自助論

未読
自助論
出版社
出版日
2013年09月12日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

本書の著者サミュエル・スマイルズは1812年に生まれ、1904年に没している。本書が出版されたのは1858年であり、実に150年以上前に刊行されている。その本が今もなおベストセラーとして読まれ続けている理由は何だろうか。

本書のテーマである「自助」とは、自分を自分で助けるという意味だ。「天は自ら助くる者を助く」という言葉の意味を深く教えてくれる。活気に溢れる国の基盤となるのは、人が自分自身を助ける「自助」の精神だと著者は断言する。どんなにすぐれた制度であっても、それだけでは人は救えない。厳格な法律も怠惰な人を勤勉に変えることはできない。人が変わるのは自分自身の力によってだ。

また、今の人類の発展は過去を生きた人々が積み上げた不断の努力の上にある。私たちはそのバトンを次の世代に渡していく責任を持っている。人の助けは必ずしも本人のためになるとは限らないが、人は独りで生きていくこともできない。必ず誰かの教えを受ける。そして、優秀な人間ほど、他人の助けがあって今の自分があることを知っているものだ、とスマイルズは説く。

本書が日本で最初に出版されたのは明治4年。あくまで要約者の考えだが、明治時代の日本人は最も勤勉で精力的でバイタリティに溢れていたように思う。その明治時代の若者たちは、本書を読んで心を奮い立たせたに違いない。自ら助くるとは何か、私たちはどう生きるべきか。若者に限らず老人に至るまで、多くの世代に啓蒙を促す一冊だ。

著者

サミュエル・スマイルズ(Samuel Smiles)
イギリスの著述家。はじめ医者であったが、本書『自助論』(原題:Self-Help, with Illustrations of Character and Conduct)の大成功後、文筆に専念する。本書には、至るところに深い人生の知恵があふれており、生き方の根本を鋭く説く「不朽の名著」として、世界的なベストセラー&ロングセラーになっている。

本書の要点

  • 要点
    1
    どんなすぐれた制度も人を変えることはできない。人には自分で学び、自己を律していく自助の精神が必要だ。
  • 要点
    2
    成功への最短の道は、勤勉と努力を重ね、ささいなことでもおろそかにしない姿勢を続けることだ。一見遠回りでも、それが最短の道になる。努力を続ければチャンスをつかめる。
  • 要点
    3
    ビジネスを効率よく進めるには、「注意力」「勤勉」「正確さ」「手際の良さ」「時間厳守」「迅速さ」の6つの原則に加え、「直観力」「強い意志」「如才なさ」が必要であり、それを満たす人はすぐれた実務家である。

要約

【必読ポイント!】 人生は自分の手で開く

自ら助くるものを助く
Chinnapong/gettyimages

活力にあふれる強い国。その礎となるのは自助の精神だ。「天は自ら助くる者を助く」、ごく短いこの章句は一つの真理を示している。つまり、差し伸べられた外部からの援助の手は、かえって自立を妨げ、その必要性を忘れさせる。度の過ぎた保護は役に立たない無力な人間を生む可能性があるということだ。

どんなにすぐれた制度であってもそれが人間を救えるわけではないのだが、幸福や繁栄は自分の行動ではなく制度の力によるものだと考えがちである。確かに法律がうまく機能すればよいが、どんなに厳格な法律も人を変えることはできない。浪費家が倹約家に、怠け者が働き者になどと人が変わるには、一人ひとりがよりすぐれた生活態度を身につける必要がある。

また、多くの「社会悪」は人々の堕落から始まる。政治の質も国民のレベルが決めるので、国民が立派な国は政治も立派になる。暴君に支配された国民は不幸だが、エゴイズムや悪徳にとらえられた人間の方が、はるかに奴隷に近い。

努力はバトンでつながる

どのような国家の発展も、過去幾世代もの思想や活動が蓄積された結果だ。黙々と働いてきた人々の偉大な成果は世代を超えて引き継がれていく。その後継者たる現代の人間は、この財産を損なうことなく守り育て、次世代に手渡さなければならない。

自助の精神は活発な活動を続ける人間の特徴である。自助の精神が国民全体の特質になっているかは、その国の国力の尺度にもなる。たとえば、歴史上の戦役で名が残るのは将軍だけだが、実際には名も知らぬ無数の兵士の行動が勝利へと導いた。歴史から忘れ去られた多くの人間が、進歩に大きな影響を与えている。

人生の目的を真摯に追求する。それができる人々が、現代のみならず将来の社会の繁栄に寄与していく。

最良の援助者になる

業績や名声は自分自身の努力の結果であることが多いが、他人の援助も重要な意味を持っている。私たちは生まれてから年老いるまで何らかの形で他人の教えを受けており、優秀な人ほど他人の助けが貴重であることを知っている。

人の性質は目に見えない無数の「もの」によって形成される。古今の格言、実体験や書物、友人や隣人、祖先の英知、それらに大きな影響を受けている。ただし自分の幸福や成功には自分自身が責任をもたなくてはならない。本来は自らが自身にとって最良の援助者であるべきだ。

努力こそが成功への道

積み重ねが結果を生む
kieferpix/gettyimages

偶然に偉大な成功をおさめることはきわめて稀で、確実に成功を得るには勤勉と努力が最も安全な道だ。絶えず熱中して粉骨砕身の努力を続ける人は、日々の雑事や瑣末な問題もおろそかにせず、力を尽くす。

ミケランジェロは彫刻を完成させるまでに、他人には取るに足りないと思われるような細かな修正を重ねたという。美の完成にささいなことの積み重ねが重要な意味を持つと知っていたからだ。ニュートンはリンゴが落ちるのを“偶然”見て万有引力の法則を発見したと伝えられる。しかし実際は、長年続けてきた重力の研究の結果、リンゴの落下からインスピレーションを得ることができたのである。

時間は取り戻せない

チャンスは我々の手の届く場所にある。怠惰で目的を持たない人間は、目の前を幸運が通ってもその意味さえわからず見逃すだろう。

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要約公開日 2021.04.19
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