本書の要点

  • SNSは時々「換気」した方がいい。暴言や陰口ばかりのアカウントはアンフォローするなどし、気持ちのいいコミュニティを作る努力をすべきだ。

  • 世の中には「分かりやすいコンテンツ」が溢れている。しかし、思考のスイッチが入るのは「分かりにくいもの」だ。

  • ウィズコロナにより、デジタルとアナログの乖離が進んでいる。キャッシュポイントの変更やデジタルの付加価値の再検討が必要だ。

  • 社会システムに監視の目が組み込まれる「ディストピア」が現実になりつつある。個人の権利と集団の利益を共存させる世界の構築が課題である。

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SNSと向き合う

炎上の構図

Tero Vesalainen/gettyimages

SNS上で、文脈にそぐわない切り取られ方をされて叩かれる人が増えている。そこにはどのような構図があるのか。

まず「発信者」が情報を発信する。この人は「Aという業界・文脈の人」で、「(Aの業界ではよく知られる)Bという事例」を知った上で「Cだ!」と発言をする。Aを知るには体系だった知識が必要で、Bは検索すればすぐ出る事例だ。

Aを知る人ならBとCの区別はつくが、そうでなければ見分けるのが難しい。ABCをよく知る「理解者」たちは日々考えながらAを練り上げており、さらにDまで知る「詳しい人」たちは、新しい切り口や情報を提供してくれる。

フォロワーが少ないうちは建設的に話が進むが、徐々にCを知ったことを誇りたい「自称情報感度の高い人」たちが増えてくる。彼らは自分の中で考えを反芻しないため、ABを無視してCに飛びつく。

この動きが顕著になると、それを快く思わない「意識高い嫌い」や、Aに疎くBとCの区別がつかない「エセインテリ」が出てくる。「エセインテリ」は自分の専門分野の知見で頭がいっぱいなので、自分の価値観でマウンティングをしてくる。

本を一冊読めばわかるようなメッセージがSNSで炎上するきっかけは、「意識高い嫌い」がネタとして喋り始めるか「エセインテリ」の誤解のあるマウンティングであることが多い。

良い情報発信者になる秘訣は、「理解者」、「詳しい人」の仲間を増やしていくことだろう。

SNSを換気しよう

学校や会社の集まりで、暴言を吐いたり陰口を言ったりする人がいたら「空気悪くなるし、そういうことはやめよう」と誰かが注意するだろう。皆が過ごしやすい場所にしようとする努力が社会を作ると、私たちは小学校の時に教わったはずだ。

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要約公開日 2021.08.09
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