本書の要点

  • 「重要思考」は、「言いたいこと」をはっきりさせる技術である。考えることや伝えること、聴くこと、議論することなど、多くのことに活用・応用できる。

  • 「重要思考」は「重み」と「差」で考える。それがどれだけ大事(だいじ)かが「重み」、そのことにどれだけ他と違いがあるかが「差」である。「重み」のあることにのみフォーカスし、考え、議論しよう。

  • 人と人の間には「理解力の壁」がある。相手の伝えたいことを理解したいなら、相手が大切に思っていることから質問しよう。

1 / 5

会話や議論を劇的にシンプルにする 「重要思考」

コミュニケーションの4ステップ

nensuria/gettyimages

会話や議論をするには、3つの力が必要だ。言いたいことを相手に伝える力、相手の言うことをちゃんと聴きとる力、そして互いに質疑応答・議論をする力である。

だが、自分の「言いたいこと」が曖昧だったり、価値のないものだったりすると、この3つの力だけをつけても意味がない。まず身につけるべきは、「言いたいこと」をはっきりさせる力である「重要思考」だ。

「重要思考」を使って次の4つのステップを踏めば、コミュニケーションはうまくいく。

(1)言いたいことをはっきりさせる(「重要思考」で考える)

(2)言いたいことを相手に伝える(「重要思考」で伝える)

(3)相手が言いたいことを理解する(「重要思考」で聴く)

(4)相手とちゃんと会話・議論する(「重要思考」で伝え合う)

「重要思考」ができれば、自分の話の説得力も、他人との議論の効率も上がる。考えること、伝えること、聴くこと、議論すること、相手をほめること、議論をファシリテートすること、多数を相手に説明すること、緊急時に判断することなど、あらゆることに活用・応用できるのが「重要思考」なのである。

2 / 5

【必読ポイント!】「重要思考」で考える

「塊」と「つながり」をはっきりさせる

ロジカルに考える基本は、「塊」と「つながり」をはっきりさせることである。たとえば、「アマゾンが急成長しているのは品揃えが多いからだ」と言いたいとする。この場合、「アマゾンが急成長している」が塊A、「品揃えが多い」が塊Bで、つながりは「~なのは~なため(BはAの原因)」だ。

このように分けてみると、塊もつながりも曖昧なことがわかる。「成長」とは、ユーザー数なのか、売上なのか。「急」とはどの程度か。「品揃えが多い」とは、競合に比べてなのか、絶対値なのか。

塊とつながりをはっきりさせるためには、「程度」と「範囲」をはっきりさせよう。たとえば塊Bは「北米アマゾンの品ぞろえは3.5億品目、電化製品だけでも3200万品目にのぼり、競合ベスト・バイの10倍以上である」。塊Aは「北米アマゾンは競合の7倍の売上成長率」などと言えるだろう。

つながりは、原因以外にも結果や前提などさまざまなものがあり得る。どのようなつながりなのか、そのつながりがどれくらい強いのかを明確にする。100なら唯一絶対の原因に、10ならあまたある中の一つに、1なら些細な原因だといえる。

こうした作業を通じて、塊の「程度」と「範囲」、つながりの「向き」や「太さ」をはっきりさせよう。このステップを踏むことではじめて、伝えたいことが明確になり、相手との意思疎通が可能となる。

「重み」と「差」に注目する

damircudic/gettyimages

「重要思考」は、「塊」と「つながり」の考え方を応用したもので、「大事な(重い)ところで差があるか」と考えて、一番強いつながりのある塊に集中することだ。

ここで特に注目するのは「重み」だ。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3020/4230文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2021.05.13
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

やり直し・間違いゼロ 絶対にミスをしない人の仕事のワザ
やり直し・間違いゼロ 絶対にミスをしない人の仕事のワザ
鈴木真理子
問いの立て方
問いの立て方
宮野公樹
学び方の学び方
学び方の学び方
バーバラ・オークレーオラフ・シーヴェ宮本喜一(訳)
なぜか好かれる人がやっている 100の習慣
なぜか好かれる人がやっている 100の習慣
藤本梨恵子
考えることこそ教養である
考えることこそ教養である
竹中平蔵
妄想する頭 思考する手
妄想する頭 思考する手
暦本純一
タイムマネジメント大全
タイムマネジメント大全
池田貴将
GAFA部長が教える自分の強みを引き出す4分割ノート術
GAFA部長が教える自分の強みを引き出す4分割ノート術
寺澤伸洋

同じカテゴリーの要約

頭の中がどんどん言葉になる瞬間言語化トレーニング
頭の中がどんどん言葉になる瞬間言語化トレーニング
荒木俊哉
キーエンス 最強の働き方
キーエンス 最強の働き方
齋田真司
なぜ働く?誰と働く?いつまで働く?
なぜ働く?誰と働く?いつまで働く?
有山徹
無料
正しい答えを導く質問力
正しい答えを導く質問力
山口拓朗
伝わるコツ
伝わるコツ
山本渉
できるリーダーが意思決定の前に考えること
できるリーダーが意思決定の前に考えること
内田和成
頭のいい人が話す前に考えていること
頭のいい人が話す前に考えていること
安達裕哉
決定版 アドラー心理学がマンガで3時間でマスターできる本
決定版 アドラー心理学がマンガで3時間でマスターできる本
吉田浩岩井俊憲 (監修)
AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣
AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣
越川慎司
伝え上手になりたい
伝え上手になりたい
小川奈緒