脱!残念な考え方

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脱!残念な考え方
出版社
自由国民社

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定価
1,650円(税込)
出版日
2021年04月27日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

ビジネスパーソンなら、「なぜなぜ分析」という問題解決手法を聞いたことがあるかもしれない。「カイゼン」を世界に広めたトヨタの流儀のひとつで、問題が発生したら「なぜ」を5回繰り返し、根本的な問題の対策を行うことだ。コロナ禍に見舞われた2020年もトヨタは大きな利益を上げ、「この会社だけ別世界にいるようだ」とまで評されたが、その源泉はまさにカイゼンにあったといえる。

しかしロジカルな考え方を身に付けなければ、「なぜなぜ分析」を行うことはできない。「Aという原因によって、Bということが起こっている」という関係を、相当の確信を持って見出さなければならないからだ。

ロジカルに考えるとは、すなわち「Aは本当にBの原因か?たまたまではないのか?」「Aという原因から、起こるのはBだけか?」といった疑問に、しっかりと答えられるということだ。逆に言うと「残念な考え方」は、ツッコミどころの余地が多い考え方である。「自信を持って言い切る」ためには、ロジカルであることが不可欠だ。

本書ではロジカルであるための要素として、「つながっている・深く考えている・広く考えている」の3つを挙げ、気を付けるべき15のポイントを解説している。これらをしっかり押さえれば、相当ロジカルにものを言えるようになるだろう。そして世にはびこるロジカルでない考え方に対しても、「なぜ?」と言えるようになるはずだ。

ライター画像
ヨコヤマノボル

著者

幸本陽平(こうもと ようへい)
(株)東風社 代表取締役、中小企業診断士
新潟県生まれ。一橋大学卒。大学卒業後、日本ロレアル(株)入社。高級化粧品ブランドのメンバーシッププログラムの運営や業界初と言われるオンラインショッピング導入など、マーケティングを担当。日系化粧品会社に転職後は、経営企画や新規ブランド開発、海外進出や海外ブランドの日本導入などに携わる。
2010年、幸本陽平事務所(現・東風社)を広島に設立。「今ある人・技術・商品などの資源で」「支援終了後も継続できる仕組みを作る」をモットーに、マーケティングや営業、組織運営などのコンサルティングを提供している。クライアントは一部上場企業から地場の中小企業まで幅広い。研修・セミナー講師として、ロジカルシンキングやプレゼンテーションなどの講座も担当している。
著書に、「今ある在庫がみるみる売れる12の方法」(自由国民社、2015年)、「『あっ、欲しい!』のつくり方」(日本経済新聞出版社、2015年)、「実践 トライアングル式問題解決法」(日本経済新聞出版社、2019年)。

本書の要点

  • 要点
    1
    ロジカルな思考とは、「つながっている・深く考えている・広く考えている」の3つを満たした考え方だ。ツッコミどころの多い考え方は、ロジカルではない。
  • 要点
    2
    ロジカルになるための基本は、「目的に対して適切な行動をとる」ことだ。
  • 要点
    3
    言葉の解釈の幅を減らし、誰もが同じ意味でとらえられるようにしなければならない。
  • 要点
    4
    選択肢の重要性や実現可能性をすぐに評価せず、抜け漏れなく拾い上げていくべきである。

要約

【必読ポイント!】 ロジカルシンキングに必要な3つの要素

残念な考え方は「ツッコミどころが多い」

「日本人の多くはロジカルな思考を苦手としている」と言われて、うなずいてしまう方もいるだろう。しかしよく考えると、引っかかるところがないだろうか。

まず「多く」とはどのくらいで、どう調べたのかわからない。そもそも「ロジカル思考が苦手」とはどのような状態なのか、その判断の基準も不明だ。もしこうした疑問に答えられなければ、冒頭の主張の根拠は「私がそう思うから」でしかない。これがロジカルな主張でないことは明白である。

非ロジカル=残念な考え方は、この例のように「ツッコミどころの余地が多い」ものといえる。「本当にそう?」「証拠はある?」「あなたの感想では?」「ただの偶然では?」「例外では?」など、ツッコミが容易に頭に思い浮かぶようなら、それは「残念な考え方」である。

「つながっている」「深く考えている」「広く考えている」
anyaberkut/gettyimages

ロジカルな思考とは、「つながっている」「深く考えている」「広く考えている」の3つの要素を満たした考え方だ。

「つながっている」という条件を満たすには、演繹的もしくは帰納的に考えたとき、そこに不自然さや間違いがなければいい。演繹とは「AならばB、BならばC、よってAならばC」と話がつながること、帰納とは「ライオンA、B、Cは肉を食べる。よってすべてのライオンは肉を食べるだろう」のように、個別の事例から一般的・普遍的な法則を導くことを指す。すなわちツッコミどころがなく、自然につながっていれば、その考え方はロジカルといえる。

「深く考えている」が何を意味するかを理解したければ、その逆を想像するといい。すなわち浅く、ロジカルでない思考の例を思い浮かべるのだ。たとえば売上アップの策を出さなければいけないとき、「キャンペーンをやってはどうか」のような抽象的な案で終わるのであれば、それは浅い考えだ。抽象的な内容は、誰も批判しようがない。逆に具体的な策の場合、それに対する質問や疑問に答える必要が生じてくる。ロジカルであるためには、自信を持って具体的に言い切らなければならない。

また「広く考えている」も、その逆の「狭い思考」を考えたほうがわかりやすい。出荷した製品に不良品が相次いだとしよう。多くの場合、その原因となる製造工程を見直そうとするだろうが、選択肢はそれだけではない。「検品を強化する」とか、「他社に製造を委託する」という方法もありうる。「本当にそれだけ?」「他にもっとあるんじゃない?」というツッコミがありうる、いわゆる「抜け漏れ」がある思考は、ロジカルではない。

ここからは「つながっている」「深く考えている」「広く考えている」の反対、すなわち「残念な考え」を取り上げながら、ロジカルな思考についてさらに掘り下げていく。

「つながっていない」思考とは

「ロジカル矢印」はどっちを向いているか?

原因と結果の関係を正しく理解することは、ロジカル思考の第一歩だ。

やってしまいがちなのが、原因と結果を取り違えるというミスである。「気温が高いとビールが売れる」のように、「A→B」(AならばB)が成り立つとき、AとBには「因果関係」があるという。ビジネスの世界でよくあるのは、この矢印を逆にとらえてしまうことだ。

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要約公開日 2021.08.29
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