東京改造計画

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東京改造計画
出版社
出版日
2020年05月30日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「選挙に勝ちたいだけの自己保身の『政治屋』には、思い切った仕事はできない」

本書は冒頭から末尾まで、2016年から東京都知事を務めている小池百合子氏を厳しく非難している。それは、東京都知事が大統領並の権力をもっているのに、大きな仕事を成し遂げられていないからだ。

東京都の予算は年間7兆円を超え、小国の国家予算をも上回る規模である。しかし、これだけの資産をもっていても、あまりにも保守的な政策によって停滞をきたしている、と著者の堀江氏は主張する。このような現状に危機感を募らせ、東京都を生まれ変わらせる提言として本書を執筆している。

そこまで言って大丈夫なのかと不安にすら感じるような「極論」も出てくる。批判を受けることは、当然覚悟の上だ。

日々SNSで情報を発信し、時には炎上して罵声を浴びようとも自身の信念を貫いて生きてきた堀江氏だからこそ、あえて口に出せることがある。ポピュリズムに迎合し、自分の意見を言えなくなった政治家のために、自分が代弁してみせよう。そのような強い意志が全体から漂っている。

堀江氏からすれば、新型コロナウイルスによるパニックは、むしろ世の中のおかしな慣習を一気に変えるチャンスだ。ならば我々も堀江氏に倣い、これを機に自身の意識を変容させてみよう。

本書で提言される斬新で刺激的なアイデアは、私たち自身の頭で考えるきっかけにもなるはずだ。ページをめくりながら、1つひとつ向き合ってみてほしい。

著者

堀江貴文(ほりえ たかふみ)
1972年10月29日、福岡県生まれ。
現在はロケットエンジン開発や、アプリのプロデュース、予防医療普及協会理事として予防医療を啓蒙する等、様々な分野で活動する。また会員制オンラインサロン『堀江貴文イノベーション大学校(HIU)』では、1500名近い会員とともに多彩なプロジェクトを展開している。『多動力』『時間革命』『120歳まで生きたいので、最先端医療を取材してみた』など著書多数。
その他、詳細はHORIEMON.COMへ。Twitterアカウント:@takapon_jp

本書の要点

  • 要点
    1
    東京にはものすごいポテンシャルがあるが、現状ではそれを有効活用できていない。
  • 要点
    2
    公務員も含め、「スピード」「スマート」「スモール」の3S組織のほうが強い。
  • 要点
    3
    世の中は「外圧」でしか変わらない。コロナ危機の今こそ一気に古いシステムを変えるチャンスだ。
  • 要点
    4
    感染症に関し、ゼロリスクなんてあり得ない。ある程度のリスクを受け入れながら、経済活動を再開すべきだ。
  • 要点
    5
    東京改造計画の目的は、都民一人ひとりが「未来の生き方」を実現することだ。今こそ、自分の言葉で考え、行動しよう。

要約

経済

渋滞・満員電車ゼロ
bee32/gettyimages

東京はものすごいポテンシャル(潜在能力)とアセット(資産)をもっている。それを活かすためのローリスク・ハイリターンな37の提言から、いくつか抜粋して紹介しよう。そこには「正論」だけでなく炎上必至の「極論」「暴論」も含まれることを先に述べておく。

まず、経営者視点で東京の経済を考えてみよう。

都民一人ひとりにとって時間こそ価値になる。渋滞による時間のロスは、無駄な損失だ。では、どうすれば首都高の渋滞を解消できるだろうか。答えは超簡単だ。ダイナミック・プライシング(価格変動設定)を導入すればいい。これは混雑時に料金が自動的に高くなるようにする仕組みだ。具体的には、400~500円程度の金額を上乗せする。増額分を節約しようとする人が出てくるので、首都高の渋滞をコントロールできるのだ。そのために、まず首都高各所にETC車両検知器を大幅増設し、車へのETC設置を義務化する。ETCを搭載していない車はそもそも首都高に入らせない。

このダイナミック・プライシングは満員電車にも応用可能だ。通勤・通学ラッシュ時の1~2時間限定で構わない。大勢の人が殺到する朝と夕刻に限定して電車賃を高くする。これにより利用者が分散し、満員電車は容易に緩和されるだろう。

これだけライフスタイルが多様化し、テレワークなどが推進される世の中において、わざわざ同じ時間帯に同じように移動する必要など全くない。

意味のない習慣を脱し、時代に合った生き方をしよう。

足立区を「日本のブルックリン」に

ニューヨーク・マンハッタン島の南にはブルックリンと呼ばれる地域がある。マンハッタンの地代家賃は目玉が飛び出るほど高いわけだが、ブルックリンはそれと比較すると少しだけ安い。だからこの地域には、一攫千金を夢見たアーティストやクリエイターが世界中から集まってくる。そのような「イケてる人たち」が暮らす街はカッコ良い。

東京都には足立区のように貧困層の多い地域がある。この貧困問題の根本原因は、街づくりのあり方がまずいことにある。アートの力を使うことで足立区をブルックリンのような「イケてる街」にできる。具体的には、東京都が持っている土地や施設を民間に開放し、アーティストが格安で入居できるようにするモデルを作り出すのだ。

過去の好事例として代官山が挙げられる。もともと代官山は何の変哲もない住宅街であった。トップには程遠く、2・3番手でくすぶっていてお金がない若者に、「出資するから代官山でショップを開かないか」と長戸大幸さんがリクルートしたのだ。こうして路面の1階部分にセンスのいいショップが並ぶようになり、街のブランド価値が高まることで、代官山は生まれ変わった。

街のイメージはやり方次第で変えることができる。

教育・社会保障

学校という施設自体への疑問
pinstock/gettyimages

新型コロナウイルスを契機に、東京都内の公立小中学校でオンライン授業を導入すべきだ。そもそも1カ所に子どもたちが集まる必要はない。

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要約公開日 2020.07.18
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