本書の要点

  • WHY型・WHAT型・HOW型・WHO型の4つの資質をバランス良く持つ「経営チームゴレンジャー」を形成すると、その後有利に成長できる。

  • ネット検索やSNSが普及したいま、買い手も売り手に対して情報優位性を持てるようになった。だからこそ「売ったあと」にどうやって顧客との関係を築き、継続して商品やサービスを使い続けてもらうかが重要だ。

  • 組織カルチャーやメンタルモデルという深いレイヤーで実装しなければ、顧客に商品やサービスを使い続けてもらうことはできない。

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人的資源

初期に必要な人材を見極める

Rawpixel/gettyimages

PMF(Product Market Fit:市場で顧客から支持される製品やサービスを作ること)をしたにもかかわらず、スケールできないスタートアップがある。その大きな要因のひとつが、人材に関する戦略や知見の欠如だ。まずスタートアップにとって、必要な人材採用の型を見ていこう。人材はWHY型、WHAT型、HOW型、WHO型の4つに分けられる。WHY型は「なぜそういうやり方をするのか?」と、理想を追求するタイプ。WHAT型は論点を構造化して進める実現型のタイプだ。WHY型が漫才でいう「ボケ」だとすると、WHAT型は「ツッコミ」を入れる役と捉えられるだろう。一方でHOW型やWHO型は、既存のやり方を「より良くする」思考パターンを持っている。彼らはきちんとディレクションされた状態でないと、十分に力を発揮できない。PMF後の組織形成にあたっては、「経営チームゴレンジャー論」を参考にしてもらいたい。パッションがあり、強力なモチベーションを有するWHY型人材は「アカレンジャー」だ。次に、アカレンジャーの「ボケ」に対し、大局観を持って冷静に「ツッコミ」を入れるのが、WHAT型人材の「アオレンジャー」である。そのあとに、コミュニケーション能力に長けていてチームのムードメーカーになる「キレンジャー」、デザインセンスに長けていて、プロダクトの使い勝手を良くしてくれる「モモレンジャー」が続く。そしてアカレンジャーの掲げた大風呂敷を、現実的なロードマップに落とし込む戦略家の「ミドレンジャー」がいる。この5つのタイプが揃うと、その後の成長に有利に働いていく。

「自己認識力」を高めるストーリーブック

経営陣は、「なぜこの事業をやるのか」「その意義はなにか」という問いを通じて、自身の強みと弱みを言語化し、「自己認識力」を高めていく。これを組織レベルでやる方法が、ストーリーブックの作成だ。ストーリーブックをうまく活用すれば、「求職者・将来の社員」に向けて、会社の強み、魅力、弱み、課題を伝えることができる。以下、ストーリーブックに求められる要素を挙げる。1.弊社はこんな会社です(会社概要、事業概要、実績、会社のミッション、競合優位性など)2.社長/経営陣はこんな人です(人間像、事業への喜び、創業のきっかけ、得意・不得意、経歴、趣味など)3.会社のビジョン/未来像(目指す未来像、それを目指す理由、1年後、5年後、10年後の姿など)4.自社の魅力/課題(会社、仕事、一緒に働く人、業界、市場の魅力、またそれらの課題など)5.一緒に働きたい人(こんな人と働きたい、こんな人と働きたくない)このストーリーブックをベースにして、「採用市場向けエレベーターピッチ」を用意しよう。そうすれば自社の情報を求職者に対して効果的にアピールできるし、自社の欲しい人材像も明確になる。

採用の勝ち筋を見つけていく

Kenishirotie/gettyimages

人材採用において重要なポイントは、自社の勝ち筋となるような採用チャネルを見つけることだ。あらゆるチャネルに手をつけてしまうと、どれも中途半端になってしまう。

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要約公開日 2020.10.01
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