モンテッソーリ教育が教えてくれた「信じる」子育て

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モンテッソーリ教育が教えてくれた「信じる」子育て
出版社
出版日
2021年01月24日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

子育ては悩みの連続だ。子どもが駄々をこねる、約束を破る、人を叩いたり噛んだりする。そんなとき、自分の育て方が正しいのか悩んでしまう。そんな経験がある保護者の方は少なくないだろう。

本書は、元保育士であり、現在はモンテッソーリ教師として子育て情報を発信している著者が、子育てでよくあるシーン別に子どもへのかかわり方を解説する一冊だ。モンテッソーリ教育の考え方を中心としながらも、保育園や学校での実践ではなく、家庭向けに解説しているのが特徴だ。誰でも実践できる声の掛け方、環境の整え方などが、かわいいイラストを添えて語られている。

本書では、まず子どもは大人と対等な一人の人間であることを確認する。これは当たり前のようでいて、本当に普段から子どもに対等に接することができているかと改めて考えてみると、じつに気まずい思いがこみ上げてくる。子どもの人生は子どものものだ。生きる力を獲得するのに必死な子どもたちに、私たち大人ができるのは、適切なサポートをすることだけだ。そのためにも、子どもの発達のしくみを理解しつつ、どのように手助けすればよいのかを具体的に解説してくれる本書は、特に乳幼児期のお子さんを持つ読者には、必携の書となるに違いない。

モンテッソーリ教育は、子どもだけでなく大人もまた成長させてくれる理論であると、著者はいう。子どもの成長を見守りながら自らも成長する楽しみが、子育てにはある。そんなポジティブな気持ちを思い出させてくれる良書である。

ライター画像
菅谷真帆子

著者

モンテッソーリ教師あきえ
幼稚園教諭、保育士、小学校教諭。
モンテッソーリ教師(国際モンテッソーリ協会ディプロマ)。一児の母。
幼い頃から夢見た保育職に期待が溢れる思いとは裏腹に、現実は「大人主導」の環境で、行事に追われる日々。そのような教育現場に、「もっと一人ひとりを尊重し、『個』を大切にする教育が必要なのではないか」とショックと疑問を感じる。
その後、自身の出産を機に「日本の教育は本当にこのままで良いのか」というさらなる強い疑問を感じ、退職してモンテッソーリ教育を学び、モンテッソーリ教師となる。
現在は「モンテッソーリ教師あきえ」として、Instagram、Voicy、Twitter、YouTubeなどでモンテッソーリ教育を子育てに落とし込んだ情報を配信中。Instagramでは、開始4カ月で1万フォロワーを達成し、現在のフォロワー数は7万人。Voicyではこれまでに130万回以上再生されている「モンテッソーリ子育てラジオ」を放送中。Instagram、Voicyでは、今までに延べ1500件以上の子育て相談に答えてきた。また、子育てセミナーを開催し、モンテッソーリ教育に沿って「子ども」について解説している。

本書の要点

  • 要点
    1
    子どもはみな自ら育つ力を持つ。子育てにおいて大切なことは「子どもを尊重して信じる」ことであり、大人の無条件の信頼が子どもの自立をサポートする。モンテッソーリ教育は、子どもの自立だけでなく、相手を尊重するかかわりを通じて大人もまた成長できる理論である。
  • 要点
    2
    家庭でモンテッソーリ教育を取り入れる際は、「環境を整える」「子どもを観察する」「大人がやって見せる」「見守る」の4つのポイントを意識することが重要だ。

要約

【必読ポイント!】 家庭でできる、モンテッソーリ教育

子どもは自ら育つ力を持っている
Geber86/gettyimages

子どもは大人と対等な存在であり、人格を持った一人の人間だ。それゆえに、子育てにおいて何よりもまず大切なことは、「子どもを尊重して信じる」ことである。

子どもはみな「自ら育つ力」を持ち、誰に何を言われなくとも、自らを創っていくことができる。子どもの育ちには、子どもの持つ力を無条件に信じる、大人のサポートが欠かせない。

モンテッソーリ教育は、子どもを尊重して信じることを基盤に作り上げられた教育方法だ。子どもの生きる力を育てることができるだけでなく、相手を尊重するかかわりを意識することによって、子育てをする大人自身も大きく成長することができる。

子どもは、2つの「じりつ」に向けて自らを発達させていく。自分のことを自分でできるようになる「自立」と、自分を律することができるようになる「自律」だ。特に、0~6歳の乳幼児期は、自分という個をつくる、人生において大切な時期だ。この期間、子どもは発達をあきらめたり、嫌がったりすることなく、自らを発達させることに必死である。0~3歳の時期は、「無意識」の時期とされ、意識的に何かをするよりも、自らの衝動に従ってエネルギーのままに動くことが多い。3~6歳の「意識」の時期になると、「自分がどうしたいのか」という目的をもって物事を選択し、意識的に取り組む姿が見られるようになる。0〜6歳の幼少期といっても、前半と後半で発達段階が異なる。子どもと接するときには、その子が今どの段階にいるかを考えてみよう。

モンテッソーリ教育の4つのポイント
kohei_hara/gettyimages

モンテッソーリ教育は、園や学校に限らず、家庭でも取り入れることができる。その際には4つのポイントを意識したい。

まずは、「環境を整える」こと。モンテッソーリ教育では、子どもの「今やりたい」気持ちを叶えられる環境を用意する。やりたい気持ちがあっても環境が整っていないと、子どもはエネルギーが発揮できず、不満足に終わってしまう。例えば、ティッシュを何度も引っ張る子どもには、繰り返し「引っ張る」動作を経験できる活動を用意する。このように「環境」を通してサポートすることで、大人が直接子どもに教えるという一方的な構図ではなく、大人は間接的に子どもの育ちを助けることにつながる。

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要約公開日 2021.03.07
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