学び方の学び方

未読
学び方の学び方
出版社
アチーブメント出版

出版社ページへ

定価
1,760円(税込)
出版日
2021年01月30日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
要約全文を読むには会員登録ログインが必要です
ログイン
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

最初から「勉強が得意な人」というのはあまり多くないだろう。しかし学生の間はもちろん、社会人になっても勉強の機会は多い。

本書はタイトルの通り「学び方の学び方」を指南するものであり、どんな学びにも応用できるテクニックが紹介されている。これさえ読めばラテン語でも経済学でも、はたまたダンスのステップでさえ効率的に学ぶことができるようになる。あらゆる学習に通じる優れた教本だ。

本書の特徴は効率的に記憶したり、モチベーションを維持したりする方法の紹介にとどまらない点だ。神経科学や認知心理学に基づき、「なぜそれが有効なのか」を示す理論も一緒に説明してくれるため、より理解を深めやすい。

例えば、集中力を高めて作業に没入する方法として、短時間の作業と小休止を繰り返す「ポモドーロ・テクニック」が紹介されている。実践者も多いとされるテクニックだが、本書ではなぜこれが学習において有効なのか、実践中に脳内でどんなことが起こっているのかを詳細に解説してくれる。理論をしっかりと理解してから取り組むことで、一段と高い学習効果が期待できそうだ。

不確実性に満ちた現代、変化に対応するには常に学ぶ姿勢が欠かせない。「学び続ける力」はこれからの時代を生き抜く力となるはずだ。「子どもの頃から勉強は大の苦手」という人にこそ本書を手に取っていただきたい。

ライター画像
千葉佳奈美

著者

バーバラ・オークレー
工学博士。ミシガン州ロチェスターにあるオークランド大学教授で、二〇一八年度ミシガン州優秀教授賞受賞。コーセラ(二〇一二年にアメリカで創立された教育技術の営利団体)創立以来の“イノベーション・インストラクター”である。米国生物・医療工学研究所と電気電子工学研究所のフェローでもある。一九九八年、オークランド大学からシステム工学の博士号を与えられている。世界最大の生体工学の学会、生体臨床医学学会のバイスプレジデントを務めていた。

オラフ・シーヴェ
ノルウェーのオスロにある教育テクノロジーのスタートアップ企業、エデュカスの創業者兼CEO。学生のよりよい学び方のソリューションの開発に取り組んでいる。世界最大の教育テクノロジー企業の一社、カフートの教育コンサルタント兼スペシャルアドバイザー。同社の抱えるユーザーは世界中に一〇億人以上を数える。二〇一〇年にノーウェジアン・スクールオブエコノミックスとカリフォルニア大学バークレー校から学士号。二〇一四年には、オックスフォード大学サイードビジネススクールでMBAを極めて優秀な成績で取得している。

本書の要点

  • 要点
    1
    学習とはニューロン同士を結合し、連鎖を形成する作業である。学習が複雑になるにつれ、結合の範囲は広がり、他の連鎖とも連携していく。
  • 要点
    2
    「積極的な学習」はニューロンの結合を促す。脳内で長期記憶から記憶を引き出し、活用しようとする「回収活動」によりニューロンの結合が強化される。
  • 要点
    3
    学習を長期的に継続するために、自律心に依存しない工夫が求められる。障害となるものを排除し、学習を習慣化することが重要だ。長期的、短期的なゴールの設定も有効である。

要約

パフォーマンスを高める集中法

気を散らせるものを完全排除
IvelinRadkov/gettyimages

集中力を高めて効率的に学習に取り組むには、ポモドーロ・テクニックが有効である。

やり方は簡単だ。まず、スマートフォンなど学習の妨げになるものを身のまわりから排除する。次にタイマーを設定して25分間、作業に没入する。それが終わったら再びタイマーをかけ、5分間休憩する。これを繰り返す。

ポモドーロ・テクニックは、シンプルながらその有効性が科学的にも検証されている。なお、休憩時間にスマートフォンを使うと、頭脳の働きが効果的に回復しないことも検証済みのため、注意しよう。

ポモドーロ・テクニックを実践しているときは、1つのことに集中したほうがいい。なぜなら、別の新たな課題に取り掛かるたびに、脳内においてスイッチング・コストというエネルギーが使われるからだ。集中して学習したいときにマルチタスクは禁物である。

集中モードと拡散モードで脳をフル活用

脳には、何かに集中しているときの「集中モード」と、そうではない「拡散モード」がある。シャワーを浴びているときや散歩しているときなど、拡散モードのときはとりとめもなく様々な考えが浮かんでいる。

計算問題などのやり方を知っている問題に取り組んでいるとき、脳は集中モードに入っている。すでに完成しているレールの上を走っているような状態だ。一方、新しいことに取り組んでいるとき、脳は拡散モードに入っている。これは頭の中に新しいレールをつくっている状態と言える。

それまでわからなかったものが突然理解できるようになるのは、拡散モードに入っている脳が、新たな結びつきを見いだせたときである。拡散モードによって新しい洞察が得られると、今度は集中モードがそれを強化してくれる。

このように、学習は集中モードと拡散モードを往復する作業なのである。集中力が切れたら、集中モードから拡散モードへの移行のときだ。歯を磨いたり散歩したりして、頭を気ままにリラックスさせよう。

【必読ポイント!】 脳の仕組みを知って学習を深める

学習とはニューロンの連鎖を生み出すこと
libre de droit/gettyimages

何かを学習しているとき、脳の基本的な構成要素であるニューロン同士を結合する作業が行われている。

もっと見る
この続きを見るには...
残り1755/2662文字
会員登録(7日間無料)

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2021.05.21
Copyright © 2024 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
読書大全
読書大全
堀内勉
未読
〔新版〕一瞬で大切なことを伝える技術
〔新版〕一瞬で大切なことを伝える技術
三谷宏治
未読
考えることこそ教養である
考えることこそ教養である
竹中平蔵
未読
GAFA部長が教える自分の強みを引き出す4分割ノート術
GAFA部長が教える自分の強みを引き出す4分割ノート術
寺澤伸洋
未読
妄想する頭 思考する手
妄想する頭 思考する手
暦本純一
未読
タイムマネジメント大全
タイムマネジメント大全
池田貴将
未読
なぜか好かれる人がやっている 100の習慣
なぜか好かれる人がやっている 100の習慣
藤本梨恵子
未読
LIMITLESS 超加速学習
LIMITLESS 超加速学習
三輪美矢子(訳)ジム・クウィック
未読
法人導入をお考えのお客様