僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。
東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」のとてつもない挑戦

未 読
僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。
ジャンル
著者
出雲充
出版社
ダイヤモンド社
定価
1,500円 (税抜)
出版日
2012年12月18日
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東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」のとてつもない挑戦
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出雲充
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ダイヤモンド社
定価
1,500円 (税抜)
出版日
2012年12月18日
評点
総合
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明瞭性
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革新性
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応用性
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レビュー

皆さんは、「ユーグレナ」という会社を知っているだろうか。この会社は、ミドリムシという動物と植物の要素を併せ持つ藻類の屋外大量培養に世界で初めて成功した会社である。そしてそのミドリムシを活用して、食品事業やエネルギー事業を行っている。2005年8月に設立され、2012年12月に上場、2014年8月現在、時価総額が1,000億円を越える規模にまで成長している。

「ユーグレナ」の名前については知っていても、その時価総額の大きさもあり、理系の一部の天才が、その研究の中で奇跡的な生物学上の発見をし、特段苦労せず今の大きな会社になったという誤解をしている方もいるかもしれない。しかし、本書を読んで何より驚いたのは、「ユーグレナ」が今に至るまでの苦悩の大きさ、およびそのベンチャースピリットの強さであった。創業者の出雲氏が、バングラデシュで栄養失調に苦しむ人を見た後、動物と植物の双方の栄養素を併せ持つミドリムシという存在を知ることが起業の発端となっている。しかし、ミドリムシという語感の異質さ、及びライブドア関連銘柄として世間から誤解され続け、数年間全く日の目を見なかった。それを乗り越え、会社を成長させてきて今の「ユーグレナ」がある。

本書を読めば、この会社が今後100年、200年と続いていってほしいと思うことだろう。エネルギー業界、食品業界の方はもちろん、起業家やこれから起業をしようという方全てに、本書を手に取ってもらえればと思う。

著者

出雲 充(いずも みつる)
株式会社ユーグレナ 代表取締役社長
1980年、広島県呉市出身。東京大学に入学した1998年、発展途上国のひとつであるバングラデシュを訪れ、世界に確実に存在する本当の貧困に衝撃を受ける。2年後の2000年、同じ東大農学部に在籍していた鈴木と出会い、「ユーグレナ(和名:ミドリムシ)」のことを知り、世界の「食料問題」と「環境問題」を同時に解決できるそのポテンシャルに魅せられるも、培養技術が確立していないという壁の前に、一旦は事業化を断念。2002年、東京三菱銀行に入行。
2005年8月、出雲と鈴木、福本の3人で株式会社ユーグレナを設立。東大発のバイオベンチャーとして注目を集める。同年12月には、世界で初めてユーグレナ(ミドリムシ)の屋外大量培養に成功。食品、機能性食品、化粧品、飼料、そして燃料と、数多くの分野で事業化を目指している。
2011年、AERA「日本を立て直す100人」に選出され、安藤百福賞 「発明発見奨励賞」を受賞。2012年、世界経済フォーラム(通称ダボス会議)が選出する「ヤング・グローバル・リーダーズ2012」に選出される。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

本書の要点

  • 要点
    1
    ミドリムシは、植物と動物の栄養素の両方を持っている。また、ミドリムシが光合成により作り出し、体内に蓄えた油を精製すれば、ジェット機の燃料として使えるバイオ燃料が得られる。
  • 要点
    2
    著者は仲間とともに、ミドリムシの可能性を追求し、世の中に知ってもらおうと奮闘してきた。何度も「自分には無理だ」と諦めかけ、ときには日本中からいわれなきバッシングを受けて絶望しかけたこともあった。でもそんなとき、まるでミドリムシに語りかけられているかのようにいつもこう思った。「この世に、くだらないものなんて、ないんだ」と。

要約

問題と、自分の無知を知るということ

vlad_karavaev/iStock/Thinkstock
人生を変えたバングラデシュの経験

1998年の夏、18歳の著者はバングラデシュにいた。グラミン銀行のインターンとして、その地を訪れた。何不自由ない家庭で育った著者にとって、貧困や飢餓で苦しむ人がこの世界にいることは、「誰かが解決しなくてはならないこと」だった。

著者はその課題を解決するために、人生を賭けてみたい、と考えていた。それこそが、当時の著者の、まぎれもない将来の目標だった。そして、その目標を叶えられる世界で唯一の機関は国連だと信じていた。国連が行っている支援活動を間近で見ることが、バングラデシュへ行く最大の楽しみであったのだという。

しかし、希望に満ちた将来につながるはずのその地で見た現実は、著者の目を大きく開かせるものだった。日本から想像していた食料不足という現象と異なり、バングラデシュでは、山ほどコメが採れる。毎日の食事にカレーが出てきて、ほとんどの人は腹を満たすことができるくらいの炭水化物は得ることができるのである。

それよりも問題なのは、子供の成長に不可欠であるタンパク質やミネラル、カルテノイド、不飽和脂肪酸等を供給する、野菜や肉、フルーツ、牛乳などの食品がまったく足りていないことだった。国連も栄養指導などを通じて栄養素を摂取する必要について教育しているが、栄養素自体が足りていないし、そのような食品は新鮮なまま持っていくことが難しいものばかりだ。すなわち、解決する方法がこの世にないのである。「うーむ。このまま国連を目指しても、自分の夢は叶わないかもしれないぞ」。このときの経験によって、著者は当初考えた人生プランを考え直すことになる。

出会いと、最初の一歩を踏み出すということ

snapgalleria/iStock/Thinkstock
ミドリムシとの出会い

東大農学部で勉強をしながら、世界から栄養失調をなくす計画を真剣に考え続けていた。『ドラゴンボール』に登場する万能性を持つ食料、「仙豆」のような食べ物がないか、思案していたのである。ただ、調べた結果わかったことは、「牛肉には十分なビタミンCが存在しないし、植物は魚が持つDHA(ドコサヘキサエン酸)を合成する遺伝子を持っていない。つまり植物は植物固有の栄養素を作り、動物は動物固有の栄養素を作っていて、人間という生き物は、植物と動物の両方をバランスよく食べないとダメなんだ」という当たり前すぎる事実だった。

そんなときに、ふと鈴木と話す機会があった。鈴木は、現在、ユーグレナの取締役で研究開発部長を務めている人物で、当時東京大学農学部に在籍していた。投資コンテストではノーベル経済学賞の理論を使いこなして圧勝する、本物の天才と思える人であった。そんな鈴木に、「仙豆なんて夢の食品、現実にあるわけないよなあ・・・」と諦めモードでつぶやいたところ、あっさりと言われたのが、「でも、ミドリムシなら仙豆に近いんじゃないですか。植物と動物の間の生き物ですから」という言葉だった。しかも同時に、後に「ミドリムシ仙豆プロジェクト」と勝手に呼び始めることになる計画は、すでに10年以上前から日本に存在していたことを知った。

それを知った後、すぐに当時のプロジェクトを推進していた教授に会いにいった。しかしその時に言われたことは、ミドリムシの培養は本当に難しく、結果としてミドリムシの研究は進んでいないという事実だった。

起業と、チャンスを逃さずに迷いを振り切るということ

Vlad Kochelaevskiy/iStock/Thinkstock
弱さと決断

2004年の4月に三菱東京UFJ銀行に就職した。銀行に就職したのは自分の「弱さ」が理由だった。

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