元コミュ障アナウンサーが考案した

会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書

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会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書
出版社
出版日
2020年08月29日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「コミュ障」という言葉をよく耳にする。以前は「コミュニケーションに難ありの絡みづらい人」といったイメージが強かったように思うが、明るいイメージのある芸能人などが「実はオタクで超コミュ障で」と意外な面を出すことが増えてからは、マイナスの印象は弱まったように個人的には感じている。

著者の吉田尚記アナウンサーも、「オタク気質のコミュ障」であったようだが、現在の活躍ぶりからは、まったくそんなふうには思えない。吉田氏は今回、本書を書くにあたって、コミュニケーションを不得手とする人たちを集めて「サロン」をつくったのだという。サロンメンバーと直接コミュニケーションを取り、リアルな悩みを聞いた結果が、本書に反映されている。コミュニケーションが苦手だと自覚する私にとっては「あぁ~、わかるわかる!」の連続だった。

そしてなによりも嬉しいのが、本書で紹介される24の「武器」だ。「発言をオウム返しするだけでいい」「驚きの相づちを打つだけで立派な会話」など、今から使える簡単なものから、ちょっと高度なものまでさまざま紹介されている。「会話はどう転がるかわからないんだから、オチなんてつけなくてもいい」などとも書かれており、「あぁ、なんて優しいんだ」と勇気づけられもした。「こうしなければいけない」という会話・コミュニケーションでの固定観念をやんわりと否定してくれて、「これなら、私もできるかも」と思えることだろう。

著者

吉田尚記(よしだ ひさのり)
1975年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。ニッポン放送アナウンサー。ラジオ番組でのパーソナリティのほか、テレビ番組やイベントでの司会進行など幅広く活躍。
またマンガ、アニメ、アイドル、デジタル関係に精通し、「マンガ大賞」発起人となるなど、アナウンサーの枠にとらわれず活動を続けている。2012年に第49回ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞受賞。著書に『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(太田出版)、『あなたの不安を解決する方法がここに書いてあります。』(河出書房新社)など。
Twitterアカウント@yoshidahisanori

本書の要点

  • 要点
    1
    コミュニケーションは練習が必要なものであり、「誰でもできて当たり前」ではない。コミュニケーションが苦手な自分を責める必要はないし、苦手なら練習してうまくなればいい。
  • 要点
    2
    会話は自己表現の場ではないので、オチはいらない。オチを用意しているのは、相手の自由な反応を認めていないようなものだ。
  • 要点
    3
    相手がしゃべりにくそうなときや、会話の糸口が見つけられないときは、こちらの勝手な先入観や決めつけをぶつけてみよう。すると、相手はそれを否定するために、たくさん話してくれる。

要約

「会話がしんどい」から卒業するために

コミュニケーションには「武器」が必要だ
monzenmachi/gettyimages

「コミュ障」という言葉がある。これは「コミュニケーション障害」の略称であり、今は一般的に「他人とコミュニケーションをとることが苦手であることを表す俗称」として使われている。

「コミュ障」という言葉が広く使われるようになったのは、「コミュニケーションは、本来できて当たり前のものだ」という考え方があるからだろう。だが実際には、コミュニケーションは練習が必要なものであり、「誰でもできて当たり前」ではない。だから、コミュニケーションが苦手な自分を責める必要はないし、苦手なら練習してうまくなればいい。

そこで必要なのが「武器」だ。コミュニケーションをとれる人たちは、経験を積み重ね、「武器」を獲得している。本書の目的は、コミュニケーションに使える「武器」を読者に渡すことだ。

初対面ではどうでもいい話をしよう

仕事の会話はできても「どうでもいい話」や「ムダな雑談」が苦手だという悩みは多い。どうでもいい話をするときは、利害関係のない話題を選んでみよう。一番代表的なものが「天気の話」である。

ただし、「今日はいい天気ですね」というと「そうですね」で会話がストップしてしまうので、「今日、家を出るとき、晴れてました?」と質問形にするテクニックを使うといい。そうすれば、相手が自分のことを話してくれて、その人の住んでいる場所や家の様子などがわかり、そこから「どうでもいい雑談」が広がっていく。

会ったばかりの人にどうでもいい雑談を仕掛けていいものかと、迷ってしまう人もいるかもしれない。だが、重要な話や真剣に話し合いたいテーマに踏み込むのは、もっと親しくなってからにしよう。初対面の知らない人だからこそ、どうでもいい話をすべきなのだ。

会話はオチがないから面白い

どうでもいい話を始めにくい理由として、自分から話しかける以上は「オチ」をつけなくてはいけないと思ってしまっているからではないだろうか。だが、会話に「オチ」なんてなくていい。むしろ理想は、話し続けているうちに時間が来て、仕方なく終わるような会話だ。もう少し話していたい、また会いたいとお互いに思えたら最高である。

会話にオチが必要だと思ってしまうのは、会話を「自己表現」の場だと勘違いしてしまっているからだろう。しかし会話は、「自分が一方的に表現する」ものではない。自分が質問する→相手が考えて返してくれる→それをもとに自分がさらに考えて質問する、という繰り返しが基本だ。会話は、始めた時点ではどう転がるかわからず、また終わり方も予測できなくて当然である。すなわち、最初からオチを用意しているというのは、相手の自由な反応を認めていないようなものだ。

答えやすい質問は自分も相手もラクにする
filadendron/gettyimages

初めて会話する相手でほとんど事前情報がない場合は、「誰でも考えずに答えられることを聞く」テクニックが有効だ。例えば、

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要約公開日 2021.01.08
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