本書の要点

  • 「重要思考」は、「言いたいこと」をはっきりさせる技術である。考えることや伝えること、聴くこと、議論することなど、多くのことに活用・応用できる。

  • 「重要思考」は「重み」と「差」で考える。それがどれだけ大事(だいじ)かが「重み」、そのことにどれだけ他と違いがあるかが「差」である。「重み」のあることにのみフォーカスし、考え、議論しよう。

  • 人と人の間には「理解力の壁」がある。相手の伝えたいことを理解したいなら、相手が大切に思っていることから質問しよう。

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会話や議論を劇的にシンプルにする 「重要思考」

コミュニケーションの4ステップ

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会話や議論をするには、3つの力が必要だ。言いたいことを相手に伝える力、相手の言うことをちゃんと聴きとる力、そして互いに質疑応答・議論をする力である。だが、自分の「言いたいこと」が曖昧だったり、価値のないものだったりすると、この3つの力だけをつけても意味がない。まず身につけるべきは、「言いたいこと」をはっきりさせる力である「重要思考」だ。「重要思考」を使って次の4つのステップを踏めば、コミュニケーションはうまくいく。(1)言いたいことをはっきりさせる(「重要思考」で考える)(2)言いたいことを相手に伝える(「重要思考」で伝える)(3)相手が言いたいことを理解する(「重要思考」で聴く)(4)相手とちゃんと会話・議論する(「重要思考」で伝え合う)「重要思考」ができれば、自分の話の説得力も、他人との議論の効率も上がる。考えること、伝えること、聴くこと、議論すること、相手をほめること、議論をファシリテートすること、多数を相手に説明すること、緊急時に判断することなど、あらゆることに活用・応用できるのが「重要思考」なのである。

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【必読ポイント!】「重要思考」で考える

「塊」と「つながり」をはっきりさせる

ロジカルに考える基本は、「塊」と「つながり」をはっきりさせることである。たとえば、「アマゾンが急成長しているのは品揃えが多いからだ」と言いたいとする。この場合、「アマゾンが急成長している」が塊A、「品揃えが多い」が塊Bで、つながりは「~なのは~なため(BはAの原因)」だ。このように分けてみると、塊もつながりも曖昧なことがわかる。「成長」とは、ユーザー数なのか、売上なのか。「急」とはどの程度か。「品揃えが多い」とは、競合に比べてなのか、絶対値なのか。塊とつながりをはっきりさせるためには、「程度」と「範囲」をはっきりさせよう。たとえば塊Bは「北米アマゾンの品ぞろえは3.5億品目、電化製品だけでも3200万品目にのぼり、競合ベスト・バイの10倍以上である」。塊Aは「北米アマゾンは競合の7倍の売上成長率」などと言えるだろう。つながりは、原因以外にも結果や前提などさまざまなものがあり得る。どのようなつながりなのか、そのつながりがどれくらい強いのかを明確にする。100なら唯一絶対の原因に、10ならあまたある中の一つに、1なら些細な原因だといえる。こうした作業を通じて、塊の「程度」と「範囲」、つながりの「向き」や「太さ」をはっきりさせよう。このステップを踏むことではじめて、伝えたいことが明確になり、相手との意思疎通が可能となる。

「重み」と「差」に注目する

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「重要思考」は、「塊」と「つながり」の考え方を応用したもので、「大事な(重い)ところで差があるか」と考えて、一番強いつながりのある塊に集中することだ。ここで特に注目するのは「重み」だ。

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要約公開日 2021.05.13
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