億万長者だけが知っている教養としての数学

世界一役に立つ数学的思考力の磨き方
未読
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世界一役に立つ数学的思考力の磨き方
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億万長者だけが知っている教養としての数学
出版社
ダイヤモンド社

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出版日
2021年04月13日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

世の中には桁違いの大富豪がいる。資産1000億ドルを超える富豪リストには、ジェフ・ベゾスやイーロン・マスクなどが名を連ねているが、2021年4月にはグーグルの共同創設者ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンも仲間入りしたという。

1995年、彼らは「大学1年程度」の数学的知識を駆使して、今のグーグル検索の基礎となるシステム「ページランク」を開発した。もちろんその後も改良を重ねていったが、今もグーグルのサービスの核になっているのがページランクであることは間違いない。基礎的な数学知識を用いて大金持ちになった、夢のような、しかし現実の話である。

先の例は少々飛躍しているかもしれないが、数学が「お金持ち」に通じる手立てになりうることは想像がつくだろう。私たちは小学校から10年以上も数学(算数)を学んでいるにもかかわらず、釣り銭の勘定など簡単な計算以外、現実世界で活用する機会はあまりない。しかし、確率や統計、さまざまな法則や定理は、生活に身近な「金融」の根底で脈々と息づいている。

本書は、お金にまつわるさまざまな機会(増やす、儲ける、賭けごとをする、投資する等)について、数学的な見地からアプローチしていく教養本である。

丁寧に解説されているため、数学に詳しくなくとも十分楽しめる内容だ。手軽な財テクから一歩進み、「儲け」の基本原理からしっかり学びたい人には、興味深い一冊となるだろう。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

ヒュー・バーカー(Hugh Barker)
ノンフィクション作家にして、数学を専門とする編集者。16歳でケンブリッジ大学に数学で合格した逸話を持ち、現在もアマチュア数学者として活躍している。著書に、Faking It (Yuval Taylorとの共著)と、Hedge Britanniaがある。また編集した本には、A Slice of Pi(Liz Strachan著)をはじめ、数学ジャンルでのベストセラーが多数含まれる。

千葉敏生(ちば・としお)
翻訳家。1979年神奈川県生まれ。早稲田大学理工学部数理科学科卒業。訳書に『反脆弱性』『身銭を切れ』(ともにダイヤモンド社)、『デザイン思考が世界を変える』『スイッチ! 』『決定力! 』(以上、早川書房)、『クリエイティブ・マインドセット』(日経BP)、『〈効果的な利他主義〉宣言!』(みすず書房)、『デザインはどのように世界をつくるのか』(フィルムアート社)等がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    お金の価値は相対的で、時間とともに変動する。お金を交換可能な「品物」と捉えることが、お金を数学的に考える第一歩である。
  • 要点
    2
    お金を効率的に増やすには、指数関数的に成長する「種」を見つけることである。
  • 要点
    3
    組み合わせの数学を利用して過去のデータを検証すれば、ギャンブルの勝率を細かい部分まで予測することができる。
  • 要点
    4
    今の世界を支配しているのは数学的なアルゴリズムだが、未来の世界を支配するのもまた、数学を駆使した者だろう。

要約

【必読ポイント!】数学の力でお金を増やす

お金の価値は相対的で主観的

お金とは、価値を数えたり測ったりする「数学的な道具」である。お金が登場する前の社会では、商品の取引は物々交換であった。1袋の穀物を、鍋や豆、1日分の畑仕事と直接交換する、といった具合だ。

しかし物々交換は、双方が相手のほしいものを持っていなければ成り立たない。複数の人が取引しようとすると、かなり複雑な売買ネットワークが必要となる。そこで、複雑な取引を調整するために金融システムが発明された。お金は取引を仲介する手段であり、その価値はほかの商品との比較で決められる。つまりお金というものは、それと交換できる商品やサービスと照らし合わせることで、初めて価値を測ることができる相対的なものである。

そして、お金の価値は時間とともに絶えず変動し、必ず主観が伴う。ボトル入りの水が、清流のそばに住む人にとっては価値がなくとも、砂漠のど真ん中で死にかけている人にとっては100万ドルの価値を持つこともある。

資産管理の技術は、価値の差分や変動を見極めるところにある。保有する財産を売り払い、負債を時価ですべて清算した際に残る金額の「純資産」を考えるとわかりやすい。

お金を商品やサービスと交換可能な「品物」と捉えることが、お金を数学的に考えるための第一歩なのである。

元本の成長を見定める「72の法則」
JuSun/gettyimages

元本が一定の成長率のもと、2倍になるまでの年数を知っておくと便利だ。その年数を暗算する簡易的な方法が「72の法則」である。72の法則は、15世紀にルカ・パチョーリが著書『スムマ』で記述して以来、脈々と受け継がれている投資の知恵だ。

法則はいたってシンプルで、72を成長率(または預金や投資の利率)で割るだけだ。これで、初期投資額が2倍になるまでに何年かかるかが弾き出される。年利9%なら72÷9=8なので、8年かかる計算だ。

この法則はあくまで概算であり、最も正確なのは金利が5〜10%前後のときだけである。しかし、何世紀も前から多くの資本家や投資家が活用してきた事実から、標準的な状況では役に立つだろう。

指数関数的に育つ「魔法の豆」

初期投資額1000ポンドを1年で100万ポンドにするにはどうしたらいいか。

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要約公開日 2021.07.11
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