違いない。

ライター画像
香川大輔

著者

石川善樹 (いしかわ よしき)
予防医学研究者、博士(医学)
1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。公益財団法人Wellbeing for Planet Earth代表理事。「人がよく生きる(Good Life)とは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、概念工学など。近著は、『考え続ける力』(ちくま新書)、『継続とは「小さな問い」を立てること DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文』(ダイヤモンド社)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    フルライフ(充実した人生)を実現するためには、限られた時間の中で、Well-DoingとWell-Beingのバランスをとることが必要だ。
  • 要点
    2
    人生は「ハードワーク期」「ブランディング期」「アチーブメント期」に分けることができる。それぞれの時期には、重視すべき「重心」がある。
  • 要点
    3
    真のWell-Beingとは、自分を忘れることで自分らしさを見出すことにある。

要約

フルライフを実現するための時間戦略

フルライフとは
Nikada/gettyimages

本書のコンセプトは、「時間の使い方に戦略をもつことで、フルライフ(充実した人生)を実現する」ことである。時間には限りがあるため、やりたいことを全部やろうとすると、中途半端になってしまい後悔が生まれる。逆にやりたいことを取捨選択したとしても、今度は捨てた選択肢に対する後悔が生まれてしまう。限られた時間のなかで充実した人生を築いていくには、確信を持って前に進んでいくための「時間戦略」が必要になるのだ。

ここでいう戦略とは、ものごとの重心のことである。著者はフルライフを実現するための時間戦略について、Well-DoingとWell-Beingの重心を見つけることだとしている。「Doing(する)」とは、明確な責任にもとづき、役割や責任を果たすことだ。たとえば考えること、会議、仕事がこれに当てはまる。一方で「Being(いる)」とは、特にそうした目標を持たずに過ごすことである。仕事中の雑談やプライベートの時間がこちらに当てはまる。この2つの時間をよりよい状態に保ちながら、限られた時間のなかで、Well-DoingとWell-Beingを最適に配分する。これこそがフルライフの重心をつかむということだ。

信頼の文化を築くために

Well-Being度が高い職場は、Well-Doing度も高いことがわかっている。Well-Being度が高まると、従業員の健康増進やモチベーション向上を通じて、生産性と収益性が向上するのだ。

それでは職場のWell-Beingの重心は何なのか。それは「信頼の文化」に他ならない。「信頼」とは感情的な結びつきを含む、双方向の関係性のことだ。一方向の理性的な「信用」とは異なり、「信頼」は多少のアクシデントでは揺らぐことのない連帯感を生み出す。

信頼の文化を形成するうえでは、次の3つのポイントに重点を置きながら、コミュニケーションをとるとよい。

・仕事は順調ですか?

・人生は順調ですか?

・ご家族は幸せですか?

1つ目の質問は、日々の仕事において学びや変化があるかの確認である。人はたとえ成果が出ていても、ルーティンの繰り返しだけでは順調とは感じられない。この質問は、1週間に1回ぐらい聞くとよいだろう。

2つ目の質問は、半年に一度ぐらい聞くと効果的だ。「たまには仕事から離れ、でかい話でもしよう」というノリを持ち込むようにしよう。

3つ目の質問は、プライベートに踏み込むことになる。日頃から進んで、自分のことを話しておくのが望ましい。

信頼の文化を築くためには、このように仕事・人生・プライベートの全方位に気を使うべきである。そうすれば相手は「ひとりの人間として認められている」と感じ、信頼の文化が醸成されていく。

時間戦略の全体像
oatawa/gettyimages

まずは、長い仕事人生における時間戦略の全体像を確認したい。

最初にやってくるのが「ハードワーク期」だ。下積みにあたるこの時期は、仕事をしても成功(=社会的なインパクトの大きさ)を勝ち取ることは難しい。

次に訪れるのが「ブランディング期」である。周りからの信頼を集め、仕事の幅を広げるこの時期は、急カーブを描くようにして、加速度的に結果が出始める。

そして最後に訪れるのが「アチーブメント期」だ。自分の仕事をどんどん社会に還元するようになる時期である。このフェーズに到達するのは、早い人で50歳前後だろう。

誰の「信頼」を得るべきか

次に、それぞれの時期でどこに重心をおくべきか、すなわち誰の「信頼」を得ながら仕事をすればよいのかをみていく。

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要約公開日 2020.06.15
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