HAPPY STRESS

ストレスがあなたの脳を進化させる
未読
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出版社
SBクリエイティブ

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出版日
2021年04月23日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「同じようなストレスを受ける状況において、それに耐えられる人もいるし、耐えられない人もいる」。要約者はそれをストレス耐性の違いと考えていた。

しかし本書では、ストレスの原因が同じであっても、人によってストレス反応の出方が違うため、自身のストレス反応と向き合うことこそ大切であると説明されていた。

これはストレスに対応する上で、非常に重要なポイントとなると感じた。ストレス反応を導く刺激や情報といった「ストレッサー」のうち、「心理的ストレッサー」は時間が経っても慣れることはなく、ストレス反応が増幅するという事実は、かなり実感と合っていた。嫌なことを思い出すと、記憶が心理的ストレッサーとして働くと知り、記憶の仕方の重要性に気付かされた。

また本書では、ストレスのネガティブな側面だけでなく、ポジティブな側面に着目し、ストレスを味方につけるために、神経科学的に根拠のある方法が書かれている。特に驚かされたのは「ストレス=学び」というストレスのポジティブな側面に対するマインドセットでいると、ストレスレベルが低下するという研究結果である。

マインドセットに関する多くの本と同様、ストレス反応をコントロールするための、エクササイズも掲載されている。本書のエクササイズは、適度な量と内容なので、ぜひ本を手に取って取り組むことをオススメしたい。きっとストレスを味方にする術を身につけられるはずだ。

ライター画像
河合美緒

著者

青砥瑞人(あおと みずと)
応用神経科学者。株式会社DAncing Einstein代表。小中高は野球漬け。高校は中退。しかし、脳の不思議さに誘引され米国大学UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の神経科学学部を飛び級卒業。神経科学を心理学や教育学などとコネクトし、人の理解を深め、その理論を応用、また実際の教育現場や企業とコネクトし、人の成長やWell-beingのヒントを与えられたらと、2014年にDAncing Einsteinを創設。対象は、未就学児童から大手役員まで多様。空間デザイン、アート、健康、スポーツ、文化づくりと、神経科学の知見を応用し、垣根を超えた活動を展開している。また、AI技術も駆使し、NeuroEdTech®/NeuroHRTech®という新分野も開拓。同分野にて、いくつもの特許を保有する「ニューロベース発明家」の顔ももつ。近年では、海外や国連関連のイベントでの講演活動に加え、大手企業やNPO、教育機関と連携、提携し、新しい学び方、生き方、文化づくりに携わる。著書に『BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『4 Focus 脳が冴えわたる4つの集中』(KADOKAWA)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    何も意識しないと、脳は「外側の情報」、そして「ネガティブな情報」に向きやすい。意識して「内側の情報」、「ポジティブな情報」を取り込む姿勢が大切である。
  • 要点
    2
    ストレスとうまく付き合うために、ストレスにはポジティブな面とネガティブな面があることを認識する必要がある。また、ストレス反応はDNAの違いや経験によって個人差があるので、自分のストレス反応に寄り添うことが大切である。
  • 要点
    3
    脳の使い方を少し変えるだけで、ストレスのネガティブな面をポジティブに転換することができる。

要約

ストレスと向き合う重要性

脳が処理する情報について

私たちの脳には沢山の情報が届くが、一度に処理することができない。ある研究によると、1秒に届くおよそ200万ビットの情報のうち、処理して認識できる情報は、多くても1秒に2000ビットだという。つまり入力された情報の約1000分の1しか処理できていない。脳が処理を行う対象について、ある程度自分の意思で、取捨選択しなければならない。

何も意識しないと、脳は「外側の情報」、そして「ネガティブな情報」に向きやすい。「外側の情報」とは対人関係や仕事、TVやPCなど、自分の外にあるものから得られる情報である。

一方で内側の情報とは、お腹が空いた、将来何をしたいか、など自分の中に注意を向けたときに得られることである。「学び」を蓄えるためには、自分の内側に注意を向ける時間を意識的にもつ必要がある。

「ネガティブな情報」に意識が向きやすいのは、人類の進化の歴史において、ネガティブなことに敏感になることで危険を避けて暮らしてきたためと考えられている。そのため、ネガティブな情報は半自動的に入ってくるが、ポジティブな情報は意識的に取り込もうとする必要がある。

このような脳の傾向を「ネガティビティバイアス」と呼ぶ。この特性は、人類に備わっているものだ。正面から抵抗するのではなく、自然な反応として受け入れつつ、ポジティブなことに目を向ける姿勢が大切である。

ストレスとうまく付き合う3つのポイント
Wiphop Sathawirawong/gettyimages

ストレスとうまく付き合うために押さえるべき3つのポイントがある。

1つ目は、「ストレスには、ポジティブな面とネガティブな面がある」ということだ。本書では、私たちを悩ませ、苦しませ、うつ病の原因となるようなストレスを「ダークストレス」と呼んでいる。一方、締め切り前に生産性が上がって仕事を達成するなど、成長や幸せに貢献するストレスを「ブライトストレス」と呼ぶ。

2つ目は、「自他のストレス反応を同一視しない」ことである。ストレス反応の違いは生まれもったDNAの違いや今までの経験による。自分のストレス反応を相手にも当てはめないことが大切である。

3つ目が「自分のストレス反応に寄り添う」ことである。前述した通り、ストレス反応は人により異なるため、ストレスを味方につけて成長するためには、自分自身のストレス反応と向き合い、対応していくことが必要だ。

神経科学では、一般的な脳や全身反応の仕組みについては解明できるが、それぞれが何にどういったストレス反応を示すかということまでは分からない。本書では、自分自身のストレス反応を確認するためのエクササイズが用意されている。

ストレスの発生する仕組み

ストレスの発生する仕組みを確認する。

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要約公開日 2021.08.08
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