スタンフォード式 人生を変える運動の科学

未読
スタンフォード式 人生を変える運動の科学
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スタンフォード式 人生を変える運動の科学
出版社
出版日
2020年04月30日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「運動は健康に良いし、メンタルにも良い」――これはもう自明のことであり、聞き飽きているという方もいるかもしれない。

しかし本書は、運動が及ぼす効果を肉体・精神面だけでなく、社会面も含めて包括的にまとめており、「なぜ運動をしたほうがいいのか」という問いに対して、これ以上ないほどの説得力のある答えを提示している。運動で人生が変わった人たちのケーススタディも多数掲載されており、いずれも必見だ。運動にまったく興味のない人でも、本書を読めば「体を動かしたい」「運動しなきゃ損」と思わされること請け合いである。

これはまさに「人を動かす」本だ。コロナ禍のまさにいまだからこそ、読んでいただければと思う。要約者はもともとランニングを定期的にしていたのだが、新型コロナウイルスの影響でいつの間にかしなくなっていた。ずっと家に籠りがちな状態が続き、結果としてネガティブな感情を持つことが増えていた。しかし本書を読み、運動の大切さを再認識。週に3、4回ほど緑の多い公園でランニングをするようにしたところ、ネガティブな感情にとらわれにくくなった。運動の大切さをあらためて強く認識した次第である。

きっと皆さんのなかにも、家に籠りがちだったり、日々のルーティンに鬱々したりしている方もいるのではないだろうか。ならば本書を読んで発奮し、ぜひなんらかの運動をしてみてほしい。あらゆる面で、きっと良いことが起きるはずだ。

著者

ケリー・マクゴニガル (Kelly McGonigal, Ph. D.)
スタンフォード大学の心理学者。ボストン大学で心理学、マスコミュニケーションを学び、スタンフォード大学で博士号(健康心理学) を取得。心理学、神経科学、 医学などの最新の知見を用いて、人びとの心身の健康や幸福、成功、人間関係の向上に役立つ実践的な戦略を提供する「サイエンス・ヘルプ」のリーダーとして、世界的に注目を集める。メディアでも広く取り上げられ、『フォーブス』の「人びとを最もインスパイアする女性20人」に選ばれている。TEDプレゼンテーション「ストレスと友達になる方法」は2200万回超の再生回数を記録。著書は28カ国で刊行され日本でも累計80万部のベストセラーとなった『スタンフォードの自分を変える教室』、『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』(ともに大和書房)などがある。大学での講義や国内外での講演活動のほか、心身相関を重んじる立場から、ダンス、ヨガ、グループエクササイズの指導を長年行っている。

本書の要点

  • 要点
    1
    人類は進化の過程で、快感をもたらす脳内化学物質の働きを利用し、「持久力を発揮すると報酬が得られる」という仕組みをつくった。それがランナーズハイである。
  • 要点
    2
    新しい運動習慣を定着させるのには、週4回のトレーニングを6週間継続する必要がある。運動は続けていくうちに、だんだん楽しくなるものなのだ。
  • 要点
    3
    心理学では、自然で行う運動をグリーン・エクササイズと呼ぶ。屋外で体を動かし5分もすると、気分が上向きになり、楽観的になることがわかっている。

要約

【必読ポイント!】 持久力が高揚感をもたらす

なぜ「ランナーズハイ」が起こるのか?
Khosrork/gettyimages

多くの人が、ランナーズハイを陶酔状態に例えている。たとえばイギリスの文化史家であるヴァイバー・クリガン=リードは著書『フットノート (Footnotes)』のなかで、ランナーズハイの感覚を「密造ウイスキーの様に強烈だ。誰かれかまわず声をかけて、きみは何て美しいんだ、世界は何てすばらしいんだろう、生きてるって最高だね、なんて言いたくなる」と書いている。

また、ランナーズハイはランニングだけでなく、ハイキング、水泳、サイクリング、ダンス、ヨガなどの持続的な運動でも得られることがわかっている。

最近の研究では、ランナーズハイで多幸感を得られるのは、人類の狩猟採集生活と関係していることが指摘されている。400万年前の猿人たちは、直立歩行だが樹上で過ごす時間が多く、枝をつかみやすいように足指が長くて曲がった足をしており、走るのには適していなかった。だが200万年前、大規模な気候変動で地球の温度が低下。東アフリカでは森林地帯が減少し、まばらな森や広い草原が出現した。原始人は獲物を狩ったり木の実を収集したりするために、広範囲を移動する必要に迫られた。

現代人のように扁平で地面を蹴りやすい、走るのに適した足が登場したのは、化石記録によると100万年から200万年前頃のことだ。自然選択によって、長時間の狩りを続けられる、走るのに適した身体的特徴が優性になったためだと考えられる。

とはいえ、身体が走るのに適していても、夜明けから日没まで狩りをしたり、ひたすら木の実を摘んだりするのはつらいものだ。アリゾナ大学の人類学者であるデイヴィッド・ライクレンは、人間は空腹を満たす目的だけでそのような苦行に耐えられるかどうか疑問を持った。そしてランナーズハイについて、ある仮説に至った。人類は進化の過程で快感をもたらす脳内化学物質の働きを利用し、持久力を発揮すると報酬が得られる仕組みを持ったのではないかと。ライクレンは、それこそがランナーズハイなのではないかと考えた。

20分の「ややきつい運動」でハイになる
shapecharge/gettyimages

ライクレンは、ランナーズハイと内因性カンナビノイドという脳内化学物質の関連性に着目した。

内因性カンナビノイドは、大麻やマリファナのように苦痛を緩和し、気分を向上させたり心配事やストレスを軽減したりする効用がある。ライクレンは定期的に走っている人たちを集め、トレッドミルを用いて、さまざまな強度のトレーニング実験を行った。実験では、トレーニング前後に被験者の採血をして、内因性カンナビノイドの血中濃度を調査した。その結果、30分間のウォーキングや全速力で走った場合だと効果はなかったが、ジョギングになると内因性カンナビノイドの血中濃度が3倍も増え、被験者はハイな気分になったと報告した。

またランニングだけでなく、サイクリング、ハイキングなど、心拍数が上昇する持久性運動であれば、内因性カンナビノイド値が上昇し、ランナーズハイに相当する高揚感が得られることもわかった。ランナーズハイは、ややきつめの中強度の運動を20分継続することで起きるのだ。

夢中になる

運動そのものが麻薬?

1970年、ニューヨーク市・ブルックリンの精神科医フレデリック・ベークランドによって、定期的に運動している人が運動をやめると眠れなくなり、深刻な精神的苦痛を感じることが報告された。その後も多くの研究で、毎日運動をしている人は1日でも運動を休むと不安や苛立ちを感じ、3日間運動しなければうつ病の症状すら表れることがわかった。

運動愛好者は、依存症の人と共通点がある。

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要約公開日 2021.01.10
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