人間関係の悩みは、生きている限りなくならない。だからこそ、人間関係の悩みとうまくつき合っていくことは、生きていくうえでの最大のテーマだといってもいい。
では、人間関係の悩みとどうつき合えばいいのか。著者が出した答えは「無理にしゃべろうとしないこと」である。
著者は、飲食店、小売店、出版、オンラインサロン、ビジネストレーニング、講演会などといった事業を多角的に進めているため、「コミュニケーションの達人」だと思われることが多くある。だが実は、しゃべるのが苦手で、スタッフとの会話ではほとんどしゃべっていない。「いつもありがとう」「何か僕にできることはある?」と声をかけて、あとはひたすら相手の話を聞くだけ。それだけで驚くほどうまくチームが回っている。
「気合を入れてしゃべくり倒したにもかかわらず、相手にまったく伝わっていなくて、無駄なエネルギーだけ消耗し、疲弊してしまう」という人がいるが、無理にしゃべろうとするからうまくいかないのだ。コミュニケーションでは、しゃべらない時間(聞く・質問する・沈黙する)のほうが長い。その「しゃべらない時間」こそがカギになってくる。
コミュニケーションでは、相手があなたと会う前よりも前進していることが大事だ。そのためには、時には沈黙に耐えなければならないこともある。沈黙しているとき、相手は脳内で思考を整理して、自分の考えを組み立てて言語化し、自己決断してしゃべろうとしている。沈黙に耐え切れず、あなたがしゃべってしまえば、その自己決断を邪魔してしまう。 人間関係においては、あなたがたくさん話して相手を納得させるよりも、相手の自己決断を促すほうが大切だ。
人間関係を円滑にするためには、自分が「どうしゃべるか」よりも、相手が「どう思うか」がポイントとなる。そのためには、相手のペースに合わせてしゃべることも重要だ。相手がゆっくりしゃべる人なら、自分もゆっくりしゃべる。早口の人なら、自分も早口で。声のボリュームも同じだ。
大事なのは、あなたが一生懸命話すことよりも、相手の心地よいゾーンで会話をすることだ。そのために、相手によって自分を柔軟に変えること。無理してしゃべる必要はない。
営業で圧倒的に成果を出している人や本物の人格者・成功者、モテる人の共通点は、「相手の話をよく聞く」ということである。二流の人ほど、自分の話を聞いてもらいたい、理解してほしいという気持ちが強いものだ。そういう人同士の交渉やパートナーシップはうまくいかない。
大事なのは、しゃべることではなく、聞くことである。相手を理解するように話を傾聴する姿勢を示せば、相手はあなたに信頼をよせ、コミュニケーションが成立する。
余力があるなら、聞くことに加えて、「質問」をすると効果的だ。うまい質問を思いつかなかったり、質問できるほどの知識がなかったりする場合もあるかもしれない。
3,400冊以上の要約が楽しめる